三題噺ショートショートvol.46_スタメン
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「スタメン」まいりましょうか。

昇は、焼き鳥屋の息子だった。
教育熱心な父と、優しい母の元で、昔から勉強が好きだった。
そして野球も大好きだった。
少年野球の頃から一緒で、中学まで一緒だった。
昇は何しろ成績優秀だったから、県下有数の進学校に軽く入れる。
中学2年になる春、昇が急に言った。
「同じ高校に行くぞ!」
昇の指導もあり、俺は奇跡的に合格した。
俺達はレギュラーバッテリーになった。夏の大会は準々決勝で敗れたが、前途洋々だった。
しかし冬になると昇が調子を崩したのだ。
コントロールが定まらずサインを間違い、置きに行った球を悉く打ち返された。
その頃昇は、目薬をよくさすようになっていた。
ある日、山を走っていて昇が言った。
「落球って…」
「あれ、落石注意だぞ」
ハッと気付いて、眼科に直ぐに連れて行った。
最初は怖がったが、眼鏡をかけてからの昇は凄かった。最後の夏は、ベストエイトで散りはしたが。
今は地元の草野球チームだが。
俺達は、不動のスタメンバッテリーを張っている。

そんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、46作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。
