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社会復帰未満Ⅷ-あなたの就職は小指と薬指が決めるー就労移行支援の現場からー

IT特化型就労移行支援。
あなたの就職は、小指と薬指が決める。

こう言うと、多くの人は笑う。

しかし私は、本気でそう思っている。

私は長年、放課後等デイサービスで、
子どもたちにタッチタイピングを教えてきた。

特に厳しく指導したのが、右小指だった。

Enterキー。
Backspaceキー。

これを人差し指で押す子どもを、私は徹底的に止めた。

「バックスペースは小指!」

横に立ち、何度でも注意した。
泣く子どももいた。

しかし、容赦はしなかった。

なぜなら私は、タイピングを

「知識」

ではなく、

「神経の訓練」

だと思っていたからだ。

例えば

「さ」

私は子どもたちに、「さ」だけを1分間連打させた。

理由は単純だ。

「さ」は左手の小指と薬指を使う。

人間は弱い指を避けたがる。
特に薬指と小指は、思うように動かない。

だからこそ、鍛える必要がある。

これはピアノでいう

「ハノン」

に近い。

ピアニストは、曲の前に指の基礎訓練をする。


音楽のためではない。

身体を整えるためだ。

ITも同じだと思う。

現代の仕事は、肉体労働ではなく「神経労働」だ。

タイピングが遅い。
キー配置が身体化されていない。
小指を使えない。

たったそれだけで、人は疲弊する。

逆に、タッチタイピングが完全に身体化されると、脳は

「入力」

ではなく、

「思考」

に集中できる。

仕事が早い人は、頭の回転だけが速いわけではない。

指が迷っていない。

私は、パソコン資格を持っていても、タッチタイピングができない人を何人も見てきた。

それでも資格は取れる。

しかし、実務では苦労する。

だから私は厳しかった。

結果として、児童14名がビジネス文書検定に合格した。


最近、就労移行支援を見ると、

「優しい」

と感じることがある。

もちろん、安心感は大切だ。
否定され続けた人には、まず安全基地が必要だ。

しかし一方で、社会は待ってくれない。

Enterキーを押す速度。
Backspaceを修正する精度。
小指を使い続ける反復。

そういう小さな習慣が、最終的に

「働ける」

に繋がっていく。

社会復帰とは、理想論ではない。

私は最近、そう思っている。

社会復帰とは、

「右小指を、正しい場所へ戻し続けること」

なのかもしれない。



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