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春なの荷|毎週ショートショートnote|入学式の養殖

新入生たちの左耳の後ろには、出荷用のバーコードが印字されていた。
私立白繭学園の入学式は、一分の隙もない芸術品である。

新入生たちは、数ヵ月前から「初々しさ」を徹底的に叩き込まれていた。

一定の角度で揃う礼。
計算通りに潤ませる瞳。

壇上に立つ校長は、新入生たちを見つめ、満足げに目を細めた。


その光景を、モニター越しに査定している者がいた。
「観測者」である。

「この『校長』の威厳、慈愛に満ちた表情。
最高品質の仕上がりだ。今すぐ出荷しろ」


その光景を、さらに上位の存在がモニター越しに見つめていた。
モニターに映る「観測者」の頭上に、管理番号が浮かんでいる。

「素晴らしいシステムだ。まるごと梱包して転送しろ」

この惑星の「入学式セット」は、お隣の銀河の好事家に高く売れる。
生徒も、校長も、観測者も、まとめて一つのパッケージなのである。

個体のバーコードなどは些細なことだ。
いまや、この惑星そのものが、出荷の対象として「養殖」され始めていた。

(410字)
 


田原にかさんの「毎週ショートショートnote」
7回目の投稿です。

今回のお題は「入学式の養殖」でした。

養殖された入学式…。
管理するもの、されるもの。

それを、どんどん入れ子構造にして、
1つの惑星そのものが「養殖」されている世界としました。

——怖いですね。

もちろん、フィクションですし、
これが、地球の話であるかどうかもわかりません。

こんな時代になりませんように……

ちなみに、タイトルの「春なのは、
名曲『春なのに』柏原芳恵(作詞・作曲:中島みゆき)
をもじったものです。


最後に、おまけとして、
1つなごむイラストを貼っておきます。

【春なの

 寝だめカンタービレ × feeling『ふ』

「寝だめカンタービレ」(歌うように寝だめ)と
feeling『ふ』」(「ふ」の天使)のコラボ。

——完全に、もなさんスペシャルですね。


本日は以上です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。

#毎週ショートショートnote
#入学式の養殖




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