合格を聞く岩|毎週ショートショートnote|合格奇岩
その岩は、二本足で立っているように見えた。
地図にも観光マップにも載っていない。
口コミだけで全国の受験生にご利益が知られていた。
合格を祈願すれば、叶えられる。
祈願のルールは、
・岩に自分の名前を刻むこと
・願いが叶ったら、名前を削り取ること
空いた場所に、次の人が名前を書く。
刻まれ、削られ、長い年月を経た岩は、
いびつな姿になっていた。
いつしか人々は、それを「合格奇岩」と呼んだ。
ある日、岩を見た少女が言った。
「耳なし芳一みたい」
全身に文字を刻まれたその岩は、
経文を書かれた耳なし芳一に、よく似ていた。
そう思ってよく見ると、
名前が刻まれていない部分がある。
それは、地面に接した、岩の「足の裏」——
もしかして。
これは足ではなく、耳なのではないか。
二本足に見えたその岩は、
実は、両耳を地面にぴったり押し当てていたのだ。
ある人が岩の足元、いや、耳元で合格を祈った。
効果はてきめんだった。
それ以降、
岩に名前を刻む者はいなくなったという。
(410字)

田原にかさんの「毎週ショートショートnote」の企画、
3回目の投稿です。
今回のテーマ(お題)は「合格奇岩」。
不思議なタイトルです。
最初に浮かんだイメージは、
文字がたくさん刻まれた岩でした。
そこから、耳なし芳一を連想し、
「じゃあ、もし、岩に耳があったら?」と考え、
『合格を聞く岩』という作品になりました。
今回も、最初は600字以上ありました。
短くまとめるのは難しいものです。
最後に、言わせてください。
頑張れ、受験生!そのご家族!!

本日は以上です。
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