キューティーセラミー②(なんのはなしですかVer.)【魔法少女 編】
この話はフィクションです。
実在のあれこれとは一切関係ありません。
<前回のお話>
現在、きのころは、別の世界に転生している。
この世界は、マンガやアニメなどが非常に少ない。
なんやかんやあって、きのころ原案のアニメ、
『キューティーセラミー』の放映が開始されたが、
なんやかんやあって、低視聴率にあえいでいる。
『キューティーセラミー』の放映が始まってから、
もう少しで3ヵ月が経過しようとしていた。
第1クール終了である。
その間、視聴率はアップダウンを繰り返していた。
アニメ制作会社の企画担当者は、ヤバ井という。
ヤバ井が言った。
「とにかく、危ない時期は乗り切りました。
磁器だけに」
きのころは、とりあえず、
「じきになんとかなるでしょう。
磁器だけに」
と乗っかった。
乗っからずにいられないのである。
ヤバ井は首を左右にゆっくり振った。
「打ち切りの危機は免れましたが、
まだまだ予断を許さない状況が続いています」
思えば、『キューティーセラミー』は平和なアニメだった。
セラミーが使う武器は、
自ら作り出す「変身磁器」と呼ばれるさまざまな磁器。
対する敵は、世界中の磁器の破壊を企む犯罪組織
「セラミッククラッシャー」である。
この両者に戦いは成立するか。
「竜虎相搏つ」という言葉がある。
いずれ劣らない最強の英雄・豪傑などが勝負する、
という意味だ。
「矛盾」という言葉もある。
これは、最強の矛と最強の盾が戦うところに
意義がある。
『キューティーセラミー』のように、
・片方が、磁器しか武器ないマン
・片方が、磁器は絶対に壊すマン
こんなのは、相性が悪すぎて、そもそも戦いにならないのだ。
それでは、セラミーはどうしたか。
——戦わなかったのである。
ある時は、コーヒーをいれた。
ゆっくりとカップを両手で包み、
敵の前で、ただ静かに飲んだ。
ある時は、花瓶を取り出し、
その場にあった草花を生け、
しばらく無言で眺めたりした。
時には、幸福の壺をずらりと並べ、
まったりした空気を共有した。
時には、香炉で御香をたき、
煙の向こうで微笑んだ。
磁器の破壊を目的とする相手に対して、
磁器は人生の一部であることを示したのである。
ところが、視聴率低迷によるテコ入れとして、
放送開始から2ヵ月経過を境に、
『キューティーセラミー』は大きく方向転換する。
それまで、悟り系だったアニメが、
突然、戦うアニメになったのである。
バトルシーンが増え、アクションが強調され、
毎週のように、敵と激しくぶつかり合う展開が続いた。
<バトルシーンMV動画>
柴犬あんさんが、私の昨日の記事を見て、
バトルシーンMV動画を作ってくれました。
「キューティーセラミー」のテーマ曲に乗って、
セラミーが歌い、走り、戦います!
アンさん、ありがとう!
最高です!!
もう一回言います。
最ッ高です!!!
皆さま、ぜひご覧ください。
<本文再開>
こうして、数々の技や武器が考案されたが、
その中でも人気を集めたのが、きのころ考案による
「酸化焼成セーバー」である。
簡単に言えば、
敵に「焼きを入れる」武器である。
酸化焼成
磁器を十分な酸素で完全燃焼させ、
クリアで鮮やかな色合いに焼き上げる方法

このライトセーバーの柄(取っ手)の部分は、
セラミーの作り出した磁器でできている。
セラミーは、このセーバーを振るい、
派手なエフェクトとともに敵を倒す。
それに合わせて、
同名のおもちゃも売り出された。
おもちゃの柄の部分は、軽いプラスチックで、
ほぼ、なわとびの取っ手である。

この商品は、セラミーファンのみならず、
全国の「チャンバラ同好会」からも大量注文を受け、
売れ行きは絶好調だった。
ところが——
そうなると今度は、今まで無関心だった層も騒ぎ出す。
世間の批判的な声が高まってきたのだ。
「突然、暴力的になった」
「子どもが真似をする」
「磁器という割れ物を、
武器として扱うのは危険ではないか」
『キューティーセラミー』は、
特に、PTAから問題視される作品となり、
おもちゃの排斥運動が起こったのである。
そして、今。
いよいよ、もうすぐ「第2クール」が始まる。
第2クールからは、
作品のコンセプト自体を見直すらしい。
ヤバ井が切り出す。
「魔法で戦うってのがいいと思うんですよ」
きのころが、しどろもどろに反論を試みる。
「魔法?
セラミーはアンドロイドで、
変身磁器は科学の力で…」
ヤバ井は、きのころの話をさえぎった。
「それはわかってるんです。
だけど、ちょっとわかりにくいと言いますか…」
そして、こう続けた。
「ぶっちゃけ、
変身磁器は売れない、
PTAでおもちゃの武器も禁止…となったら、
売るものがないんですよ」
「夢を売ってるんでしょう?」
「はぁ?
商品を売ってるんですよ。
商品が行き届いて、ようやく夢が見れる。
商品が先。夢は後。」
きのころは、返す言葉がない。
「新しいコンセプトとして、
『魔法少女』という概念を考えました」
「魔法少女?」
また、元の世界ではおなじみの概念が出てきた。
こちらには、「魔法少女」はいないのか。
ただの一人も!?
「魔法ですから、それらしい呪文が必要です」
「呪文なら、セラミーも『セラミーフラッシュ!』と…」
「そういう、わかりやすいのではなくて、
まさに呪文としか言いようがないものが良いです」
「じゃあ、『マハリク、マハリタ』とかですか?」
「センスないなぁ。
そんな呪文があるわけないでしょう!?」
きのころは、絶句した。
「私は、『テクマクマヤコン』がいいと思っています」
「そ、それって、赤塚先生の『ひみつのアッコちゃん』?」
「いえ、私のオリジナルです」
「えー!?
赤塚不二夫先生を知らないんですか?
天才バカボンとかおそ松くんとか…」
「いえ、その名前は初耳ですね」
ヤバ井は続けて言った。
「キテレツな呪文で話題をかっさらい、
今度は、変身アイテムを売ります」
ブ、ブレない。揺るぎない商魂!
「コーヒーカップに代わって、
毎回登場する磁器はこれになります」

「魔法のコンパクト。磁器製です」
「こ、これは豪華絢爛ですね!
でも、これをおもちゃにするのは、
コストがかかりすぎませんか?」
「その心配はいりませんよ」
ヤバ井は、手をヒラヒラさせた。
「おもちゃにすると、こんな感じになります」

「いや、別物でしょう!?」
「子どもは、そんなの気にしないんですよ。
それらしい形で、それらしい音で、
ピカピカ光らせたら、喜ぶんです!」
ヤバ井はゲスい顔を、
さらにグッと前に出して、こう言った。
「それに、定期的に壊れてくれた方が、
その分、新しい商品が売れるので、
おいしいんですよね」
なんということだ…。
きのころは、頭の中で、がっくり膝をついた。
「そうそう、第2クールからは、
魔法少女をイメージして、
セラミーのビジュアルも少し変更になります」
<「第2クール」キー・ビジュアル>

きのころが、ハッとする。ハットだけに。
「この帽子、
サリーちゃんが被ってたやつでしょう?
やっぱり、『マハリクマハリタ』じゃないですか!」

東映アニメーション公式サイトより
「この特徴は、もう、完全に、
ヤンバラヤンヤンヤンですよ!」
「きのころさん、あたま大丈夫ですか?」
「『魔法使いサリー』は、横山光輝先生です!
『三国志』とか『鉄人28号』とか、知りませんか?」
「もう、ええでしょう」
ヤバ井は、まったく興味がない様子で、
第2クールの展開について、話を進める。
「人に暴力を振るうのはいけない、と言われますが、
作品に、アクションシーンはやっぱり必要ですよ」
そして、企画書のページをめくって——
「これからは、カップを壊しまくります!」
「え?
どどど、どーいうこと!?」

「ちょっと、今、黒猫のジジがいましたよ?
これは『魔女の宅急便』ですよね?」
「ジジではなく、ジキです」
「あー、ジキ。磁器だけに!
って、そんなダジャレのために黒猫出したんですか?」
ヤバ井は黙って、ページをめくる。

「こんなにカップを壊しまくって、いいんですか!?」
「セラミーは、自分で全部、直せるからいいんですよ!
敵に壊される前に、自分で壊しちゃう。
そして、直す。
壊しながら、守る。新しいと思いませんか?」
「ちびっこが真似しませんか?」
「カップのメーカーも、スポンサーに入ってます。
カップがいっぱい割れると、
売上が伸びるので逆に喜ばれるんですよ」

「いや、でも…。でもですよ?
自分の商品が壊れて、嬉しいわけないでしょう?」
「昔、ゴジラやガメラの映画を撮影していたときに、
『ぜひ、うちの会社ビルを壊してほしい』
って話がたくさんあったの知りませんか?」
「あ、それは聞いたことありますね」
「宣伝になるんですよ。
壊れても、番組内ではセラミーが直してくれるから、
悪いイメージはないし、
リアルで壊れた分は、買い直してもらえるし…」
きのころは、がっくりとうなだれた。
世の中は、破壊と再生で回っているのだ。
それにしても、ジジ…いや、ジキが、
ずっと、ボー然としてるのが気になる…。
心のケアが必要かもしれない。
きのころが黙っていると、
ヤバ井が、さらにこんなことを言い出した。
「テコ入れのため、セラミーの友達も追加します!」
「え、急に?
どういう立ち位置で?」
「実は、彼女もアンドロイドなんです」

「これは、サリーちゃんの友達のよし子ちゃんです!
間違いありません!!」
「他人の空似じゃないですか?」
「こんな他人はいないんですよ!!」
「ていうか、タイトルも変わってません?
なんですか、『ふたりはセラキュア』って?」
「これは、イメージイラストです。
タイトルは「キューティーセラミー」のままですよ。
あ、そうそう、
右の、緑服の子の弟…三つ子も見ますか?」
「三つ子?」(白目)

きのころは意識が遠のいた。
果たして、第2クールはいったいどんなことになるのか。
to be continued…?
<バトルシーンMV動画>(再掲)
最後に、もう一度、
柴犬あんさん作成のバトルシーンMV動画を貼っておきます。
皆さま、ぜひぜひ、ご覧ください!
<歌詞>(作詞:柴犬あんさん)
[Intro - spoken]
「あるときは花瓶、
またあるときは壺、
しかしてその実体は…!」
「キューティーセラミーさっ!」
[Verse 1]
このごろ はやりの やきものガール
カップのふちに すわるおんなのこ
こっちをむいてよ セラミー
だってピカッと
だってだってピカッとだもん
[Chorus]
おねがい おねがい たたかないで
わたしのカップが
カチャカチャしちゃうの
イヤよ イヤよ イヤよ
おとしちゃイヤー
セラミーフラッシュ!
[Verse 2]
いまどき にんきの かまどガール
あつあつかまの おんなのこ
こっちをむいてよ セラミー
だってワクワク
だってだってワクワクだもん
[Chorus]
おねがい おねがい わらないで
わたしのおはなが
ヒクヒクしちゃうの
イヤよ イヤよ イヤよ
こなまみれイヤー
セラミーフラッシュ!
[Verse 3]
このごろ はやりの しろいカップガール
つるんとゆうやくの おんなのこ
こっちをむいてよ セラミー
だってドキドキ
だってだってドキドキだもん
[Chorus]
おねがい おねがい おいかけないで
わたしのおめめが
キラキラしちゃうの
イヤよ イヤよ イヤよ
みつめちゃイヤー
セラミーフラッシュ!
[Outro]
セラミッククラッシャー きたら
カップをもって はしるのさ
あるときはかびん
またあるときはつぼ
きめぜりふはこれ
かまるわよう
セラミーフラッシュ!
本日は以上です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
<続編はこちら>
たくさんのnoteの中から、私の記事を見つけて読んでいただき、
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