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台北101からレトロ村へ。究極の茶芸に感動した私が、夜にピザを食べた理由。 【無計画親子の台北、行き当たりばったり旅行記】第9話

「今まで烏龍茶を舐めてました、すみません。」予約なしで突撃した台北の隠れ家カフェで、ハートを撃ち抜かれる究極の茶芸を体験!…からの、猛暑で体力を削られ、スパイス疲れから台湾の夜にまさかのピザを喰らう。遠近感がバグる台北101のベストショットとともにどうぞ!






台北101からレトロ村へ。究極の茶芸に感動した私が、夜にピザを食べた理由。

圧倒的スケール!台北101と、時が止まった「四四南村」

下調べなしの足マッサージで足を軽くし、ローカル小籠包とマクドナルドという、大人も子どもも大満足の黄金リレーでエネルギーをチャージした私たち。次なる目的地は、台北の絶対的ランドマーク「台北101」です。
かつて世界一の高さを誇ったというそのビルは、まだかなり距離があるUberの車内からでも、はっきりとその姿を現しました。


「……デカい。想像以上にデカい」
台北の澄み切った青空に真っ直ぐ伸びる姿は圧倒的の一言。


近代的なビル内には一風堂やスターバックスなども入っており、日本の都会にいるような不思議な安心感も漂います。


そこから、すぐ近くにある歴史的スポット「四四南村」へと移動しました。

近代的な高層ビルがそびえ立つ信義エリアのど真ん中にありながら、ここだけまるで時間が止まったかのようなレトロな平屋が集まる、かつての軍人家族の村(眷村)です。


しかし、台湾の初夏は想像以上に過酷でした。容赦なく照りつける太陽。あまりの猛暑に、息子にはすかさず日傘を持たせます。


ここからは、古い低層の建物越しに、現代の象徴である台北101を間近に仰ぎ見ることができます。


なんとも言えない、新旧がパツッと切り替わったかのような不思議なコントラストが目の前に広がりました。
息子が遠近感を利用して記念撮影をしてみましたが、ビルが大きすぎて、もはや遠近感がバグって見えるほど。最高の思い出の一枚になりました。



飛び込みで挑む、大人の隠れ家「三徑就荒」で究極の茶芸体験

しかし、楽しさの裏で、暑さはじわじわと体力を奪っていきます。「これ以上外にいたら溶ける……!」ということで、涼を求めて避難することに。
ここで私には、台湾に来たらどうしても体験してみたい大本命がありました。それが「茶芸」です。
訪れたのは、信義エリアの路地裏に佇む「三徑就荒(Hermit's Hut)」というお店。


外観からして息をのむほどおしゃれで、入る前からテンションは爆上がり。しかし、ここで一つの問題が。いつもの通り行き当たりばったりの旅のため、予約を全くしていなかったのです。

「このおしゃれ空間に、飛び込みで入れるだろうか……」

恐る恐る暖簾をくぐったのは夕方の4時半ごろ。夕食には少し早い絶妙な時間帯だったことが功を奏したのか、幸運にも貸切状態!スタッフの方も快く私たちを迎え入れてくれました。
さらにありがたいことに、日本語が話せるスタッフの方がいらっしゃり、初心者である私たちに一から丁寧に作法をレ伝授してくれました。


1 温壺・温杯(おんこ・おんはい):まずはお湯で急須や杯を温め、香りを引き立たせる準備をします。
2 投茶(とうちゃ):美しい茶葉を急須へ。
3 洗茶(せんちゃ):最初にお湯を注いだら、すぐにそのお湯を捨てます。茶葉を優しく目覚めさせる儀式です。
4 浸出(しんしゅつ):再びお湯を注ぎ、数秒間、静かに待ちます。
5 茶海(ちゃかい)へ移す:急須のお茶を、一度背の高い器(茶海)へすべて注ぎ切ります。これによって、どの杯も同じ濃さ均一になります。
6 味わう:そしていよいよ、それぞれの茶杯に注ぎ、香り、水色、味をじっくりと堪能します。
この一連のプロセスを、実際に自分の手で行っていきます。
そして、淹れたてのお茶を一口。



「……美味い、美味すぎる!!」



正直に告白します。これまで私は「烏龍茶」というものをどこか侮っていました。普段、何も考えずにペットボトルでお世話になっていたそれとは、完全に別次元の飲み物だったのです。びっくり仰天、これまでの私の烏龍茶観が音を立てて崩れ去りました。
紅茶とも緑茶とも違う、奥深い風味と華やかな香り。ハートを完全に撃ち抜かれる、最高の体験となりました。




異国の地で出会った無印の謎、そして「五香粉」からの逃避行

お茶で身も心も潤った後は、近くの商業施設をブラブラ。そこには日本でもお馴染みの無印良品やカルディが並んでいました。


ふと台湾の無印の棚を見ると、見たことのないボトルが。なんとフルーツフレーバーの「クラフトビール(お酒)」が売られているではありませんか!


「日本の無印でお酒なんて売ってたっけ……!?」
好奇心で購入して飲んでみたところ、これがめちゃくちゃに美味しい。ぜひ日本でも定番化してほしいと切に願うばかりです。
さて、すっかり夜になり、今日の晩ご飯をどうしようかと家族で相談していた時のことです。

それまで静かだった妻が、少し困ったような顔で静かにこう切り出しました。

「……ちょっと、五香粉(ウーシャンフェン)がキツくなってきたかも(汗)」

そう、台湾といえば、滷肉飯(ルーローファン)に牛肉麺など、何を食べてもあの独特でスパイシーな「五香粉」の香りが迎えてくれます。街を歩いていても常に漂うあの匂い。私は全くへっちゃらなのですが、妻の鼻と胃袋は、どうやら限界を迎えてしまったようです。本日は「完全五香粉レス」な食事を熱望とのこと。

ホテルへ戻り、家族で緊急作戦会議を開きます。
「五香粉が入っていない、確実に安全な食べ物は何か……」

検索の末、ホテルの近くに一軒のピザ屋さんを発見しました。ここなら絶対に五香粉の魔の手(?)は及んでいないはず!


まさか台湾にまで来てピザを囲むことになるとは思いませんでしたが(昔ベトナムへ行った際も、なぜか超有名ピザ屋「4P's」に吸い込まれた前科があります)、いざ入店。


テーブルに並んだのは、トマトが乗ったマルゲリータ、パエリア、フライドポテトにサクサクのフライドチキン。


「素晴らしい……完璧なノン・五香粉だ!」
久しぶりの安心感ある洋食(?)を前に、妻の顔にみるみる元気が戻っていくのが分かりました。異国の地で食べるピザ、ジャンキーですが五臓六腑にしみわたる美味しさです。
こうして平和に美味しい夕食を終えた私たち。しかし、この時の私たちはまだ気づいていませんでした。台湾の殺人的な暑さと、ここまでの強行軍による疲れによって、自分たちの体力がすでに「限界突破」の一歩手前まで来ていたことに……。




次回予告

奥さんと息子は疲れが押し寄せてダウン。午前中はホテルでゆっくりするとのこと。
そのため別行動。
40代おじさん、初めて海外の公共交通機関に乗る。
台湾のバスは手を上げないと停まってくれない。ダイパのためか、みんな停留所手前で清算を済ますなど、謎ローカルルールに翻弄されながら、一人で故宮博物館を目指す。
ご期待ください。









台北101ってなんじゃ?


台北101は、台湾の首都・台北市信義区にある、台湾を象徴する世界的な超高層ランドマークです。その主な特徴は以下の通りです。

基本情報

構造:地上101階、地下5階建て。高さは約508メートル。
歴史:2004年に完成。2007年にドバイの「ブルジュ・ハリファ」に抜かれるまで、世界一高いビルとしてギネス認定されていました。現在でも台湾で最も高い建築物です。
デザイン:中国の伝統的な「宝塔」と「竹」をモチーフにしており、8階分を1つのユニットとして8つの節が連なるユニークな形状をしています。末広がりの「八」にちなんだ設計で、風水や縁起を意識した工夫が随所に見られます。


主な見どころ

展望台:89階の屋内展望台からは、台北市街を360度見渡すパノラマビューが楽しめます。また、91階には屋外展望台があり、風を直接感じながら開放的な景色を眺めることができます。
ウィンドダンパー:ビルの88階から92階にかけて、地震や強風による揺れを抑える巨大な金色の球体「チューンド・マス・ダンパー」が設置されています。これは観光客が間近で見学できる世界でも珍しい装置で、台北101の心臓部として知られています。
ショッピングモール:地下1階から地上6階までは高級ブランドショップ、レストラン、フードコートが入るショッピングセンターになっており、観光や食事の拠点としても人気です。特に、小籠包で有名な「鼎泰豊」の店舗は非常に高い人気を誇ります。

観光のポイント

アクセス:MRT「台北101/世貿」駅の4番出口を出てすぐ目の前にあります。
年越しイベント:大晦日の深夜に行われるカウントダウン花火は非常に有名です。ビルから花火が打ち上がる華やかな光景を一目見ようと、毎年世界中から多くの観光客が集まります。
夜景:夜には建物がライトアップされ、曜日によって色が変化することもあります。
展望台への入場チケットなどは、事前にWebで予約しておくとスムーズです。最新の営業時間やイベント情報は、公式サイトをご確認ください。







四四南村ってなんじゃ?

四四南村(スースーナンツン)は、台北101のすぐ近くに位置する、非常に魅力的な歴史的スポットです。近代的な高層ビルが立ち並ぶ信義エリアのど真ん中にありながら、まるで時間が止まったかのようなレトロな雰囲気が漂う場所です。

歴史と背景

この場所は、1940年代後半に中国大陸から台湾へ渡ってきた軍人とその家族のために建設された、台湾で最初の「眷村(けんそん:軍人家族が住む村)」です。かつては質素な軍人住宅が密集していましたが、都市開発の中で多くの眷村が取り壊される中、ここは歴史的価値が認められ、一部が保存・再開発されました。


ここが魅力です

新旧のコントラスト:四四南村の最大の見どころは、低層の古い建物越しに、現代の象徴である台北101を間近に仰ぎ見ることができる点です。このコントラストは非常に写真映えし、台北を象徴する風景の一つとして人気があります。
リノベーションされた空間:現在は、当時の建物がカフェ、雑貨店、展示スペース、文化施設として再活用されています。手作りの工芸品やアート作品を扱うショップがあり、散策するだけでも楽しい空間です。


歴史の息吹:園内には、当時の眷村の人々の暮らしを紹介する小さな博物館のような展示もあります。台湾の複雑な近現代史を垣間見ることができる場所でもあります。
イベントと市場:週末には屋外でクリエイターによるマーケットやポップアップショップが出店されることが多く、非常に活気があります。

観光のアドバイス

台北101とセットで:台北101から徒歩圏内(約5〜10分程度)ですので、展望台やショッピングを楽しんだ後に、少し落ち着いた場所で一休みするのに最適です。
所要時間:それほど広い敷地ではないため、ゆっくり写真を撮ったりカフェで休憩したりしても、1時間ほどあれば十分に満喫できます。
開館時間:月曜日は定休日となっているので、訪れる際は曜日にご注意ください。
台北の華やかな部分だけでなく、かつての生活の歴史と現代のアートが融合した独特の空気感を楽しめる場所です。落ち着いた雰囲気がお好きでしたら、ぜひ足を運んでみてください。







茶芸ってなんじゃ?

茶芸(ちゃげい)とは、単にお茶を淹れて飲むという行為を、「いかに美しく、心地よく、そして美味しく行うか」という芸術の域にまで高めた文化のことです。特に台湾や中国において、歴史と精神性が深く結びついた伝統文化として親しまれています。
あなたが「三徑就荒」で体験された時間は、まさにそのエッセンスを凝縮したものであったはずです。


茶芸の核心にあるもの

茶芸を構成する要素は大きく分けて以下の3つです。
1. 「芸」= 淹れる所作の美しさ
  お湯を注ぐ高さ、リズム、茶器の扱い方など、一連の動作に美意識を込めます。これは淹れる側が心を落ち着け、飲む側への「敬意」を表すための所作です。
2. 「道」= お茶を通じた精神の修養
  忙しい日常を離れ、お茶の香りや味に集中することで、自分自身を見つめ直す時間です。茶芸は、飲む人と淹れる人がその空間と時間を共有し、静かな対話を楽しむためのツールでもあります。
3. 「器と空間」= 総合芸術
  お茶の種類に適した茶器(紫砂壺、蓋碗など)の選択、そしてお茶を味わうための空間演出(床の間の設えやBGM、照明など)すべてが調和して初めて成立します。


日本の「茶道」との違い

よく比較されますが、大きな違いはその「形式」と「味わい」にあります。
日本の茶道:非常に厳格な作法(様式)を重視し、精神世界や禅の哲学が中心にあります。主に抹茶を使用します。
台湾の茶芸:形式や礼儀を大切にしながらも、より「お茶本来の味や香りを楽しむ」ことに重きを置いています。烏龍茶などの茶葉を何度も淹れ直し、その過程で変化する味わいの妙を、会話を楽しみながら味わうのが台湾流です。


茶芸を深めるキーワード

もし今後、台湾で茶芸館を巡る際、以下の言葉を知っているとより深く楽しめるはずです。
功夫茶(工夫茶):茶芸の基本的な淹れ方。小さな茶器を使い、手間をかけて丁寧にお茶を抽出するスタイル。
聞香杯(もんこうはい):縦長の器。お茶の「香り」を逃さず、深く吸い込むための道具。「味」だけでなく「香り」が主役になるのが台湾茶芸の特徴です。
洗茶(せんちゃ):最初にお湯を注ぎ、すぐにそのお湯を捨てること。茶葉を呼び覚まし、不純物を取るための儀式的なステップです。
「三徑就荒」のような場所は、伝統的な茶芸の魂を現代的なミニマリズムで再解釈しており、いわば「現代の茶芸」を体現している非常に貴重な空間です。機械的な効率化とは対極にある、あの「あえて手間をかける贅沢」こそが、台湾茶芸が多くの人を惹きつける理由かもしれません。
日常で技術的なトラブルシュートや生産管理という論理的な業務に携わられているあなただからこそ、茶芸のように「五感に集中する時間」は、非常にリフレッシュ効果が高いのではないでしょうか。






おわりに

今回の旅は、台北の「新」と「旧」、そして「伝統」と「現代」が絶妙にミックスされた非常に濃密な一日となりました。ガイドブック通りにはいかない、飛び込みでの茶芸館での素晴らしい出会いや、現地ならではの無印良品での発見。そして、現地のスパイスが体に馴染みきれず緊急避難したピザの味も、すべて含めて「旅の醍醐味」そのものです。家族それぞれの限界や好みに寄り添いながら、臨機応変に作戦を変えていく楽しさが、ロードムービーのような思い出深い1ページを作ってくれました。


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