2026年世界人工知能大会(WAIC 2026)特集:Physical AIだらけ
2026年世界人工知能大会(WAIC 2026)が2026年7月17日~20日、上海で開催された。中国主導で2018年から始まり、今回で9回目となる。公式発表によれば、参加は102の国・国際機関に及び、29ヶ国がWorld Artificial Intelligence Cooperation Organization、WAICO設立協定に署名した。経済面でも数字は大きい。上海で32件の重点AIプロジェクトが署名され、総投資額は409億元超。意向購買額は203.6億元で、前年比25%増とされる。
今回、開幕式で習近平国家主席が基調講演を行い注目を集めた。その発言からは中国がAIを政治・外交上の戦略に位置付け、明確には言及は無かったものの、WAICO設立とともに、リアルインフラの一帯一路、ITC方面のデジタル一帯一路に次ぐ、AI一帯一路として今後、その中核にWAICが据えられる可能性が高い。
今回は何と言ってもPhysical AIとEmbodied AIばかりとなった感がある。そして、そればかりになったために、逆にこの現実の物理世界以外で動くAI、代表的にはChatGPTなどクラウドLLM特化をDigital AIと言い始めることも多くなった。中国語でPhysical AIは物理AI、Embodied AIは具身智能と呼ぶが、日本語では通常、英語のカタカナ読み、フィジカルAIであり、エンボディドAIと呼ぶ。
しかし意味を考えた時、中国語の翻訳の方が正しい。フィジカルはともかく、日本語としてエンボディドは定着していないし、一般に意味が分からない。しかもそのフィジカルにしても、日本語から感じられるその語感は体躯・筋力を思わせる。それでは原義から遠く離れる。
当方はここで提唱したい。Digital AI(デジタルAI)とPhysical AI(物理世界AI)にまず分けられる。その上で、その横軸にEmbodied AI(身体性AI)にまつわる身体性の有無をクロスさせると四つのカテゴリ(実質三つ)が可能になる。非身体性のデジタルAI(ChatGPTなど)、非身体性の物理世界AI(E2E自動運転など機能)、身体性のデジタルAIというのは今のところ無いから、身体性の物理世界AI(ロボット、クルマなど)と分けられる。少なくともこの区分にしなければ、今回WAICで語られたことは何も理解できない。

どちらにしろ、AI競争の焦点は単なる大規模モデルの性能向上から、世界モデル(World Model)、数学、Physical AI、AIエージェント、Token経済、AI for Scienceへと広がりつつある。モデル単体ではなく、「現実世界で継続的に機能するAIシステム」をいかに構築するか――中国AI産業が見据える次の発展段階を理解する上で今回のWAIC 2026はいずれ、その転換点として銘記されるイベントになりそうだ。
ここでは、世界に先駆けて急速にAI Vehicle(AIV)化が進む中国のモビリティ×AIという側面を捉えて、関連企業のブース出展及びその世界観などをまとめた。最近でこそ日本でも言われ始めたポストSDVとしてのAIDV(AI定義車)、しかし中国はさらにその先を行っている。そういう世界線にある中国AIモビリティを真に理解している日本人はいるのだろうか。
公式が発表したWAICの数値
2026年7月20日15時時点
上海4日間・3か所・4会場
現地来場者延べ43万3,000人
世界でのオンライン視聴32億2,000万回
GLOBAL AGENDA
102の国および国際機関
世界各地からの登壇者・ゲスト1,500人以上
最高位級の賞の受賞者11人
フォーラム158件
重要成果の発表251件
AI IN ACTION
展示面積10万平方メートル
14の国・地域
出展企業1,117社
展示品4,486点
世界初公開351点
GLOBAL CONNECTIONS
国内外の優秀なスタートアップ・プロジェクト180件
投資家代表200人
世界の主要な調達177団体
FDE専門家30人以上
調達ニーズ212件以上
合意・意向段階の調達金額約203億6,000万元
GLOBAL BUZZ
世界のメディア1,200社
登録記者3,720人
ネット上の報道計713,475件
累計露出384億回
