丸ごとじゃがいもが、器になったグラタン
私は昔から、じゃがいもというものを、ただの脇役だと思っていた。カレーに入る。シチューに入る。
肉じゃがの主役は、まあじゃがいもなのだけれど、それにしても「いつも誰かと一緒にいる野菜」という印象が強かった。
ところが今日、そのじゃがいもが、まさかの「器」になった。
事の始まりは、じゃがいもを丸ごと茹でることである。

鍋の中でぐらぐらと、四つのじゃがいもが揺れているのを見ていたら、なんだか温泉につかっているおじさんたちのように見えてきて、私はしばらくぼんやりとそれを眺めていた。
よく火を通すというのは、見ているだけでは進まないのに、なぜか見てしまう。これも一種の現場監督気分というやつであろう。

茹で上がったじゃがいもを天板に並べ、上から小さなガラスのコップでぎゅっと押す。すると皮がぱりっと割れて、中の白い実がもわっと盛り上がってくる。

これがなかなかいい音で、ぎゅう、というよりはむしろ「ふごっ」という感じであった。皮ごと潰すのがポイントで、皮を律儀に剥いていた今までの自分の人生を、少し振り返ってしまった。
剥かなくていいのなら、剥かない方がいいに決まっている。私はそういうことに、長年気づかずに生きてきたのである。

そうしてできた四つの「じゃがいも器」に、まずはホワイトソースをかける。ベーコンとしめじを入れたホワイトソースで、鍋の中で白くふつふつと煮えているのを見ていたら、それだけでもう満足してしまいそうな気配があった。
が、ここで満足してはいけない。今日の主役は、まだ先がある。

ホワイトソースの上に、トマトソースを少し。さらにチーズをたっぷり。とうもろこしも見えたから、誰かが気を利かせて入れたのだろう(私である)。
色合いとしては、赤と白と黄色が入り乱れていて、もはや国旗のような様相になってきた。どこの国旗かは、わからない。

230度のオーブンで20分。チーズがこんがり焼けて、ところどころ茶色く焦げているのが、むしろ美味しそうに見えるというのは、不思議な現象である。
焦げているのに美味しそうだなんて、本来おかしな話なのだが、グラタンというのはその矛盾を許される食べ物なのだ。

出来上がったものをフォークで持ち上げると、じゃがいもの実とチーズが、名残惜しそうに伸びた。
器であるはずのじゃがいもが、自分の中身を惜しみなく差し出してくる感じがして、なんだか潔いなと思った。
器なのに、最後まで自分も食べられる。これはなかなかの覚悟である。
最後まで読んで頂きありがとうございます😊
🍽️ 今日の献立メモ
• じゃがいも(丸ごと茹でて器に)
• ホワイトソース(ベーコン、しめじ入り)
• トマトソース
• チーズ
• とうもろこし
• 230度のオーブンで20分焼成
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