【体外受精】良い胚盤胞から順に移植するのが正解なのだろうか?|P-11
2024年頃の妊活を振り返って投稿しています。
妊活は、個人差が大きく生じるものです。わたしたちが「偶然こうなった」というものもあるかもしれません。ご留意のうえ読み進めていただくようお願いします。
ここ最近の流れ:
(7)採卵周期① クロミッド法
(8)採卵周期② クロミッド+rFSH法
(9)受精方法と結果
(10)初期胚と胚盤胞 評価の相関
前回までに、採卵 → 受精 → 胚盤胞凍結 まで至りまして、いよいよ移植周期へと進んでいく前に、調べたことと想ったことをまとめました。
胚移植についておさらい
新鮮胚移植と凍結胚移植
体外受精において、採卵して受精成功した「受精卵」は、
(A)新鮮胚移植
その周期に子宮へ戻す
(B)凍結胚移植
初期胚または胚盤胞を凍結して、次周期以降に子宮へ戻す
…いずれかの方法をとることになります。
かつては「新鮮胚移植」が一般的でしたが、凍結技術の進歩により、「凍結胚移植」のほうが多数派になっているようです。
これは、採卵するためのホルモンの条件と、移植後に着床・妊娠継続するためのホルモンの条件が異なり、いったん身体の「採卵モード」をリセットしてから移植に進んだほうが、良い結果が得られやすいためです。
ただし、凍結胚移植だと何度トライしても陰性だったが、新鮮胚移植にしてみたら陽性…という事例もあるそうで、凍結胚移植のほうが高度な手法と言い切れるものでもありません。
自然周期とホルモン補充周期
さらに(新鮮であっても、凍結であっても、)胚を子宮内へ戻す方法は大きくわけて2通りあります。
(1)自然周期
・排卵させて、黄体ホルモンを分泌させる。
・卵胞の生育次第で通院スケジュールが随時変わる。
・卵胞が育ったらhCG注射で排卵させて、そこから5日目に移植。
(2)ホルモン補充周期
・排卵させないで、黄体ホルモンは薬で補う。
・スケジュールを決め打ちしやすい。
・月経開始2日目からエストロゲンを補充、
14~15日目から黄体ホルモンを補充し、そこから5日目に移植。
・エストロゲンの作用によりFSHが抑制されて卵胞が育ちにくい(なので排卵しないはずだが、絶対ではない。)
どちらのほうが優れている…というものではありませんが、スケジュール管理のしやすさから、(2)ホルモン補充周期を選択することが多い ようにみえました。
※ 以下の記事にも、全体的な基礎事項をまとめていますので、よろしければご一読ください。
また、こちらの外部リンクも参考になるかと思います。
どの胚盤胞を融解するのか?
胚盤胞の成長レポート
さて、わたしたちは 複数の胚盤胞を凍結 しており、いざ胚移植に進むにあたり、
「どの胚盤胞を使うのか?」
というのが気になるところです。
凍結した胚盤胞には、
・「4AA」「3AB」などのグレード
・初期胚からの成長記録
などが書かれて 写真付きで一覧表 になっていて、時間と労力をかけて数個の胚盤胞凍結に漕ぎつけた今、それぞれの胚盤胞に命の源や個性を感じないといったらウソになります。
これは、何十個も採卵できて多数の凍結胚がある場合や、そもそも体外受精を経験せず胚盤胞という状態を意識しなかったら、まったく気にすることはなかっただろうと思います。
そしてこれは、妊娠・出産を無事に終えた後にも、残った胚の凍結保存をいつまで続けるのか?という形で、長期的に続く悩みとなります。
参考外部リンク:
初めに移植するのは「4AAちゃん」
さて、お世話になった医院では、移植の際に どの胚を用いるかは医院任せ になっていて、基本的にはグレードの高いものから使うことになっていました。
わたしたちの場合、トップバッターはグレード「4AA」の胚盤胞で、
「がんばれ4AAちゃん」
「キミならできる」
などと声掛けをしていて、この周期の間はずっと「4AAちゃん」と呼んでいました。
不妊治療(生殖補助医療)における「ゴール」は、妊娠・出産すること であり、不妊の原因を解き明かして根治させることではない…とされています。
そのため、1ターン目には「最も好成績な胚盤胞を用いる」というのは、合理的な選択ではあります。
初手「最も好成績な胚盤胞」で良いのか?
治療のなかで見つかる異常もある
さて、不妊治療・生殖補助医療をしていると、
「次はこれをやってみて、
ダメだったら〇〇の検査をしましょう」
…というものが多々あります。
例として・・・
①タイミング法を試して妊娠せず、
調べたら男性不妊で精索静脈瘤の手術が必要だった
②人工授精を試して妊娠せず、
結果的に受精障害があって、
顕微授精でしか受精しない条件だった
・・・といったものがあるかと思います。
「はやく分かっていれば、ダラダラ試さずにステップアップしたのに…」
と、なるやつです。
胚移植は最終ステップではない
体外受精においても、採卵や受精までうまくいくと
「お~、ここまで来たか」
という達成感があって、
「あとは移植するだけ…」
と、最終ステップに感じてしまいがちなのですが…
移植後にも「胚盤胞以降に育つか」「着床するか」「妊娠継続するか」などなど、チェックポイントがいくつか あります。
グレードの良い胚盤胞から順に何度か移植して妊娠せず、追加で検査をしたら要因が判明。しかし、もう凍結胚盤胞が残ってないぞ、、
…となるのは、もどかしさがあります。
そして、やってみてダメだったら〇〇の検査を…という、いわば実験台のような役目を担うことになる胚盤胞たちの人権はどうなるのでしょうか??
※ 胚盤胞に、医学上や民法上の"人権"はありませんので、過度に悩む必要はありません。
あらかじめ要因調査をすることもできるけど…
たいていの場合、移植のしかた(自然周期・ホルモン補充周期)を変えたりしても陰性が続く場合は、着床前遺伝学的検査(PGT-A)により胚盤胞の染色体を調べたり、子宮内膜着床能検査(ERA)により"着床の窓"を調べて 原因を絞りこんで対処していきます。
しかし、先ほどの胚盤胞の人権云々の倫理的・気持ちの面はさておき、採卵の身体的・精神的負荷の大きさを考えると、
「やってみてダメだったら
〇〇の検査をしましょう」
という方式で進めていくのは、ちょっと受け入れづらいものがあります。
・・・という声を反映していただけたのか、
2025年9月から PGT-A の対象が「女性年齢がおおむね35歳以上の不妊症患者」に拡大されました!
https://www.towako-kato.com/treatment/latest/pgt-a.html
PGT-AやERAといった検査をする場合の厄介なポイントとしては、
「自費診療の検査と、保険診療(3割負担)の採卵・移植」という組合せは認められておらず、すべてが自費診療になってしまう
…という問題があり、そうなると「採卵・凍結・移植・PGT-Aの総額で100万円を超える」というケースもあります。
これについては、2024年からPGT-Aが「先進医療B」というものに位置付けられるなど、保険診療の拡大に向けた動きはありますが、まだまだ道半ば…といったところのようです。
まとめ
今回は、体外受精の移植周期に進んでいくにあたり「どの凍結胚盤胞を融解するのか」という点について、想いを綴りました。
いまふうに言うならば、
・タイパ(いかに早く妊娠するか)
・コスパ(保険診療の枠内で泳ぎたい)
・メンパ(陰性を繰り返すとメンタルきつい)
が、同時に全部は成立しないので、治療をどう進めていくかを決めるために 悩み が生じるのだろうと思います。
次回は、移植周期の1回目(ホルモン補充周期)について紹介します。
妊娠出産シリーズのご案内
・次の記事 P-12 体外受精 移植周期①
・前の記事 P-10 「初期胚」と「胚盤胞」評価の相関
・目次もご活用ください!
