サロン楽屋話047:藤井貴彦はデスノート、羽鳥慎一はブラックバード(笑)──距離を置きつつライバル視しない、その自然体こそ魅力的(連載後編)
大坂なおみの棄権を経て、臨時中編を挟んで再開する『1周回って知らない話』の連載後編。大谷翔平による3連続ホームランの「出来すぎ」コメントを交えつつ、藤井貴彦アナの有能さ、羽鳥慎一アナのブラックバードぶり──2人の対比から、プロフェッショナルの真髄をあぶり出します(笑)。
▶自分で取材したもの以外は信じない。なぜ?
『1周回って~』の備忘録、連載後編です。
人気アナウンサーである藤井貴彦さんと羽鳥慎一さんの2人は、対照的と伝えます。
放送できないゴシップ「ピー音」の中身を知りたがる羽鳥アナが、藤井アナに「知りたくないの?」と尋ねたやり取りはこちら。
すると「自分で取材したもの、自分の部署で取材したもの以外は信じられない」と、メディアの中の人である藤井アナが、言い切った。
信じられないのは、なぜ?
嘘が多いからですよ。
それを一般視聴者が盲目的に「信じる」ほうが、おかしいのです。
テニスもまったく同じ構造という話は、後述します。
▶過信すると、絶望する
NHKはスポンサーがないから、比較的印象操作が少ないかもしれません。
「しか」や「も」という助詞を基本的に使わないし、トランプ大統領の吹き替えもありません(関連記事「『しか』と『も』の間に」)。
CMで成り立っている民放が伝える商品やサービスには、どうしたって嘘やごまかしが混じります。
とはいえNHKだからといって過信すると、「NHKの言うとおりにやっているのに、私は治らない!」という絶望感に、かえってさいなまれかねません。(関連記事「プライドが高いほど、自己肯定感は低い」)。
「コーチの言っているとおりにやっているのに、私にはテニスができるようにならない」自己否定と、同じ構造です(関連記事「『その教え方ではできません!』と声を上げる」)。
▶藤井アナの「デスノート」で能力は引き出される
藤井アナの「デスノート」も話題になりました。
気づいたらすぐさまメモするエピソードは、世界陸上の女子走り高跳び覇者、オリスラガースのノートを彷彿させます。
自分を客観視できて、自分で問題を解決できたりする(関連記事「跳んだら即メモ! オリスラガースはノートも金メダル級の速さ」)。
自分で勝手に「気づき」を得るのです。
私たちは能力を発揮するために、外から何かを身につける必要はない。
だから連続写真を見て真似る必要もない、という話は後述。
いかに内にあるものを書き(引き)出すか、です(関連記事「『自然上達』が起こるとき」)。
▶羽鳥・藤井の両アナがダメになるとき
復習になりますが藤井アナの人柄について、「羨ましい」という羽鳥アナですが、羽鳥アナが藤井アナのようになったら、ツマラナイのです。
「何者かになろう」と、しません。
対照的な2人ではありますが、主観的に羽鳥アナは「天真爛漫だけどだらしないなりに誠実」である一方、藤井アナは「几帳面の中にも茶目っ気がある」印象。
好対照。
しかし、藤井アナは羽鳥アナのように、羽鳥アナは藤井アナのように、なろうとしない「ありのまま」だから、ひとかどの人になっている(関連記事「何者にもならないでいると、ひとかどの者になる」)。
羽鳥アナが好感度を気にして「几帳面」になったり、藤井アナが「天真爛漫」キャラになったりしたら、各々の魅力はスポイルされてしまうでしょうね。
ええ、好感度を気にするのが、羽鳥アナ(ブラックバード)の「らしさ」(笑)。
▶「ありのまま」だからといって、犯罪や暴力に走っていいのか?
羽鳥アナは、年下にも漏れなく敬語を使うといいます。
その謙虚さを見習おうとして、皆さんまで年下に敬語を使う必要などありません。
それはやっぱり、羽鳥さんだから「似合う」のです。
とはいえ年下が出世したときに、自分を起用してもらえるようにする戦略とバラされました(笑)。
「自分らしく」「ありのまま」を崩さないこと。
それを極めた先に、宝があります。
横柄なら、横柄を極めた先に個性が輝きます。
そういう一面を可愛らしく思う(人もいる)のです。
犯罪や暴力は論外。
犯罪や暴力に走るのは、ありのままの自分を「否定」されて、生きてきたからにほかなりません。
▶リスペクトがあるから、呼び捨てできる
ブラックバードの戦略?
でも本当は、そうじゃない。
むしろ「呼び捨て」にして親しくなれば起用されるのだから、羽鳥アナによる「純粋なリスペクト」なのだと思います。
こちらの明石家さんまさんが(意図した演出でもない限り)「村上ショージさん」「ジミー大西さん」などとへりくだったら、面白くない。
むしろ「ビート!」などと呼び捨てするから、親しみやすいのです(関連記事「『楽しませる』はギャグじゃない──自分が楽しめば伝わる」)。
そして呼び捨てにできるのは、北野武さんを、リスペクトしているからにほかなりません。
付け加えておくと、二桁奪三振、1試合で3本のホームランを打った大谷翔平は「出来すぎだった」と顧みました。
「すごいだろ!」と言っていい活躍だと思うのですが、そうは言わないのが大谷翔平「らしさ」なのだと思います。
ブラックバードと呼ばれていちばん「オイシイ」思いをしているのは、ほかのだれでもない羽鳥アナなのです(笑)。
▶トッププロと、ゆうちゃみ
それは私たちとて、同じこと。
何者かになろうとせずに、「ありのまま」でいると、あなたなりの魅力、能力が、にじみ出る。
それは努力せずとも持っている、あなたにとって「空気」のような資質だから、自分では魅力、能力に、気づきにくいのです。
だけど、空気がなかったら、生きていけないくらい困るのです。
オタクならオタク(関連記事「リレー侍もルフィポーズ! アニメが世界を走らせる」)。
バカならバカ(関連記事「スティーブ・ジョブズの『ラストメッセージ』」)。
自分は知らないのに、知ったかぶりをするのが、迷惑なのです。
幼いころからプレーしてきたプロは、少なくともテニスに限っては「天然さん」なのに、引退してから「これぞアカデミック!」とばかりに博識ぶるから「人工」的になって、指導がおかしくなる(関連記事「ドロップショットの打ち方、アルカラスに聞いてみたら?」)。
「過去に総理大臣を経験している中で、なんで総理大臣に名乗り出なかった?」
逆にゆうちゃみさんは、知ったかぶりしない「らしさ」が称賛されました。
Yahoo!版
配信元の習慣女性PRIME
https://www.jprime.jp/articles/-/38758#goog_rewarded
▶テイクバックは、下から上から?
常識的なテニス指導においては、レッスン生を何者かにしようとする解説が、後を絶ちません。
いわく
伊達公子はテイクバックを、下から引いている。
ジム・クーリエのインパクトは、ヒジは曲がっている。
マイケル・チャンのフォロースルーは、ワイパースイングで振り抜いている。
そんな解説ばかりです。
だけど、ロジャー・フェデラーはテークバックを、上から引いていました。
カルロス・アルカラスのインパクトは、腕がストレートアームです。
ラファエル・ナダルのフォロースルーは、リバースで振り抜かれました。
連続写真に、丸をつけたり、矢印を入れたりするのは、手品師のやり方なのでしたね。
ここから先は
スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero
