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『月収』Audible感想|売れない雑貨店で聴いた、お金と暮らしの話


Audibleで原田ひ香さんの『月収』を聴いた日の、雑貨店の午後の話です。


▼今回聴いた本
Audible版『月収』




朝から、少しだけ雨が降っています。
こちらは月収、あちらは昼寝。
うちの店の午前中は、だいたいいつもこんな調子です。


春の雨は、音まで控えめでいい。
この街のダムはまだずいぶん頼りないので、
最近は雨のほうが少しうれしい。


そんな日に選んだ服は、
ティアードフリルのペプラムブラウス

お腹まわりが気になるとき、このブラウスを選ぶ。





プクはいつもの椅子の上で、もう昼寝のしたくをしていた。
まだ午前中なのに、仕事が早い。

丸くなる前に二度ほど向きを変えて、眠りやすい場所を決めるあたり、
見ているぶんにはずいぶん丁寧である。




店は相変わらず、閑古鳥が鳴いていた。

こういう日は、きっと雨のせいだと思いたい。
昨日もその前も、たいしてにぎわってはいなかった気もするけれど、
そこまで正直になる必要もない。


前回の買い出しの帰り道から、Audibleがすっかり気に入ってしまった。
最初は電車の中だけのつもりが、最近は料理中にも聴いている。

前に、テレビを見ながら玉ねぎを切っていて、指までざくりと。
あの日以来、台所では画面を見ないことにした。

音楽か、ラジオか。
そこへ、ここ最近はAudibleが加わった。


目は手元に置いたまま、耳だけ別の場所へ行けるのがちょうどいい。
今日は、鍋に火をかけながら『月収』を聴いていた。

ずいぶん、景気のいいタイトルである。



うちみたいな店の午前中に流すには、少し生々しい。
もっと別の題でもよかったのに、こういう日に限って『月収』である。
自分で選んだくせに、耳に入るたび、少し身構える。

棚には雑貨が並んでいる。
レジもある。
店主も、いちおういる。
けれど、売上のほうは、そう簡単に風景になってくれない。



鍋の湯気を見ながら月収のことを考えるのは、なんだか少しおかしい。
おかしいけれど、笑ってばかりもいられない。
猫缶だって、家賃だって、やさしい気持ちだけでは買えないのである。

こちらは月収。あちらは昼寝。同じ店の中とは思えない。

雨が降ると、少しほっとすること。
玉ねぎを無事に切れたこと。
プクが勝手に気持ちよさそうな場所を見つけること。
そういうものは、月収の欄にはたぶん載らない。

載らないけれど、ないことにもならない。



雨はまだ、遠慮がちに降っている。
プクは椅子の上で、もうすっかり眠っている。
店には、相変わらず景気のいい話がない。

私はたぶん、明日も店を開ける。
月収のことを考えないわけにはいかないけれど、
そればかり考えていると、店の中までからからになりそうだった。

だから今日も、少し雨をうれしく思って、
眠そうな猫を見て、
とりあえず昼ごはんを作る。



まあ、それで急に売上が伸びるわけではないけれど。
鍋の湯気は、ちゃんと上がっている。





今回、店番中に聴いていた本



Audibleを初めて使う方は、無料体験の対象かどうかを先に確認しておくと安心です。
本を開くほどの余裕はない日でも、棚を拭いたり、洗い物をしたりするあいだに、少しずつ物語が進みます。

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