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人事の羅針盤2025に参加して考えたこと

2025年10月18日(土)、人事図書館さんのイベント、人事の羅針盤2025に参加しました。
朝9:30から夜19:00まで、たくさんの有識者のお話をお聴きし、自分の中でゆっくり消化しています。
1週間ほど経ったいま、頭に浮かんできたこと、考えてきたこと、いまの気持ちを吐き出して、残しておきたいと思います。


参加した理由〜皆さんがここに来ているのは必然〜

まず自分に問いたいのは、なぜ僕はこの会に参加したのか、ということです。
登壇者のお一人、太田昂志さんから「皆さんがここに来ているのは必然」というお話がありましたが、なぜ僕は必然的にこの場に来たのか、考えてみたいのです。
潜る性格なので、思いがけず長くなりました。
よろしければ、お付き合いください。

過去の経験から生じた問い

僕は、新卒後約20年間、いわゆる日本の伝統的な大手企業で、総務、法務、人事、経理などコーポレート系の社内キャリアを歩み、ゼネラリストとしての経験を積んできました。
いまは縁あって海外事業の成長戦略の立案やM&Aを推進する部署にいて、一般的にイメージされる人事の仕事からは離れています。
なのに、なぜわざわざ土曜日の終日を使ってここに来たのか。

遡ってみると、社内で管理職試験を本格的に意識するようになった2018年頃、マネジメントへの興味が増しました。

それまでプレイヤーとして1人で仕事を抱えがちだった僕に管理職としてチームメンバーを引っ張ることができるのか、という不安を払拭したかったという理由が1つです。

もう1つは、メンバーの力を最大限生かすにはどうすればいいか、という問いを、潜在的に持っていたのだと思います。

どんなマネジャーになりたいかを考える中で、それまで一緒に仕事をしてきた様々なマネジャーのスタイル、チームとしてのパフォーマンスや雰囲気、僕の気持ちを思い返しているうちに、この問いが芽生えてきました。

マネジャーの中には、僕を信じて任せつつ助言などサポートもしてくれた方もいて、その方のチームでは、日々仕事に打ち込め、気持ちも充実し、成果も残せていたと思います。
一方、中には、その方の意向に合わせて動かざるを得ないような、主体性を発揮しにくい雰囲気や環境を醸成される方もいて、その方のチームでは、仕事をこなすことが中心になり、正直、やりがいや楽しみを感じにくい日々でした。
(いま振り返ると、その方ときちんと向き合わず、アサーティブに意見交換をすることも放棄していた僕も未熟で勇気がなかったと思います。)

後者のマネジメントスタイルにも時代や組織、場面によっては一定の合理性があると思います。一方で、そのチームのメンバーの力がそがれてしまう面もあり、もったいないなぁとも思っていました。何より楽しくない。

せっかく働くなら楽しく働きたいし、メンバー一人ひとりが力を発揮してそれを楽しんでほしい、と考えるようになり、その思いを込めて管理職試験に臨み、何とか合格できました。

合格後、管理職研修の一環で、半年間グロービス学び放題を受講したのですが、ここで学びの意欲に火がつき、動画を見ることが面白くて仕方なくなりました。
チームリーダーとしても、なるべくメンバーと対話し、働きやすい環境を整え、力を発揮してもらえるよう心がけていました。(振り返ると、課題もまだまだ多かったように思います。)

いま思うと、登壇者のお一人、坪谷邦生さんの言葉、「人事とは“人を生かして事をなす”」を、学び、実践することに喜びを感じていました。

異動してチームリーダーという立場でなくなったいまも、キャリアコンサルタントを取得したり、いまは中小企業診断士を勉強したり、経営や組織、リーダーシップに関する本を読んだり、会社の経営のことを考えたりと、「人を生かして事をなす」ことの学びを続けてきました。

問いの深掘り

もう少し深掘ると、僕の中には子どもの頃から自由や美への欲求があり、少しでも多くの人が自由に自分らしく生きるにはどうすればいいか、という問いを持ち続けているのだと思います。
そのために「人を生かして事をなす」ことを学びたいという思いがあります。

「人を生かして事をなす」ことをさらに深めたくて、そしてそれを学び実践する仲間と会いたかった、というのがこの場に来た理由の1つです。

もう1つの理由〜これからどう生きるか〜

もう1つの理由として、いまの立場や今後のキャリアへの迷いがあったことです。

最近、僕が探究したいことや世の中に提供したい価値と、所属する会社が世の中に提供する価値の間にズレを感じるようになっていて、この後どんなキャリアを歩んでいこうかと、考えることが増えていました。
これからどう生きるか、登壇者や参加者の方の話を聴いたり対話したりする中で、何かヒントを得たいという思いを抱いていました。

印象に残ったこと〜すべては1人から〜

さて、イベントの内容は多くの方が素晴らしいレポートを書いてくださっています(いくつかリンクを貼っておきます)。
僕は印象に残ったことを残しておきたいと思います。

よっさん(吉田洋介さん)の熱い思い

この場が生まれたのは、人事図書館館長の、よっさん
こと吉田洋介さんが熱い思いでたくさんの方を巻き込んでいってくれたおかげだと思います。

まさに「すべては1人から」を体現されていて、勇気をもらうとともにこの言葉の力強さを実感しました。

熱く語るよっさん

歴史と理論

午前から午後イチにかけての人事の歴史や理論に関するセッションでは次の言葉が印象に残っています。

「理論はサーチライト」
「理論で説明できるのは、せいぜい現象の20〜30%程度、ただ、それだけあれば大ケガはしない」
「理論は知っておいていい、でも信じすぎるな」
「モデルはない」

これらの言葉から、理論があてはまる場面もあるけど、それですべては説明できない、目の前で起きていることや目の前にいる人をよく観察し(感情も含めて)、対話し、理解し、そのうえで理論も参考にしながら、どうするかを考え、行動することが大事だと思いました。

坪谷さんがよく言う「眼鏡のかけかえ」や、人事の交差点ラジオで中原淳さんが話していた「体系なんてない」「お好きになさい」にも通じると思いました。

また、日本型雇用の歴史、職能制度や評価制度、「「雇用」は重たい。心理的契約や言語化されていないものも含めた契約」という江夏先生のドキッとする言葉を聞いて、坪谷さんの『図解人材マネジメント入門』を読み直してみようと思いました。

太田さんの熱い思い

午後のセッションも半ばを過ぎた頃に、パネルディスカッションに登壇された太田昂志さん、生成AIの活用について語られる中で、
「テクノロジー=デジタルではない。社会学や心理学の実装もテクノロジー。」
と人文知の重要性に気づかされる意見をもらったり、
「意思決定がAIに取って代わられ、『我々が何者か』や『我々がここにいる必然性』を語ることができなくなる未来になる可能性」を示唆され、だからこそ、
「『人事は何者か』を再考する必要がある」
と僕たちに本質的な問いを投げかけてくれました。

集中が切れつつあった僕も自然と背筋が伸びましたし、冒頭の問いと向き合うきっかけにもなりました。そして、会場のボルテージが再び上がるのを感じました。

太田さんの熱い思いからも、「すべては1人から」という言葉の意味をあらためて実感しました。

太田さん、村上さん、金野さん、よっさんのパネルディスカッション

永島さん、遠藤さん、坪谷さん〜人事の核心〜

最後の永島寛之さん、遠藤亮介さん、坪谷邦生さんのセッションを通して印象に残った言葉は、Xでも簡単に投稿しました。

「理解→共感→主体化→行動化」は、遠藤さんが、何かを始めるときに大切にいていることです。
相手の視点で考え、ストーリーを語って共感を促し(1人称)、相手に「ストーリーを聞いてどう思うか」を問うて主体化を促し、すり合わせの対話をしたうえで(2人称)、行動化する(3人称)、と、坪谷さんがこの後に語られた「1人称→2人称→3人称」を戦略人事として実践されてこられた遠藤さんの凄みを感じました。

また、遠藤さんが人事の核心として語られた
「経営の先と現場の先を言葉でつなげる」
「アジャイルに行き来できるか」
「正解ではなく『意味づくり』
という言葉も印象に残っています。

自分の言葉で、人と人、経営と現場をつなげる、まさに永島さんがHRを再定義された「Human Relationship」であり、
更に、坪谷さんが再定義された「すべては1人から」という「Human Re-Source」、どちらもがこれからの時代の人事の核心だなぁと実感しました。

そして、そんな時代に、自ら問いを立て、行動していくには、自分の哲学(持論)と人文知が大事だなぁと実感しています。
自らの学びと志ある仲間との対話をこれからも続けていきたいと思いました。

参加者の力

もう1つ、残しておきたいのは、土曜日の1日を人事の学びに費やした参加者の熱気です。

こんなにたくさんの人が、個と組織をより良くしたいと思っている。同志でいてくれる。
そこに大きな希望と勇気をもらいました。

また、Xでつながっていた方々ともリアルでお会いでき、とても嬉しかったです。

資本主義の枠組みと問い

さて、人事の歴史のセッションを担当された品川皓亮さんは、いま「100人超でつくる資本主義の本」を執筆されています。
思想家たちの考察を振り返りつつ、僕たちが感じる「何か追われている感覚」の正体を探り、資本主義との距離感について考える本を執筆されており、なんと誰でもその本づくりに参加できるという試みをされています。

人事の羅針盤2025にも品川さんと僕を含め4名のメンバーが参加していて、懇親の時間で、親交を深めたり意見交換をしました。

話題の1つとして、セッションテーマの1つだった生成AIが挙がり、話している中で、生成AIの活用によって新たに生まれる余剰時間をどう使うか、ということも考える価値があると感じました。

それは資本主義との距離感にもつながる話だと思います。

例えば、生まれた時間をさらに自らの労働や生成AIを動かす時間に使い、生産性をどんどん高め、事業の成長を加速させることもできるかもしれません。

他方で、少し立ち止まり、「その成長の先に何があるのか」「自分は、あるいは、この会社はどうなりたいのか」という問いや、この日投げかけられた「人事は何者か」「これからどう生きるか」という問いを、自らに問いかけ考えることもできるのではないかとも思いました。

資本主義の中で僕たちはどう生きるのか、この壮大な問いに向き合った品川さんの本、とても楽しみにしています。

資本主義の本に興味を持たれた方は、ぜひこちらの品川さんのXポストもお読みください。このポストのリプライ欄からプロジェクトにご参加できます。

また、プロジェクト参加メンバーが、こちらのnoteから本づくりの様子をかなりの頻度で発信しています。ぜひこちらもご覧ください。


これからの僕の問い

最後にあらためて僕のこれからの問い(探究テーマ)を考えてみようと思いましたが、いま浮かぶのはこの記事のはじめに、「ここにいる必然性」を考えたときに出てきた次の問いです。

「少しでも多くの人が自由に自分らしく生きるにはどうすればいいか」
「これから僕はどう生きるか」

この問いを胸に、これからも人と組織、そして自分自身と向き合い続けていきたいと思います。

「すべては1人から」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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