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【🎨展覧会レポ】豊田市美術館「櫃田伸也ー通り過ぎた風景」「コレクション 2026年度 第I期」ほか

【#341、約6,100文字、写真約105枚】
豊田市美術館に初めて行き「櫃田ひつだ伸也ー通り過ぎた風景」「コレクション 2026年度 第I期」などを鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。

▶︎ 結論

念願かなって訪問した豊田市美術館は、大変満足でした!それは主に、谷口吉生による設計がすばらしかったことに尽きます。デザインに主張がないようであるような絶妙なバランス、居心地や鑑賞のしやすさが抜群でした。櫃田伸也の展覧会は渋かったにもかかわらず、建築に魅力があるため、若い観覧者が多かったことは印象的でした。建築・アートに興味が薄い方でも、豊田市美術館は是非、訪問をオススメします!

おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:①「櫃田伸也ー通り過ぎた風景」、②「コレクション 2026年度 第I期」
場所:豊田市美術館
会期:①②ともに2026年4月4日(土曜日)〜2026年6月21日(日曜日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10時~17時30分
住所:愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1
アクセス:豊田市駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,300円
事前予約:オススメアソビュー!にクーポンあり
所要時間:約2時間半(建築散策+展覧会3つ
撮影:すべて可能
巡回:ー
URL:①こちら、②こちら


▶︎ 訪問のきっかけ

三重県で1泊2日の美術館巡りを企画しました。しかし、三重県内で4つの美術館行くと、もう目ぼしいものが残っていませんでした。

帰りは名古屋駅から新幹線に乗る予定でした。いっそのこと、今までずっと行きたいと思っていた豊田市美術館まで足を伸ばすことにしました。それは主に、愛知県で最も有名な美術館と言われていることに加え、谷口吉生による建築を体験したかったためです。

▼ 谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館の感想

▶︎ アクセス

豊田市美術館へは、豊田市駅から徒歩約15分。私は電車を使って美術館に行く際、最寄駅から美術館への案内看板などに期待しています。そんな私にとって、今回は衝撃でした。

笑っちゃうくらい、こんなに案内表示が多い美術館は初めて!看板、柱巻き、路面標識とバリエーションも豊富!豊田市が美術館の集客に本気であることがよくわかりました。

案内表示に促されるままに歩くと、美術館の裏口から入ることになりました。「あれ?水面に映るあの建築は?」と期待していたものがすぐに見られず残念でした(苦笑。

谷口吉生建築の前知識をもたない人が、豊田市美術館へ駅から歩いてきた場合、建築の素晴らしさに気づかない恐れがあると心配になりました。

▶︎ 豊田市美術館とは?

豊田市美術館は、19世紀後半から現代までの美術、デザインや工芸のコレクションを有する美術館として1995年に開館しました。企画展を行うと同時に、コレクション展に力を入れています。

✔️ 最大の魅力は谷口吉生の建築!

豊田市美術館は、豊田市の挙母ころも城のあった高台の一角に建っています。建物を正面から写した写真は、ネット上で何度も見たことがありました。意外にも、これは1階ではなく2階部分でした。

オフィシャル写真(画像引用

私も正面から写真を撮りたいと思っていました。しかし実際、これは立ち入り禁止場所から特別に撮った写真だと思います

実際は、斜めからしか撮れない

噴水などを含む庭園は、ランドスケープ・アーキテクトであるピーター・ウォーカーによるものです(猪熊弦一郎現代美術館も同様)。

水面の反射が美しい

”池があると、人と建物との距離を保てる。水が間にあることで、その先に行けないけど、その向こうを見通せる。季節や天候、時間の変化を水は映してくれる。水は絶対的な平面で、ランドスケープに水平線を引ける”

谷口吉生の言葉
1階の噴水
2階の水面にも丸い枠

噴水は、見ているだけで気持ちがいいことに加え、子供も楽しく遊んじゃう、良いことしかない装置です。展覧会を見なくとも、庭に来たり、美術館に入るだけで楽しいです。庭園のベンチに座っていると、鳥のさえずりが聞こえたり、最高な気分になれたため、何時間でも読書できそうでした。

▼ 水面が印象的な鈴木大拙館の感想

そして、スパっとしたひさしのような建築、直線が凛々しいスロープ、どれも谷口吉生味を強く感じました

また、館内の壁はガラスになっており、光がほわっと広がっていました。空間全体がちょうどいい明るさになるため、作品が見やすかったです。そして館内は基本的に、教科書通りのホワイトキューブ空間。さすが「作品主義」の谷口吉生です。

”自然光はコントロールしにくく、現代アートを除けば作品にもよくないから、美術館では普通使わないが、(自分は)極力使うようにしている”

同上

私は、安藤忠雄の人柄や建築が好きです。安藤忠雄と谷口吉生、どちらも自然やアートを際立たせる建築が特徴。安藤忠雄の建築はシンプルで主張が薄いように見える一方で、我の強さも感じます。そして性格は「the 大阪のおっちゃん」。

一方で谷口吉生は、キャリアや話し方なども学者肌。設計には謙虚さが見える上で、しっかりと人を惹きつける谷口吉生らしさも感じます。安藤忠雄が赤い炎なら、谷口吉生はシュッとした青い炎のような印象を受けました。

”建築は基本的に器であり、美術館なら作品を見せる器、作品と人が出合う器である。展示物を見やすくする、そのことに注意して設計している”

同上

豊田市美術館の中でも、なかんずく、2階展示空間は、猪熊弦一郎現代美術館にそっくり。豊田市美術館も「大竹伸朗展」を開催すれば、相性はピッタリだと思いました。猪熊弦一郎現代美術館での展覧会は「うーん」という感想でしたが、建築がステキだったため、満足度が高くなりました。今回の豊田市美術館でも、同様の結果でした(苦笑。

▼ 猪熊弦一郎現代美術館の感想

館内の所々の床などは、何度か補修されているらしいものの、老朽化している部分も見受けられました。しかし建築全体からは、モダンでスタイリッシュかつ哲学的な印象を受けたため、古さを全く感じませんでした

そして、豊田市美術館で、印象的かつ素晴らしいと思ったのが、観覧者に若い人や子どもが多い点でした。これは、谷口吉生による効果が大きいと思います。谷口吉生の建築、偉大です

高そうなチェア

✔️ 常設アートも面白い

ダニエル・ビュレン《色の浮遊│3つの破裂した小屋》

いくつか常設アートも設置されていました。その中でも、最も来場者を楽しませていたのがダニエル・ビュレン《色の浮遊》。鏡作品はメンテナンスに手間がかかる一方で、SNS時代には人気のコンテンツです。私も無条件に写真を撮ってしまいます…(笑。

鏡で遊ぶ幼児

この作品の周りでは、子どもがキャッキャと遊んだり、写真撮影をしている人がたくさんいました。そのような光景を見るだけで、心が洗われました。

/ 📸! \
青木野枝《原形質/豊田 2015》

▼ 青木野枝の展覧会の感想

ジョゼフ・コスース《 分類学(応用)#3》

✔️ 横には、坂茂設計の豊田市博物館!

2024年、美術館の隣に豊田市⚫︎⚫︎⚫︎が開館しました。豊田市博物館の設計は、坂茂。特徴的な建築が2つ並ぶとインパクトがありました。

▼ 坂茂が設計した大分県立美術館の感想

大分県立美術館(2025年3月撮影)

坂茂と言えば、六芒星のような木枠の屋根が印象に残っています。それとそっくりな形状が豊田市博物館でも採用されていました。

豊田市博物館の屋根
当日、博物館は工事で休館
反対側の入り口から撮影
次回開催の企画展・テーマ展の方が人気が出そう
いざ、展覧会へ

▶︎ 「櫃田伸也ー通り過ぎた風景」感想

画家・櫃田伸也ひつだ のぶや(1941年、東京生まれ)は(略)身近な、変化し続ける景色を出発点に、西洋絵画の技法を用いながら同時にやまと絵や山水画など日本をはじめとする東洋の絵画のエッセンスを取り入れた独自の絵画を描き、それを「通り過ぎた風景」と呼びました。(略)本展では1960年代から2026年の最新作まで作品約120点に初出の資料を交えて、描き続ける画家・櫃田伸也の歩みを振り返り、彼の「風景」と「絵画」がいかなるものなのか、 そこから私たちは何を汲み取ることができるのか、あらためて見つめ直します。

公式サイトより
2階と3階で実施

私は櫃田伸也を知りませんでした。美術館での個展としては、2008年に東京都現代美術館などで開催された展覧会以来、約15年ぶりだそうです。

《通り過ぎた風景》《囲み》《広場で》
《あめ》

どの作品もとても抽象的で、そこから何か読み取るのは難しかったです。他の観覧者も私と似たような感想を話していましたが、皆さんは不思議と楽しそうでした。

私には、この展覧会で、若い人たちがケラケラ話しながら作品を見ている「風景」が印象的でした。また、父、母、娘✖️2で来ている家族は、女性3人はベンチでケータイを見ながら談笑、父は熱心に作品を鑑賞していました。そんな「風景」を見ると「まさに私や」と同情しました(苦笑。

《小さな花》
「ひつだ」というサインがかわいい
モネのような印象を受けた作品

谷口吉生が設計したセンスあふれる空間だからこそ、捉えどころの難しい櫃田伸也の作品もポジティブに鑑賞できたと思いました。しかし例えば、この展覧会が三重県立美術館(前日に訪問)で開催されたら、観覧者は少なく、話題にもなりづらかったのではないでしょうか。

《風を真似る静物》
テンペラのようなマチエールに見える

▼ テンペラの展覧会の感想

《通り過ぎた風景》
安井賞受賞時の新聞記事など

このような抽象的な作品が、権威ある賞を受賞したり、櫃田伸也が愛知県立芸術大学(1975–2001)や東京藝術大学(2001–2009)で教鞭を取れるのは「私にはわからんけど、専門家が見たらわかるポイントがあるんやなぁ」と思いました。

《通り過ぎた風景(垣)》
3階の展示室
《通り過ぎた風景(山々)》
《水路のプラン》
緩いサインが気になる
3階から見た2階の風景
《箱》

後半には、作品が何も置かれていないスペースがありました(ネタ切れ?)。さすがに何か置かないと、ネガティブな印象を強く受けました。

年表、作者のコメント、制作風景など、何か置いた方がいいと思う
《無題》2023年
《無題》2024年

櫃田伸也は、2008年からパーキンソン病により、体を動かしにくくなったそうです。会場の最後には、2026年の作品もありました。しかし「うーん、これは…壁にかけるに値する作品なのか?」と首を傾げてしまいました。

《池・周辺》2026年

私は、東京ステーションギャラリーの館長・冨田章が「そこそこ、お客様の入る展覧会」をめざしている、と読んだことがあります。

近年、豊田市美術館は「モネ展」「アンチ・アクション展」など、入館者数が見込めそうな巡回展を多く実施していました。「櫃田伸也展」はそれらとのバランスを取るような「そこそこ、お客様の入る展覧会」という立ち位置なのでしょうか。

▶︎ 「コレクション 2026年度 第I期」感想

1階のコレクション展は「櫃田伸也とコレクション」「リヒターとパレルモ」「ひびきあう境界面」といったテーマで収蔵品が展示されていました。

1階で実施
額田宣彦《ジャングル・ジム(03-1)》
森北伸《in between dreams》
高松次郎《赤ん坊の影 No.122》
立石大河亜《約束の時間》

一般的な公立美術館と比べて、(良い意味で)クセの強い作品が多い印象だったため、鑑賞していて楽しかったです。

奈良美智《Dream Time》
奈良美智《Through the Break in the Rain》
/ 👁️✨ \
小林孝亘《Pillow》
ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》

2022年、東京国立近代美術館でも見たリヒターの《8枚のガラス》。2025年、豊田市美術館は、299,200,000円(税込)で購入したそうです。

▼ 《8枚のガラス》が展示された展覧会の感想

リヒターの立体作品は、治具も格好いい
ルーチョ・フォンターナ《空間概念》
この空間概念は初めて見た!
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》
グスタフ・クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》
クリスト《梱包》

クリ⚫︎トとクリ⚫︎トが近距離で展示されていました。ダジャレのつもり…?

ミケランジェロ・ ピストレット《窃視者(M・ピストレットとV・ピサーニ)》
ローマン・オパルカ《オパルカ 1965/1-∞ ディテイル 2601104-2626001》
ルーチョ・フォンターナ《空間概念 N3》
何じゃこりゃ
別室では日本画も展示
宮脇晴《仲田風景》

宮脇晴・綾子夫妻の作品が並べて展示されていました。洋画家・宮脇晴は愛知県名古屋市出身です。私は、宮脇綾子(東京都出身)の作品を初めて見ました。どれも愛嬌があって、とてもかわいかったです。中でも、落款のような「あ」のアップリケがお茶目でした。

宮脇綾子《さかな》
「デザインあ展」を思い出す

▼ 「あ展」の感想

▶︎ 髙橋節郎記念館 感想

1984年に豊田市で開催された個展がきっかけとなり、髙橋節郎本人から多数の作品が豊田市に寄贈されました。「髙橋節郎館」は(略)1995年に開館しました。ひとりの漆芸家の作品を常設展示する国内でも数少ない美術館です。

公式サイトより
谷口吉生と顔が似ている?
《サクランボ》

常設展示にしては、かなり贅沢な使い方でした。髙橋節郎(1914ー2007)は、愛知県生まれではなく、長野県安曇野市生まれです。生まれ故郷には、安曇野高橋節郎記念美術館もあります(2003年開館)。

安曇野高橋節郎記念美術館(画像引用

設計はプランツアソシエイツによるもの。スレート、庇、水面、丸い支柱など、写真を見た瞬間「豊田市美術館の写真と間違えた?」と思ってしまうくらいソックリ(さすがに、似せ過ぎでは…)。

『鋼の錬金術師』に出てきそう

1つの美術館で、展覧会を3つハシゴするのは、ちょっと疲れました。おそらく、他の観覧者も同様の感想をもっていたことに加え、髙橋節郎記念館の存在感が若干薄いことから、館内に人影はまばらでした。

《星座物語》
顔やポーズといい、緩かわ

▶︎ まとめ

買ったポストカード
櫃田伸也《箱》

いかがだったでしょうか?展覧会は、どれもピンとくるものはなかったものの、建築がすばらしかったので満足感がありました。強いて言えば、コレクション展は、収集品に豊田市美術館らしさがあって良かったです。建築に興味のある方・ない方も含め、谷口吉生の代表作・豊田市美術館は必見!そのような建築のおかげで、多くの若い人が美術館に訪れる様子は、美術館のあり方としてお手本だと思いました。

▶︎ あなたにオススメ

▼ 過去の名古屋観光の旅行記

▼ トヨタつながりでオススメの博物館

▶︎ 次回予告

次回は、大田区立龍子記念館(東京)で開催された「源流へのまなざし展」の投稿を予定しています。

▶︎ 今日の美術館飯

★3.2/コンパル サンロード店 (愛知県/近鉄名古屋駅) ー ハムエッグトーストサンド (¥800)、アイスコーヒー (¥500)

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