【展覧会レポ】大分県立美術館「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>」「コレクション展Ⅴ:花が咲くころ」
【約4,500文字、写真約70枚】
大分県立美術館(以下、OPAM)に初めて行き「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>」「コレクション展Ⅴ:花が咲くころ」を鑑賞しました。その感想を書きます。
※ コレクション展の会期は終了しています
▶︎ 結論
OPAMは「開放感」をコンセプトとした素晴らしい美術館でした。物理的・精神的にも解放されており、子どもフレンドリーな姿勢は、他の美術館も見習うべき部分があります。また、大分県由布市にアトリエを構える「ザ・キャビンカンパニー」の企画展をOPAMで見られたことは幸運でした。アートに興味があってもなくても、大分観光の際は是非オススメです!
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
混み具合:★☆☆☆☆
展覧会名:ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>
場所:大分県立美術館
会期:2025年2月7日(金)~4月13日(日)
休館日:なし
開館時間:10:00~19:00
住所:大分県大分市寿町2−1
アクセス:大分駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,000円
事前予約:不要
展覧所要時間:美術館全体で約1時間半
撮影:ほぼ全て可能(コレクション展は約8割が撮影不可)
URL:https://www.opam.jp/exhibitions/detail/1543
▶︎ 訪問のきっかけ

大分旅行を企画した際、OPAMは必ず行きたいと考えていました。過去に見たnoteの投稿で、見た目が特徴的なことに加え、中身も尖っていたため気になっていました。
▼ 参考になったOPAMの投稿
▶︎ アクセス

OPAMは大分駅から徒歩約15分。キャリーケースをコロコロ引きずっても、ギリギリ行ける距離だと思いました。

大分駅付近は商店街がとても発達しています。OPAMに行く際、バスは利用せず、テクテク歩きながら大分の雰囲気を楽しむのがオススメです。

▶︎ 大分県立美術館とは?

大分県立美術館は2015年4月に開館。設立の経緯は、大分県立芸術会館(1977年9月開館)が、老朽化、アスベストの検出、利用率の低迷のため、2012年3月に閉館、移転したことです。

私が感じたOPAMの特徴は、1)地域に開かれた開放的な建築、2)工夫された愛称、3)子供に優しい美術館づくりでした。
また、企画展の価格は1,000円!月曜日も営業していて最高でした!(私は月曜日しかOPAMに行くタイミングがなかったため、大変助かりました)
1)地域に開かれた開放的な建築

建築は、坂茂によるもの。OPAMを設計した際「街に開かれた縁側としての美術館」「あまり美術館に行かない人たちをいかに引き寄せるか、そして美術を楽しんでもらい、日常的に人々が集まるそのような仕掛け」に焦点を当てたそうです。

とにかく広い館内、ガラス張りの外観(高さ6mまでオープン可)、2層吹き抜けのアトリウム、無料で利用できる大きなスペースなどにより、館内はとても開放感があります。


館内には、無料で楽しめるパブリックアートが点在しています。多くは触って楽しめます。

開館時からある作品。軽く押すとユラユラします




須藤玲子《ユーラシアの庭「水分峠の水草」》


2)工夫された愛称

サインデザインは、平野敬子・工藤青石によるもの。OPAMは「Oita Prefectural Art Museum」の略です。また、読み方は「オーパム」です(私はずっと「オッパム」と呼んでいました…)。
「おおいたけんりつびじゅつかん」と言うより「オーパム」と言う方が、はるかに言いやすいし、身近に感じるし、記憶に残りやすいです。国立新美術館=「新美」などありますが、略称が、一般的に広まっているのは少数派だと思います。
OPAMと名付け、立体的な映えるサインを美術館の外に設置したことはグッドアイデアだと思いました。
3)子供に優しい美術館づくり

OPAMで最も感心したのが「子供に優しい」ことでした。子供目線でさまざまな取り組みが実践されています。
私はさまざま子供と美術館に行きました。その中で、重要なポイントは主に3つ。1)美術館が子供に優しい考えをもっている(公表している)、2)子供が楽しめるポイント(塗り絵、絵本、触れる作品)がある、3)看視員が寛容であることです。すべてをOPAMは満たしていました。


アトリウムでは、保育園の先生も普段から利用するなど、地域の人の生活にしっかり浸透していることが印象的でした。
▼ 子供への対応に感銘を受けた茨城県近代美術館
子供に配慮した美術館は増えています。しかし、取り組みレベルで止まっていることが多く、特に、親子鑑賞サポートタイムについて、私は反対です。OPAMのように、子供に対する考えがしっかりしており、それが普段の運営で実践されていることは、素晴らしいと思いました。




▶︎ 「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>」感想

ザ・キャビンカンパニーは、大分県の廃校をアトリエにし、日々さまざまな作品を生み出している阿部健太朗と吉岡紗希による二人組の絵本作家/美術家。(略)本展は「夢と驚きあふれる現代のアートびっくり箱」ともいえるような、ザ・キャビンカンパニーの創作活動とその源に宿すもの、そのすべてをご覧いただきます。

ザ・キャビンカンパニー(以下、キャビン)は、大分県由布市をアトリエとする30代の男女ユニット(ともに大分県出身)です。キャビンは、40冊を超える絵本、「おかあさんといっしょ」の歌などもつくっています。

キャビンが有名になった絵本




この展覧会は、平塚市美術館→足利市立美術館→千葉市美術館と巡回し、OPAMで開催中。2025年6月から滋賀県立美術館での巡回も決定しました。
▼ 平塚市美術館での展覧会の投稿

展示室内は、絵本作家の頭の中の世界が表現されていると感じました。原画だけでなく、立体物、触れる展示もあるため、大人も子供も、キャビンを知っていた人も知らなかった人も楽しめます。




キャビンのアートワークは、かわいいと言うよりも「魔法少女まどか☆マギカ」のようなシュールで不思議な世界観を感じました。



今の子供たちは、いわいとしおの『100かいだてのいえ』のように、キャビンのつくった絵本や番組を知って育っているのでしょうかネ。
▼ 岩井俊雄の展覧会@東京都写真美術館


展示室には「おばあちゃんが縫ってくれたポケモンのぬいぐるみ」が並べられていました。私はこれが最も印象に残りました。ポケモンのゲーム、アニメが始まったのは、キャビンが10歳の頃。それは私ともほぼ同じです。

子どもの頃の私たちにとって、ポケモンの空想世界と、現実世界の線引きは曖昧で、公園のアゲハチョウがバタフリーだと、虫取り網を振り回していました。 (略)この「子ども時代」の感覚を、作品をつくる際、とても大切にしています。ポケモンは私たちの制作衝動の原点の一つなのです。
私も小学生の頃、実際に公園に行って、友達とオコリザルを探していたことがありました(同じように、スーパーサイヤ人になれると本気で思っていました)。この「子ども時代」の感覚を大事にしている、というキャビンの言葉の意味は、本当によくわかります。


キャビンのような「ヘタウマ」風の絵は、描こうと思っても、難しそうです。そういった絵を描く人の中でも、キャビンが大成できたのは、見る人の心を捉える何かがあったのでしょう。




このような絵本をつくるには、読者(子供)が求める内容を落とし込まなければいけません。そのため、過去に培ったピュアな気持ちを大切にしないといけないと感じたことに加え、普段からどういったインプットをしているのか、気になりました。


大分県旅行の3日目に、大分にアトリエを構えるキャビンの展覧会に来られて幸運でした。大分では、大自然や、過疎化が進む現状を見たことで、キャビンの作品から滲み出る素朴さなどを、肌で少し理解できました。



全体的に展示室はとても広いことに加え、作品のボリュームもちょうど良かったため、鑑賞するには心地よい空間設計でした。


▶︎ 「コレクション展Ⅴ:花が咲くころ」感想

OPAMの建築は、3階も特徴的でした。六芒星のような天井、天庭という空間があります。何となく、隈研吾と安藤忠雄を足して2で割ったような印象を受けました。



3階では「コレクション展Ⅴ:花が咲くころ」が開催されていました(2025年1月31日~3月31日)。撮影は一部のみ可能でした。
本展では、大分県の作家の作品を中心に、春や花に関わる作品を主にご紹介します。(略)身のまわりの花々とあわせて、春の季節をお楽しみください。

絵画だけではなく、工芸などの展示もありました。展示室は4〜5つあり、常設展は意外にボリューミーでした。





なお、常設展に来場者はほぼいませんでした。

1階の企画展示室、2階はカフェや情報コーナー、3階はコレクション展示室と、2階にワンクッション挟むことで、展示室が3階にあること自体、来場者に気づかれていないのかもしれません。


▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?開放感あふれる空間設計、子どもの気持ちをよく分かった取り組みの数々は訪れる価値が十分にありました。大分県由布市にアトリエを構えるキャビンの企画展を、大分で見ることで、新しい発見もできました。大分に来た際は、マストで寄りたい美術館だと思いました。
▶︎ 今日の美術館飯


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