【小説】ザ・サン・インザレイン #15|最終話|邂逅
ユリちゃんの帰国日がやってきた。
三人で、バス停まで一緒に歩いた。
ヒースローまで見送りに行くカイは、スーツケースを引きずり、ひとり後ろを歩いている。
ユリちゃんが俺に耳打ちしてきた。
「ミキヤくん、カイをよろしくね」
「もちろん」
前から歩いてくる白い猫を目で追いながら、おざなりにうなずいた。
「日本では、私がいるから」
驚いてユリちゃんの顔を見ると、そこには怖いくらい真剣な眼差しがあった。
必死で取りつくろってきた仮面を、むりやり剥がされたような気分になった。
返答に困っていると、ユリちゃんは何事もなかったかのように微笑んで、カイに早く来いと急かしている。
この子なら、大丈夫だと思った。
それに、カイにはこの国は危険すぎる。
バスに乗るふたりに手を振り、赤い車体が見えなくなるまで見送った。
*
俺とカイは、それからしばらくふたりで平和に暮らした。
一緒にゲームしたり、酒を飲んだり、メシを食ったり。
時間は流れるように過ぎ、カイの一年間の留学も、終わりに近づいていた。
さすがにここに、俺ひとりで住むわけにはいかず、空室に俺の友達(本当にただの友達)のアキという女の子を入れた。
夏みたいな子で、家の雰囲気が明るくなった。
あまり家にいない子だったので、結局カイとふたりのことが多かったけれど。
「俺の部屋も誰かに貸さないとね」
カイが低いトーンでそう言った。
「なに、さみしいの?」
「は? さみしくなんかねーし。ゲイの店に張り紙してくるわ」
カイはゲイの店ではなく、ジャパセンに広告を出しに行った。
「俺が厳しく審査するから」
カイが真剣な面持ちで言う。
「おー。じゃあ、おまえ、とりあえず笑うな。ムスッとしとけ」
「あ? わかった?」
まったくわかってなさそうだけど、まあいい。
誰が入ろうと、カイはもう出ていくんだし。
そういえば、「小太郎」はカイの飼っているゴールデンレトリバーの名前だった。
髪の色が似てるんだってさ。
*
数日後、カイの携帯が鳴った。
そしてやつは、本当に無愛想に対応した。
「……おまえ、感じわるっ。びっくりするわ」
「ミキヤがムスッとしろっていったんじゃん!」
そして、彼女がやってくる――
◀︎ 𝙉𝙤𝙬 𝙋𝙡𝙖𝙮𝙞𝙣𝙜
Oasis—Don't Look Back in Anger

#MUSIC
"Don't Call Me Baby"- Madison Avenue
"發財發福中國年" - China Dolls
"[And Please] Stay Young" - Sugarplum Fairy
"Calling You" - Jevetta Steele -
"Sunday Morning" - The Velvet Underground
"PRETTY LITTLE LIAR" - coldrain
"Sick & Tired" -The Cardigans
"You & Me Song" - The Wannadies
"Praise You" - Fatboy Slim
"Hunter" - björk
"Sweet Jackie" - Sugarplum Fairy
"Don't Look Back in Anger" - Oasis
【CHAPTERS】
#00│プロローグ
#01|カルボナーラ
#02|キャッツ
#03|チャイナタウン
#04|ノッティング・ヒル
#05|ポートベロー・マーケット
#06|Fox in Fog
#07|Angel
#08|38番
#09|エリック
#10|香水
#11|クリスプ
#12|カムデン・マーケット
#13|Purple Turtle
#14|月
#15|最終話|邂逅
