📚図書館編06|壊れた掃除ロボ
図書館改修編
01|森の奥の古びた建物
02|整理は進んでも掃除は進まない←今ここ
今日から、図書館の内装工事が本格的に始まった。

あちこちで木槌の音が響く中、アキラは今日も本の分類に追われていた。
『木箱を背負った少年の冒険』か。
お、ちゃんとした物語もあるじゃないか。
少年が遺跡を見つける物語……と、
冒険棚だな。
次の束。
『洗濯物はぷよぷよ、洗い物はテトリス』
なるほど、暮らし棚だな。
家事の工夫……初心者向け、と。
さらに一冊。
『笑顔を運ぶスーツケース』
少女の成長物語か。
『森の過去と未来』
少しだけページをめくる。
歴史資料……いや、郷土資料の方がいいか。
一冊、また一冊。
本は少しずつ、それぞれの棚へ収まっていく。
「だいぶ進んだんだけど……」
アキラは部屋を見回した。
「まだ終わりが見えないな」

外では今日も修繕工事が続いていた。
屋根の蔦が外され、割れた天井の窓ガラスは一枚ずつ新しくはめ込まれていく。
木槌の音に、職人たちの声。
長い眠りから目を覚ますように、図書館は、ゆっくりと元の姿を取り戻していた。

アキラは窓の外を眺め、小さくうなずく。
「こっちも、少しずつだな」
視線を室内へ戻す。
「……しかし、この埃はなんとかしないとな」
窓へ近づき、固く閉まった窓枠を押す。
ギギギ……
重い音を立てながら窓が開いた。
森の風が吹き込み、古い紙の匂いをゆっくり外へ運んでいく。
「よし。次は掃除だな」
アキラはロッカーを開けた。
箒、ちりとり、雑巾。
「道具はちゃんと残ってたか」
その横に、見慣れない金属の円盤が置かれていた。
少し錆びている。
側面には丸いボタンがひとつ。
「……なんだこれ」
持ち上げると、見た目より少し重い。
掃除道具だろうか。
円盤の底にはモップのようなものが取り付けられている。
「試しに動かしてみるか」
ピッ。
側面のボタン押した瞬間だった。
ウィィィィン……
「お?」
円盤の底でモップが勢いよく回転し始める。
次の瞬間。
ブワァァァッ!!
部屋中の埃が一斉に舞い上がった。

「ごほっ!」
アキラは慌てて後ずさる。
「違う違う違う!」
「吸ってない!巻き上げてる!」
円盤は床を滑り出し、
ガンッ!
本棚へ激突。
向きを変えて、
ガツン!
今度は机へ。
「おい!ちょっ、止まれ!」
もう一度ボタンを押す。
ピッ。
シーン……
静けさが戻った。
舞い上がった埃だけが、ゆっくり床へ落ちていく。
アキラはしばらくその金属の塊を見つめていた。
「……駄目だこれ」

ロッカーの横へ戻し、小さくため息をつく。
「あとで館長に聞いてみるか」
歩き出しかけて、もう一度だけ振り返る。
「せめて掃除くらいできれば、役に立ったんだけどな」
(続く)
アキラの図書館編

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