🧹04. 洗濯物はぷよぷよで崩す|メイ
─家事ってゲーム?それが双子流です─
洗濯物の山を前に、メイは立ち尽くしていた。
洗濯機は回した。乾燥も終わっている。
問題は、その先だ。
「なんか、洗ったら山が増えてない?どういう仕組み?」
山のように積まれた雪崩寸前の服。
背後で声が重なる。
「止まってますねー」
「止まってます」
「ね〜、もう無理!助けてぇぇ」

テキパキが明るく言う。
「メイさん、今日は洗濯でゲームしましょう」
■ レベル1:タオルは、ぷよぷよ
「タオルはぷよぷよです。一番簡単ですよ」
「えっ?」メイが首をかしげる。
テキパキがタオルを一枚持ち上げる。
「見てください。同じ形、同じ大きさ、同じ置き場。これはもう──」
「……ぷよぷよ?」
「そうです。同じものを集めると一気に消えます」
メイはタオルだけを拾い集める。畳む。重ねる。棚に入れる。
山が、目に見えて減る。
「あれ?もうこんなに?」
「タオルは、判断ゼロで処理できます」
ぷよは消えた。
■ レベル2:小物は椅子取りゲーム
次に手を付けるのは、靴下と下着。
シレットが収納ボックスを指す。
中は6分割されている。
「空いている席に座らせるだけです」
「つまり……椅子取りゲーム?」
「はい。席があれば入れる、なければ今日は終わり」
メイは空いているマスに下着を入れていく。
「……あ、ぴったり」
「1週間分です。
もし座れなかったものがあっても、“今は席がない”だけ。それ以上増やさなければOKです」
「それでいいの?」
「詰まなければ勝ち」
「なにそれ。めっちゃ優しいルールじゃん」
■ レベル3:トップスはスタメン制
最後に残ったのは大物の服たち。
テキパキがクローゼットを開く。
「トップスは、スタメン制です!」
メイが首をかしげる。
「スタメン?」
「今季の主力だけ、前に出すんです」
「クローゼットの手前にはよく着る服だけを並べる。今シーズン着ないものは、ベンチ。奥に下がってもらいます」
シレットが補足する。
「似た役割が三枚あるなら、二枚は控えで十分。ポジション被りはベンチ行き」
「ベンチか……」メイはハンガーを見つめる。
白シャツが三枚。
「……一軍はこれ一枚でいいか」
「ええ。毎試合フル出場するのは、信頼できる選手だけ十分ですから」
クローゼットの前がすっと軽くなる。
「数を減らすというより、役割を決めるんです」
山だった服が、役割に変わっていく。
メイは整ったクローゼットを見て驚く。
「うわ、選ぶのめっちゃ楽じゃん」
テキパキが胸を張る。
「スタメンが決まれば、朝の判断は一瞬ですよ」
◆
ぷよは消え、椅子は埋まり、スタメンは揃った。メイはソファに倒れ込む。
「……頑張ってないのに終わった」
綺麗になった部屋を眺め、満足そうに笑う。
「ねぇ、テトリスにぷよぷよってさぁ……」
「家事って、もしかしてゲームなの?」
テキパキが胸を張る。
「はい!それが、テキパキ&シレット流です」
シレットが、いつもの調子で一言だけ添えた。
「……詰まなければ、勝ち」
その一言で、メイの家事レッスンは幕を閉じた。
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