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マルクス・シュラインツァー『Rose』"ズボンを履いた方が自由になれるから"

2026年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。2027年アカデミー国際長編映画賞オーストリア代表。マルクス・シュラインツァー長編三作目。17世紀初頭のドイツの小さな村に、謎めいた兵士が現れた。頬に大きな銃創のある小柄で控えめなその元兵士は、長年放棄されていた農場の相続人と名乗っていた。村人たちは当然疑うが、勤勉で優秀な元兵士はすぐに農場経営を立て直し、熊に襲われた羊飼いを救出し、共同体に溶け込んでいく。あるとき、農場を拡張しようとしたところ、交換条件として地主の娘ズザンナと結婚することになる…云々。ゾッとするようなモノクロ絵画世界のような固定ショットと冷たいナレーションによってローズの短い後半生が静かに語られていく(監督がキャスティングを担当した『白いリボン』を思い出すのは、キャストが数名被ってるのであながち間違いじゃないのかもしれない)。それは後に"ズボンを履いている方が自由だから、それが可能だと思ったら"と語る通り、誰かを騙そうとする策略ではなく自分が自分でいられるような生き方を実現したということだ。この時代に女性がどのように生きていたか?はズザンナを見れば分かる。父親の政治の道具として嫁がされ、従順さと貞淑さ、子供を産み育てることを求められ、仮に離婚したとしても屋敷は彼女の物にはならず、次に来た男にあてがわれる。二人に子供が出来るが、ズザンナは子供の父親が誰であるか頑なに口を割らない。おそらくはズザンナの父親が子供の父親であると思われる。女性は虐げられて当たり前な一方で、男性陣は比較的自由に行動可能で、勤勉/優秀/敬虔であれば簡単にコミュニティに溶け込めることも提示されている。"お前はルールを破った、コミュニティはルールで成り立ってる"と指摘されるが、彼女をその勤勉/優秀/敬虔さで受け入れたのはコミュニティの方だ。"教えた文字は、与えた給料は、土地は、収穫は、全て詐欺だと思うか?"という問いは、男性のみを主体性があり信頼に値するとする価値観への問いになっている。貴方が手にしたそれらのものは、どちらの性別から貰ったかが重要なのか?

・作品データ

原題:Rose
上映時間:93分
監督:Markus Schleinzer
製作:2026年(オーストリア, ドイツ)

・評価:70点

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