見出し画像

ちょと休憩【"続" 世界に悪評を届けたい“ヘイ チャイニーズ"姉―口コミ②】オバハンの独り言⑦

数年後、異国の地からまた姉が現れた

今度は雑貨屋巡りに行きたいらしい


(前回の章からお読みいただくと流れがわかります
            前回の章はこちらから↓)


⸻雑貨屋に行く前に
私は姉が日本へ来る数日前から
せっせと姉の朝食の準備をしていた

「あの食材食べたい」

「あれ、日本でしか食べられないのよね」

「あれも懐かしい」

そんな言葉をLINEで聞いていたので

旬の食材を買い込み
西京焼き、小鉢、煮物など
気づけば旅館の朝食みたいな7品構成になっていた

私は早朝から台所に立ち
土鍋から炊きたてのご飯をよそう
ほんの少しだけ思っていた

「うわぁ〜、やっぱ日本食って最高じゃん」

くらいは言うのかなと
しかし姉は、黙々と食べ終えたあと

「私さ、日本に来るのはさ
   日本食を食べる為にきてるわけ」

「外食が楽しみなのよ!」

「これからは、
   わざわざ作らなくていいから!」


──あっそ…      私は今更驚かない

姉はきっと“感謝を伝える”という文化を

どこか海外の空港で置き忘れてきた
              のだろう


しらんけど…

⸻⸻⸻

私は雑貨も器も好きなので
少しワクワクしていた
しかし、インバウンドでどの店も大混雑
レジは長蛇の列だった

「私これ買うわ」


「この器、もう一つありますか?」

姉が店員さんに尋ねると店員さんは忙しそうに

最後尾を指差しながら
「今、無理だから 並んで」
と一言

まぁ確かに感じは良くなかった
でも、お店は戦場のように混んでいたし

店員さんも日本人では無いし
いっぱいいっぱいだったのだろう

ただ、その瞬間
姉の顔が“般若モード”に切り替わった
私は空気を読んでしまい

「店員さん、中国人やったからねー
数年前までは皆んな日本人やったのになぁ」

「私も好きな店やから、
  日本人の店員やと勘違いされて
    悪い口コミ書かれたら嫌やわぁ」

と、つい口を滑らせてしまった…

⸻まぁ、店員さんより

今朝のあなたの言動のほうが、
          圧倒的に感じ悪い

ですけど…  と心の中で思いつつ
すると "中国人が大嫌いな姉"はその言葉を

“正式な国際問題”

として受理したらしい、そして数日後
異国へ帰国した姉からLINEがきた⸻

  あの嫌な中国人のいた     
        雑貨屋の店名教えて!

  日本語と英語でGoogle口コミ      

         入れてやるから!



⸻おぉー  帰国後もまだ怒ってたんかい
あんたは一生怒りながら死んでいきますな…
                  トホホッ

屋号は分かってはいたが
好きな店なので教えたくはない

「もう忘れた方がいいよ」

「わざわざ屋号探す
 無駄なエネルギー使いたないねん 私」

と返信したが、姉は

「そういうのが"
    日本人のバカ"なところでね‼︎

忘れるくらいなら
    文句言わず受け入れたらいい‼︎

Google口コミは
     世界中に広がるんだから‼︎」

                …しっとるわい

⸻いやいや、私はあなたの引きつった顔を見て
“
まぁ確かに感じ悪かったね”と合わせてしまったよ
そりゃ私も悪いよね、でもさっ

日本人はダメだの

日本は終わってるだの

日本の政治がどうだの
八重歯生やしてるのは日本人くらいだ!恥ずかしい

                それ私ですやん…

まぁまぁ壮大に日本批判を始めてくるの
もー 辞めてくれへんかな…

でもね、お姉さん
あなたの髪は金髪ですが
どう頑張っても見た目は立派な日本人です

アメリカ人に"ヘイ チャイニーズ"

と声をかけられ
     ぶち切れてたじゃないですか…

どう頑張っても、あなたは黄色人種
               なんです

日本アンチするたび、
       軽く自分の首絞めてますよ


あなたの口コミは、「単なる個人的な怒り」で  
「社会正義」ではありませんから……

とは当然言えない私

「もー、ええやん」とだけ送り
LINEを閉じた

⸻⸻⸻

そして私は、その日から
口コミというものを、
あまり当てにしなくなった
感じが悪いなと思ったなら、悪い口コミなんて書かず
もう二度と行かなければいい

私だって入った瞬間、店員さんの態度に
「なんか感じ悪いな」と冷めてしまう日もある
「めちゃくちゃ美味しいそう!」と期待して行った店が案外、口に合わなかったり
でも、店員さんの何気ないお心遣いに「来てよかった」と思えたりもする
結局のところ
人の感じ方なんてその日の気分や体調、過去の経験、価値観でいくらでも変わってしまう

  だから口コミなんて
   “ただの一般人の感想”に過ぎない

  ミシュランの調査員が
   書いているわけではないのだから

もちろん参考にはなるけれど、
それが“正解”ではないと思っている
わざわざ店を探し出し、怒りを蒸し返し
世界へ向けて悪評を発信するほど
そこまで私は暇ではない

人生の残り時間は
“嫌な店”を思い出し、口コミを書くより
好きな人と笑って、美味しいもの食べて
機嫌よく生きればいいじゃないか

⸻まぁ、こんな事を書けば

「だから、
あんたはいつまでたってもバカなのよ!!」

と、また異国の地で
般若顔の姉が叫びそうだが…

私はその声が届かない距離にいることへ 
とても感謝をしながら
口コミを見ず、初めて行く店のドアを開けたい

「わざわざ食事に行くのに         
   絶対失敗したくないじゃない!!」

                と姉は言うが

それくらいの小さな冒険を

楽しんでもいい気がする

       長々と愚痴ってしまい、すんません

次回
#30 【"支配の怖さ”と“小さな抵抗"―操り人形を殺した日】中学生の記憶-18

【はじめてのnote】

【家族紹介】

【オバハンの独り言】

いいなと思ったら応援しよう!

ここまで落ちた私がまだ生きている理由 頂いたチップは、また誰かのnoteに"応援チップ"として使わせていただきます😊

この記事が参加している募集