飛びすぎて滅!|毎週ショートショートnote|課金ホームラン
プロ野球が、網膜投影される課金メニューで「能力」を買う競技へと変貌した近未来。
九回裏二死満塁、一打逆転の場面。
絶体絶命の俺の眼前で、ノイズ混じりの画面が、見たこともない「能力」を表示する。
「よりによってここでバグか!」
迷っている暇はない。
俺は震える指で『重力無視・極』と『全力風神・爆』と書かれた文字を連打する。
飛んできたボールがバットの根元に当たった。
本来なら捕手へのファウルで試合終了だ。
しかし、インパクトの瞬間に『重力無視』が発動。
浮かび上がった打球に『全力風神』が猛烈な追い風を送り込む。
急加速したボールは大気圏を突き抜けて星になった。
歓喜に沸くベンチで、俺のスマホがかつてない激しさで震えた。
画面を埋め尽くす請求額の桁は、スマホの画面に収まりきらず、
スクロールしても、しても、終わりが見えない。
どうやらバグのせいで、
飛距離だけでなく、課金額も「天井」知らずらしい。
――サヨナラは、ホームランだけではなかった。
(410字)
<網膜投影メニュー>

重力無視・極|全力風神・爆|時空超越・歪
審判買収・改|残像魔球・影|音速突破・轟
認識阻害・霧|敵陣内紛・乱|精神干渉・夢
※システムバグにより、開発者が遊びで作った、
チート級の「能力」が表示されている。
<3行 後日談>
今回のバグによるホームランは取り消され、
課金の請求も無効に。
主人公の人生は終了しなかった。
田原にかさんの「毎週ショートショートnote」、
約1ヵ月半振りの参加です。
今回の裏お題「課金ホームラン」を見たときに、
「飛びすぎて滅!」という作品名が浮かびました。
M!LK - 好きすぎて滅!
課金メニューの「能力」を考えるのが楽しかったです。
「能力」を決めたら、そのまま勢いで小説化しました。
本日は以上です。
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