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掛川花鳥園に行ってきました vol.5 吊り鉢の花々

※ 解説は読まなくて大丈夫。写真だけどうぞ。

掛川花鳥園の売りの一つ、一面の吊り鉢。
下にはテーブルと椅子があって、花の下で休息・食事を楽しめます。
修景に使っている植物は、インパチェンスとペチュニアです。
「水やりはどうするのですか」
赤いペチュニアの鉢に、点滴器が差し込まれており、
細いチューブがつながっているのが見えます。(クリックで拡大)
この規模の給水に対応できる点滴器は市販されていないので、おそらく特注品でしょう。
黄色く見えるのは捕虫用の粘着シートで、僕も虫害防止に使っています。
複数の種苗業者が、ペチュニアの品種改良に取り組んでいます。
写真の株は、バカラ ストロベリー(サカタのタネ社)に似ています。

奥に進むと、1鉢ずつ、異なる種を吊るしたスペースがあります。
下垂性の植物の見本場は、じつは「あるようでなかった」企画です。
少しなら、どの植物園にもあるのですが、
ハウス全体が下垂で企画されることはまずないです。

丁寧に見て回ります。

Lophospermum erubescens(推定 ロフォス グランデローズ、サントリーフラワーズ社)
3年ぐらい前、この色に魅せられて一作しました。
野生種は通常、薄いピンクですが、本種は、濃色、大きめで、平開する傾向が強いです。
推定 Centradenia inaequilateralis 'Cascade'(シダレノボタン)
RHSのガーデンメリット賞を受賞した品種。
ノボタン科は、180属、5150種を抱える、大きな科です。
日本の自生は南西諸島に数種あるだけなので、大きな科と言われてもピンとこないかと。
主に熱帯・亜熱帯に分布する科です。
本種は、花が少なくなる秋や冬(短日期)によく咲きます。
温帯の植物の花期が、春夏になることが多いのと対照的です。
Fuchsia cv.(フクシア園芸種)
色の対比が美しいフクシア。
下垂する花は、耳飾りにたとえられます。
フクシアは暑さに弱く、夏場、冷房が必要になることが多いです。
空調を整えて、フクシアを並べることができるのは、観光収入あってのことでしょう。
Begonia boliviensis系のhybrid
(推定 球根ベゴニア サマーウィング ダブルクリーム、PROVEN WINNERSブランド)
ボリビエンシス系交配種は、丈夫で、こんもり茂り、よく咲いて、葉も美しい。
見ごたえがあるので、展示数を増やしてもよさそうです。
Pelargonium peltatum(アイビーゼラニウム)園芸種 推定ソルフェリノ
ソルフェリノ(solferino)は、マゼンタ系の色名のひとつ。
イタリア-フランス連合軍が、オーストリア=ハンガリー帝国軍に勝利した、
マジェンタ(Magenta) の戦いにおける最後の戦勝地だそうです。

一重のゼラニウムを見て、「わかっていらっしゃる」と思いました。

日本の自生種が欧米で改良されると、テッセンにしろ、ユリにしろ、ツバキにしろ、数性のない、ぐちゃぐちゃの八重にされて帰ってくる。
ふわふわのサクラやボタンならともかく、上記の花は花弁が厚い。
作出された八重を、重い、暑苦しい、バタ臭いと嫌がる人が一定数いる。
万人向けに展示するときは、嫌がる人がいない一重がよいでしょう。
八重咲きを「ゴージャスだ」と好む人も多いので、作出不可ではないです。
好みに合わせて花型を選べるときが、最も満足度が高くなります。

Aeschynanthus tricolor(エスキナンサス・トリコロル)
ひときわエキゾチックな鉢がありました。
エスキナンサス・トリコロルはイワタバコ科で、原産地はボルネオ島です。
一瞬、Aeschynanthus 'Thai pink'のほうが、園内の色の傾向と揃うかも?と思ったのですが、
このスペースは見本場相当ですので、異質な種を混ぜるのはむしろ正解かもしれません。
Ipomoea batatas 'Terrace Lime'
(推定 イポメア・バタタス 'テラスライム'、サントリーフラワーズ社)
ライムグリーンの葉を楽しむイポメア。明るい色、ふわふわ感、透け感が美しい。
イポメア・バタタスなんて植物、聞いたことないって?
ほっほっほ、サツマイモですよ。


この記事では種名や品種名を書いていますが、現地に名称はありません。
純粋に、植物の色や形を見て楽しんでください。

次号、シリーズ最終回です。
またー(^^)/

ベゴニア サマーウィングシリーズは、花の咲く観葉のようです。
PROVEN WINNERSブランドは強いですね。

ショップで、ブランド苗の「見本鉢+トレー苗」売りをやってもよいかもしれません。
「これを作り込むと、ああなるのか。買う!」
「この腕前にあやかりたい。買う!」
プラモデルを売るのと同じで、客が完成品を買いたいとは限りません。
ブランドについても、解説をつけるとよいかもしれません。
「ホームセンターの苗ちゃうで、掛川行ってブランド苗買うてきたで、見本鉢マジすごかったで」
自慢気に土産話をする権利をお客さんにプレゼントします。

写真・文 瀬戸裕紀


[ 掛川花鳥園に行ってきました シリーズ目次 ]
  vol.1 森と草原の鳥
  vol.2 ケープペンギン、ハシビロコウ、オニオオハシ
  vol.3 水辺の鳥
  vol.4 スイレンとオオオニバス
  vol.5 吊り鉢の花々
  vol.6 植栽とチランジア