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掛川花鳥園に行ってきました vol.6 植栽とチランジア

※ 3500字あります。解説は読み飛ばして大丈夫。写真だけどうぞ。

[ ダチュラ ]

Brugmansia cv.(ブルグマンシア、キダチチョウセンアサガオ園芸種、通称ダチュラ)
ダチュラは、大型のハウスで育てるのにちょうどよい高さです。
天井に着いてしまったときは、太枝を切って仕立て直すこともできます。
来園者は、鳥を気にして、上方を見上げながら歩いています。
見上げた角度でお客さんの方向を向く花は、よいチョイスです。
ダチュラは、夜、酩酊感のある香りを放ちます。
昼間も少しは香るので、嗅いでみてください。
この酩酊性に勝てるのは、Lonicera periclymenumの深夜0時の香りぐらいしかない。
ノンアルコールドリンクは、酩酊性フレーバーの研究成果です。
ダチュラの枝は止まり木になります。
花と鳥を両立させる構想が良いですね。

ダチュラは有毒なアルカロイドを含みます。
鳥たちが食べてしまわないかと心配になりますが、
画像の通り、傷んでいないので、鳥が食べることはなさそうです。

雑食性の鳥は、花や葉も食べます。
食べる理由は、ミネラル補給や整腸効果といった栄養上の都合のほか、
味がよい(糖やアミノ酸の味)、みずみずしく口当たりがよいなどで、
ヒトが、サラダやお浸しを食べる理由と同じです。
カロリーが低いので主食にはならないけれども、美味しければ食べる。
おそらく、ダチュラは「こんなもん食えるかー」な味なのでしょう。

「プレミアごはん」の小松菜の葉っぱはどうなのかって?
小松菜は、プロリンの含有量が多い野菜として知られています。
おそらく、アミノ酸味(プロリン)が美味しいのだろうと想像します。
プロリンは、羽を構成するケラチンの合成に使う材料です。
穀物を主食とする鳥が、補給のために食べるのはアリでしょう。

ヒトは、プロリンの味を、ごくわずかしか感じないようです。
グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸なら、感度よく感じるのですが。

複数回、肉離れを起こして、救急車で運ばれた履歴のあるアスリートに、
プロリンの補給を指示して、肉離れグセをとめたことがあります。
その人はジャンプ競技のために、体重を落とすことを考えていて、
肉食を避け、栄養補給しないまま練習し、着地の衝撃で故障していました。
ヒトは換羽しないので、プロリンの摂取量は少しで足りるはずですが、
腱や筋膜を強い負荷で傷つけたときは、修復材料として必要になります。
プロリンはコラーゲンの主要な材料でもあります。

※ 断片的な情報で、多量摂取者が出ると困るので、強調しています。
  僕ら、換羽しないよね? 羽どころか毛も、まともに生えてないよね?
  なんだって、毛が薄いのは僕の頭だけ? うるさい。

もう一つの「プレミアごはん」、ワカサギも気になりますか?
ワカサギは、プロリンを多く含む魚として知られます。
ワカサギを食べるときの激しさをみると、
クロツラヘラサギも、プロリン味を感知しているように見えます。

動物の味覚は「どう? おいしい?」と聞き取るわけにはいきません。
食べたがるか、食べたがらないかを、観察するのが限界です。
考察が誤っていたときは、申し訳ない。
筆者が生物学者だというだけで、証拠がないものを盲信してはいけません。「プロリン、ハピ粉説」は、瀬戸裕紀の仮説ということで。
(ハッピーターンの粉には、ヒト用の旨味成分が配合されているようです)

ハイイロエボシドリ「(小松菜)うまい! うまい!」
クロツラヘラサギ「(ワカサギ)うまい! うまい!」


[ バナナ]

Musa cv.(バナナ栽培種)
苞をパカっとめくり上げ、花を露出させます。
東南アジアでは、塊の部分を野菜として食べるそうです。

僕がこれまで見てきた下垂性の花をつけるバナナは、いずれも背が高く、
花を撮れたことがなかったのですが、この株は目の高さで咲いていました。
目の高さでの開花は偶然ではなく、展示性を考慮した結果と想像します。
中性種なのか、栽培の工夫で丈を抑制したのかはわかりません。
掛川花鳥園では、つぼみに頭ごっつん。
ヒトも歩けばバナナに当たります。

満足の1枚。
その花をきちんと、特徴をよく表すように撮れると、僕は満足します。
「写せて嬉しい」の喜びは、今なお、僕のもとにあります。
花序が全て咲き終わると、その茎は枯れます。
根茎から新しい芽を吹くので、伐採して大丈夫です。
バナナに年輪はなく、巻いているように見えるのは仮茎です。
仮茎の内部に、段ボールみたいな構造が見えます。


[ 観葉植物 ]

Alocasia odora(クワズイモ)
クワズイモの葉は、大きくて、つやつやしていて、美しいです。
検索していたら「大きくて、つやつやしているだけだ」というコメントがあって、泣けた・・・。
一緒に泣きましょう>田中一村氏
推定 Anthurium sp.(アンスリウムの一種)
Anthurium crystallinum、またはAnthurium clarinerviumに似る。

熱帯のサトイモ科の同定は、サトイモ科の専門家でないと難しいです。
呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、代謝内科、アレルギー内科が別みたいなもので、
外からは全部、内科に見えても、研究界は「餅は餅屋」であったりします。
少なくとも僕は、ウキクサ科がサトイモ科に統合されるとは、想定していませんでした。
モニター外の研究者「ウキクサ、統合しちゃいました」
Codiaeum cv.(クロトン園芸種)
左は 品種推定 'エクセレント'、右は、斑が少なめの'アケボノ'を推定。
花には柑橘系のよい香りがあります。僕は花を見つけるたびに嗅いでいました。

じつは、掛川花鳥園には、クロトンをお勧めできなかったりします。
規則性の低いブロッチ柄やかすれ柄が、シミや汚れを想起しやすい。
つきあいで来園した人にとって、鳥はただの動物にすぎず、不潔のイメージがつきまとう。
葉で清潔感を演出するなら、白のFittonia albivenisやベルベット系の観葉、
花で清潔感を演出するなら、Dichorisandra thyrsifora、または生育の遅いD.penduliflora、
あるいは、Sollya heterophyllaや、Aristea eckloniiなどの青花で引き締めるとよいでしょう。
Dracaena trifasciata(サンスベリア)
サンスベリアは珍しくはないかもしれませんが、花が咲いているのは珍しいです。
すべての植物の状態がよく、なんでもかんでもご機嫌に咲いています。


[ チランジア ]

推定 Tillandsia xerographica(チランジア キセログラフィカ)
ステム型のチランジアは、一度咲くとその茎は枯れ、新しいステムが充実するまでお休みです。
大型種のキセログラフィカは、花茎が立っているところを見れたというだけで、幸運な種です。
ただし、掛川花鳥園には財力があるので、大型種を複数株、保持し、
花茎が立った株を順次、展示に回すという力技も可能です。
推定 Tillandsia chusgonensis(チランジア シュスゴネンシス)
見事なクランプです。右手に1輪、咲いています。
Tillandsia usneoides(チランジア ウスネオイデス)
(クリックで拡大。トリコームがみえます)

ウスネオイデスには、毎年咲く系統と、何年経っても一向に咲かない系統があります。
ナガエツルノゲイトウ ほどではありませんが、
ちぎれて増えていけるので、着花性が落ちた系統が成立したらしい。
マニアさんは、産地をチェックし、細かい差異を珍重しながら収集しています。
たかがウスネオイデス、されどウスネオイデス。

チランジアに、大きな花や、色斑入りの葉の華やかさはありません。
地味なのに、なぜブースを貰えるほど地位を得ているかというと、
植物には、ペット的(愛玩的)な性質を持つものがあって、
チランジアがその一つだからです。
美しさで「おもてなし」してもらい、くるしゅうないというのではなく、
自分が大事にしたいという思いをそそる。
小型の多肉植物、独特な質感を持つ観葉、バルブが目立つ原種ランは、
おそらく愛玩植物の範疇です。
人は、愛されるより、愛するほうが、幸せであるらしい。


掛川花鳥園シリーズは、本号で終わりです。
ではでは(^^)/

「貧しさに負けた~」
「いいえ、オオハシに負けた~」←それは負ける
「あの人もごはんをくれなかった」

ごはんは100円(プレミアごはん200円)。
目を輝かせて飛んでくる鳥を見たい方は掛川へ。
鳥は好きだけど、野鳥の生活を乱すのは嫌だという人にも向いています。
くれぐれも、トンネルを抜けたあとの進路はお間違いなく。

写真・文 瀬戸裕紀


[ 掛川花鳥園に行ってきました シリーズ目次 ]
  vol.1 森と草原の鳥
  vol.2 ケープペンギン、ハシビロコウ、オニオオハシ
  vol.3 水辺の鳥
  vol.4 スイレンとオオオニバス
  vol.5 吊り鉢の花々
  vol.6 植栽とチランジア