経営チームはどうすれば機能するのか―社長が頑張る会社から脱却する方法
「結局、最後は自分がやることになるんです。」
後継者や第二創業の経営者から、よく聞く言葉です。
社員はいる。
幹部もいる。
会議もしている。
それでも最終的には社長が判断し、
社長が動き、
社長がフォローし、
社長が責任を取る。
すると経営者は少しずつ疲弊していきます。
そして、
「社員が育たない」
「幹部が動かない」
「任せられない」
と感じるようになります。
しかし現場に入ると、
必ずしも社員や幹部の能力不足が原因ではありません。
むしろ、
経営チームとして機能する構造が存在していない
ことの方が多いのです。
ある後継者も同じ悩みを抱えていました。
会社には優秀な責任者がいました。
経験もあります。
真面目に働いています。
それでも、
何か起きると社長に確認が来る。
会議でも最終判断は社長。
改善提案も社長待ち。
本人は言いました。
「みんな優秀なんです。
でも自分がいないと回らないんです。」
実際に会議へ参加してみると、
その理由はすぐに分かりました。
責任者は報告しています。
しかし、
考察していません。
提案していません。
判断材料も整理していません。
社長は報告を聞いて、
その場で考え、
その場で判断しています。
つまり、
会議が意思決定の場ではなく
社長への報告会
になっていたのです。
第4回では、
当事者意識は構造から生まれる
という話をしました。
経営チームも同じです。
役職を与えれば幹部になるわけではありません。
責任者という肩書きを付ければ、
経営者目線になるわけでもありません。
重要なのは、
考える機会と判断する機会
です。
そこで最初に行ったのは、
大きな組織改革ではありませんでした。
会議のやり方を変えたのです。
責任者には、
報告だけではなく、
課題
原因
対応案
必要な判断
を整理して持ってきてもらいました。
最初はうまくいきません。
「どうしましょうか」
という報告ばかりです。
しかし何度も繰り返していくうちに、
少しずつ変化が起きました。
ある責任者は、
以前であれば
「売上が下がっています」
で終わっていました。
しかし数か月後には、
「この顧客群の粗利率が低下しています」
「価格改定を提案します」
「実施した場合の影響はこれです」
と話すようになりました。
別の責任者も、
「人が足りません」
ではなく、
「この工程を標準化すれば負荷を下げられます」
と言うようになりました。
私はある時、
責任者全員に短い発表をお願いしました。
一人5分です。
自分の担当領域について、
現状
課題
打ち手
を説明してもらいました。
最初は緊張していました。
しかし回数を重ねるごとに変わりました。
発表内容が整理される。
数字を使うようになる。
質問にも答えられるようになる。
そして何より、
自分の領域に責任を持つようになった
のです。
その様子を見た経営者が、
こんなことを言いました。
「みんな成長していますね。」
私はその言葉が印象に残っています。
なぜなら、
社員が変わったというより、
社長の見方が変わった
瞬間だったからです。
経営チームが機能しない会社には、
ある共通点があります。
社長が優秀過ぎるのです。
社長が考える。
社長が決める。
社長がフォローする。
社長が動く。
すると組織は楽になります。
しかし同時に、
社員は考えなくなります。
幹部も育ちません。
結果として、
社長がいないと止まる会社
になります。
もちろん、
最終責任は社長にあります。
これは変わりません。
しかし、
すべてを社長が考える必要はありません。
むしろ、
考える人を増やすこと
が経営者の重要な仕事です。
年間400件を超える経営相談に関わる中で感じることがあります。
会社が成長する時、
最初に変わるのは売上ではありません。
設備でもありません。
人員数でもありません。
まず変わるのは、
会議です。
会話です。
責任者の発言です。
つまり、
経営チームの質
なのです。
もし今、
「結局最後は自分がやる」
「幹部が育たない」
「社員に任せられない」
そう感じているなら、
必要なのは気合いや根性ではないかもしれません。
まずは、
社長が頑張る会社から、
経営チームで考える会社へ変わる仕組み
なのかもしれません。
次回はいよいよ最終回です。
「後継者の経営は、自分の経営を引き受けるところから始まる」
先代の正解ではなく、
自分の判断で会社を前へ進められるようになるまでの話をお伝えします。
はじめての方へ
私は主に、
事業承継後の後継者
第二創業フェーズの経営者
新規事業責任者の伴走
の支援を行っています。
経営の正解を提示するのではなく、
頭の中を整理し、
判断基準を明確にし、
経営チームが機能する状態をつくることを重視しています。
社長だけが頑張っている。
会議はあるのに決まらない。
幹部を育てたい。
任せられる組織をつくりたい。
そんな状況であれば、お気軽にご相談ください。
※事例は一部加工しています。実在の企業・人物とは関係ありません。
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熊谷 篤
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士
承継・第二創業・新規事業の現場で、経営者が判断できる状態をつくる伴走支援を行っています。
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