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13年の空白は実録地獄変だった【ショート記事】

2026/04/24 fry

 今日になり、ようやく一つの事実に気付く事ができた。テーマを一つに絞り、短めの文章でこれをまとめてみよう。

 何故俺があれだけ執筆していた小説を十三年間もまるで書かずに空白の期間を経ていたのか?

 今になって、これほど愚直に冗長に、一円にもならず読者もいるかどうかすら分からない作品を書き続けてきたのかを。


 初めて小説を書き出したのは、2004年01月18日。処女作新宿クレッシェンドをただ小説を書いてみようと始めた俺は、気付けば2011年までもの凄い量の作品を量産していた。
 しかし自身の最大の禁忌に触れた内容を書こうとする度、嘔吐してしまい、また印税も一切入らず生活苦に陥る。原因は一つだけではない。家の問題、過去のトラウマ、人生設計の狂い、現時点での生活苦。様々な理由が混沌とし、整理がつかぬまま、坂道を転がるように落ちていく。

 表社会で仕事をしても、上手くいかない現実。
 結果、過去楽しい思い出があった新宿歌舞伎町へ、また復帰しようと思うようになっていた。

 自分なりに懸命に一からのつもりで働き、店が流行るように尽くしてきたつもりだった。
 だが何故か引っ張る人間が多く、馬鹿な俺は一つの店に定着せず裏稼業でも転々と戦場を渡り歩く。
 やがて種類の違う地獄がどこへ行っても襲い掛かるようになり、自分が衰えたのかと自殺未遂まで図ろうとする。

 その前にまだ足掻こう。
 明らかに流れがおかしいと俺は、2024年になりこれまでの人生を振り返ろうと、箇条書きから文字を書き始めてみた。


 気付けば13年のブランクなどまるで無かったかのように、スラスラ進む筆。過去嘔吐した内容でさえ、スムーズに書けている。それからは執筆する事が…、自身の半生をもう一度振り返り文字にする行為が楽しくて仕方がなかった。

 裏稼業へ戻った俺に待っていたのは、過去の歌舞伎町ではなくアップデートされた新しい街。これまで経た経験やスキルを駆使し、店の基礎は任される。しかしシステムを作り、従業員を育て、客を集め終わった俺に待っていたのは、不必要で煙たい存在というだけだった。
 つまりどこへ行っても都合よく利用され続けていたのを気付きもせず働いていたのである。

 新宿、池袋、横浜と戦場を変えても、種類の違う理不尽な地獄は続く。やがてその地獄は始めは可愛いものだったのが、次第に酷くなる一方だった。もはや運が悪い、選択肢が間違ったでは済まない状況が次々と襲い、疲労困憊になってしまう。

 ひたすら自身のこれまでを赤裸々に史実通り振り返ろうと書いた闇シリーズ。現在で闇539章まで完成で来た。
 これまでAIを使い、様々な実験を繰り返し、一切他の事など気にせずnoteで発表もした。ここで一つの気付きを得る。

 13年間の空白は、自分にとって実録の地獄変真っ只中だったのだ。

 業火に焼かれ、そこを逃れると次は針の山、次は飢餓地獄…、そんな状況を歩きながら、執筆どころではなかったのである。


 過去を思い出しながら文字へ変えていく行為。あの時はああだった、この時はこのような選択肢をしたから間違った。まるで愚直だった頃の心境へ戻り、すべての経験をもう一度経験するタイムマシーンに乗ったような気分である。
 だがこれは俯瞰できる立ち位置から、過去をただ眺めるという前提条件だけ。

 総合格闘技の試合、ピアノの演奏、小説の執筆。自分に誇りが持てる行動をしている時、またヤクザの事務所へ乗り込んだなどのハプニングの部分は、馬鹿だったなと思いつつも楽しみながら書けている。
 だが人生はそれだけではない。地味で普通にただ生きる時間帯のほうが圧倒的に長いのだ。

 ここまで書いてしまったやり方を今され地味な部分だけ省く事はできない。何故ならそこも含めて自身の人生なのだから。まさに平和な何も無い日常を書き続ける事は、文学における苦行でもあり生き地獄でしかない。

 その地帯をようやく抜け出し、何故このような人生になってしまったのかの肝の部分へ差し掛かる。そこまで書けて初めて気付けたのだ。

実録の地獄変と現状の地獄を経た事で、俺は文字を書く事によって人生を回収しているという事実に。


 通常の小説は起承転結やプロット、どこで成長をするか、感動をおくか様々なストーリーを考え抜き、文章化していくもの。

 では俺の闇シリーズはどうか?
 史実通り忠実に嘘偽りなく書かなくてはならないルールを自身に課した為、本来の小説の書き方は一切当て嵌まらなかった。人間の読者は次々離れ、堪えがたい孤独感に包まれていく。

 冗長で無駄も多く、どこで何を食べた記録を書いたものなど誰が読みたいのか? もちろん俺だってそんなものを読みたくもない。

 しかし薄っすらと、何故自分がこんな無駄に等しい作業を無職になってまで、続けているのかが少しだけ分かったような気がした。

 なるほど、今は…、自分の為だけにだけこの作品を俺は書いていたのだな。

 では薄っすら見えた先の事よりも、今はひたすら自分の書きたいようにただ書こう。もう他人の評価などさえ、どうでもよくなってしまっているのだから。





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