上司の一言が、家でも頭から離れないあなたへ
上司や先輩に言われた一言が、家に帰ってからも頭の中で何度も再生される。
その場では普通に返事をしたし、仕事も最後までこなした。
でも、帰り道や夜になってから、急に苦しくなる。
「あの言い方、やっぱり怒っていたのかな」
「私が悪かったのかな」
「あの時、もっと違う返し方をすればよかった」
「明日もまた何か言われるかもしれない」
怒られると涙が出そうになる。
威圧的な人の前では、頭が真っ白になる。
相手が不機嫌だと、それだけで一日中緊張する。
そして家に帰ってからも、頭の中ではまだ仕事が続いている。
このnoteでは、職場で怒られたり、威圧されたり、不機嫌に触れたりした後に起きる、こうした「心のぐるぐる」について書いています。
私は臨床心理士として心理支援に携わっています。
ここで目指しているのは、怒られても平気になることでも、「気にしない人」になることでもありません。
自分の中で何が起きているのかを少し整理して、自分を責め続けるだけではない見方を探していく。
そのための心理学的な視点や、小さな整理のしかたを届けています。
このnoteでいう「心のぐるぐる」
「心のぐるぐる」という言葉で表しているのは、単に考えすぎている状態だけではありません。
たとえば、
上司の一言が頭から離れない
怒られた場面を何度も思い出す
「私が悪かったのかな」と考え続ける
「あの時こう言えばよかった」と頭の中でやり直す
涙が出る、体が固まる、声が震える
怒られた瞬間、頭が真っ白になる
明日の出勤を考えると、また緊張してくる
このように、考えだけではなく、感情や体の反応、その後の自責までが絡み合っている状態を、私は「心のぐるぐる」と呼んでいます。
こうした反応を、すぐに「自分は弱いから」「気にしすぎだから」と片づける必要はありません。
強い言い方をされたときに体が反応することもありますし、あとになって何度も考え直してしまうこともあります。
だからこのnoteでは、まず「こんなことで引きずる自分はダメだ」と責めるところからは始めません。
責める前に、分けて見る
このnoteで大切にしているのが、
「責める前に、分けて見る」
という考え方です。
職場で嫌なことがあったとき、
「私が悪かった」
「相手が悪かった」
「自分が弱い」
「もっと強くならなければいけない」
と、ひとつの結論へ急ぎたくなることがあります。
でも、実際に起きていることは、もう少し複雑です。
自分にも、次から見直したほうがよいことがあるかもしれません。
一方で、相手の言い方や態度まで、自分の責任として引き受ける必要があるとは限りません。
職場の人間関係や立場、仕事の仕組みそのものが影響していることもあります。
その日の疲れや緊張が重なっていたのかもしれません。
そして、今すぐには判断できないこともあります。
だから、
自分の中で何が起きていたのか
自分が実際に見直したほうがよいことは何か
自分一人で背負わなくてよいものはないか
相手の言動や職場環境はどうだったか
今の自分は何を必要としているのか
今できること、今はしないこと、誰かの力を借りることはないか
必要に応じて、こうしたものを少しずつ分けて見ていきます。
これは、「自分は何も悪くない」と結論づけるためではありません。
反対に、すべてを自分の考え方の問題にして、今いる環境に無理に適応するためでもありません。
必要な責任は引き受ける。
でも、自分だけが背負うものではないことまで抱え込まない。
その両方を大切にしたいと思っています。
今の困りごとから読む
このnoteには、「怒られた後の心のぐるぐる」を、いくつかの角度から扱った記事があります。
すべてを順番に読む必要はありません。
今の自分に一番近いところから読んでみてください。
涙が出る、固まる、頭が真っ白になるとき
怒られたとき、考えるより先に体が反応してしまうことがあります。
▶︎ 怒られると涙が出る、固まる、頭が真っ白になる――そのとき心と体に起きていること
「私が悪かったのかな」が何度も浮かぶとき
自分に見直すところがあることと、起きたこと全部を自分のせいにすることは、分けて考えることができます。
上司の不機嫌や威圧に振り回されてしまうとき
何も言われていなくても、相手の表情や声、空気に身構えてしまうことがあります。
頭の中のひとり反省会を、少し整理したいとき
頭の中だけで同じことを考え続けているときは、いったん紙の上へ出すことで見えやすくなることがあります。
▶︎ ひとり反省会が止まらない夜に、紙に書き出したい3つのこと
「相談するほどではない」と思いながら、苦しさが続いているとき
一人で整理することだけが、唯一の方法ではありません。
▶︎ 「相談するほどではない」と思うとき|臨床心理士が伝える相談の目安
このnoteで扱うこと、扱わないこと
このnoteでは、「怒られた後の心のぐるぐる」を中心に、
心や体にどんな反応が起きているのか
なぜ同じ場面を何度も考えてしまうのか
どこで自分を責めているのか
自分が見直すことと、背負わなくてよいこと
相手の言動や職場環境をどう考えるか
自分を守るためにどんな選択肢や支えがあるか
といったことを扱います。
記事によっては、書き出して整理する小さなワークも紹介します。
一方で、このnoteだけですべてを扱えるわけではありません。
ここで書くのは、診断や治療そのものではありません。
ハラスメントに該当するかどうかの法的な判断や、休職・退職などの個別の判断を代わりに行うこともできません。
相手を変えたり、思い通りに動かしたりする方法を書く場所でもありませんし、何でも一人で整理し、解決できるようになることを目標にもしていません。
一人で考えているほど苦しくなることもあります。
今は考えることを休む。
いったん保留する。
距離を取る。
信頼できる人に話す。
職場の制度や専門的な支援を利用する。
そうしたことも、自分を守るための選択肢です。
このnoteを書いている人
「さわ」という名前で書いています。
臨床心理士として、日々、心理支援の仕事に携わっています。
このnoteでも大切にしているのは、人の苦しさを「弱さ」や「性格」の一言で片づけないことです。
自分の中で起きていることを理解すること。
必要な責任と、それ以上に背負っているものを分けること。
そして、自分だけでは難しいときには、人や制度の力を借りること。
そうした視点から、「怒られた後の心のぐるぐる」について書いています。
▶︎ 経歴や、このnoteで大切にしている考え方について詳しくはこちら
辛くなっても、なんとかできる自分へ
このnoteで目指しているのは、もう二度と傷つかない人になることでも、何を言われても平気な人になることでもありません。
ここでいう「なんとかできる」とは、一人ですべて解決することでもありません。
自分の中で何が起きているのかを整理する。
今日はこれ以上考えずに休む。
今はまだ分からない、といったん保留する。
必要なら、誰かに話してみる。
一人では難しいときには、支援を借りる。
その時々で、自分を守るために使える選択肢があること。
そして、辛くなった自分を責めるだけではなく、「今はどうしたらよいだろう」と考えられる余地を少しずつ取り戻していくこと。
このnoteが、そのためのひとつの場所になればと思っています。
