2.日本人の歩みを辿って(比叡山)
比叡山に向かうために、京都駅を下車した私は一路滋賀県大津に向かいます。大津市に入り中心街から琵琶湖西岸をなぞるように北上し「坂本」という地域に来ました。
この坂本は比叡山のたもとに位置し、比叡山延暦寺の門前町、宿場町としてにぎわった場所。比叡山での修行を終えた僧侶の隠居地「里坊」の集積地でもあり、さらには日吉神社の総本宮「日吉大社」も鎮座します。
日吉大社の隣に、坂本と比叡山山頂部をつなぐケーブルカーの駅があり、私はこのケーブルカーに乗り込みます。
ケーブルカーは山の斜面を登って行き、山頂部、比叡山延暦寺駅に到着。ここから徒歩で無動谷の小路を下るようにとあるお寺に向かいました。

訪れる年によっては、写真の小路が雪に覆われて真っ白になることがありますが、今年の正月はとても暖かく、雪はありません。
この先に、目的地である「無動寺弁天堂」があります。祀られているのは「商売」と「芸事」の神様弁財天。ご縁があって、私にとって毎年お参りする場所となりました。当日は1月7日、2026年の初巳の日(はじめてのヘビの日)で、無動寺弁天堂の初巳大祭の日でした。

朝が早すぎたのでしょう。
残念ですが、初巳大祭…、
まだ準備中のようでした。

この弁天堂には新年の初巳の日に、1年の開運をお祈りするために全国からたくさんの人が参拝に来られます。
私がこの弁天堂に毎年訪れることになったのは、数年前に比叡山根本中堂に行くためにケーブルカーに乗車していたところ、車内でのある出会いがきっかけでした。
「今日は調度弁天堂の祭だから、是非一緒に参拝しましょう。行かなければもったいないですよ!」
と、とあるご老人に声をかけていただいたのが始まりでした。
そのご老人は、神戸で会社経営されている社長さんで、その日は奥様と知人のインド人経営者と3人で無動谷を目指しておりましたが、私にとって予定外のルートをお三方と歩き、お祭りをご一緒させていただいたのが、私とこの弁天堂との出会いでした。
比叡山の深い森の中、木々に囲まれた弁天堂本堂にはそれほど日が差しません。陰影の中に「暗闇」の美しさを感じる場所です。
私は身が清まるような神聖な空気を感じながら、奉納と新年の祈願をさせていただき、
「来年はもう少し人のいる時間にこよう。」
そう思いながら、またケーブルカーに乗車して比叡山を後にするのでした。
バックパックを膝に…、
降りのケーブルカーにゆられながら、
私の小さな旅へ、私の心が動き出します。

1.日本人の歩みを辿って(京都・序章)
2.日本人の歩みを辿って(比叡山編)
3.日本人の歩みを辿って(伏見稲荷大社編)
4.日本人の歩みを辿って(松尾大社編)
5.日本人の歩みを辿って(太秦・広隆寺編)
6.日本人の歩みを辿って(蚕ノ社編)
