ライン随想録 QE2航海記・その4、クイーン・エリザベス号・カラオケ大会は大盛況
1997/8/16 ライン随想録 スイス・バーゼルレポートより
随想録
クルーズ三日目の7月30日、夜10時から船内「カラオケ大会」があると言うので、ゴールデン・ライオン・パブに出かけてみた。
その直前クイーンズ・ルームのダンス・パーティーをみていたが、こちらのほうはやや閑散としていた。
カラオケ会場は30-40人くらい入ることのできるアッパーボード・右舷側(スターボード)のパブであったが、すでに100人以上の観客で、押すな、押すなの大盛況であった。
半分くらいの人は、“What's Karaoke?"などと言い、ものめずらしい感じで見に来ていた。
日本人のお仲間の渡辺さんが「愛の讃歌」を英語で歌うと、これが素人離れ した歌いっぷりで、やんやの大拍手となった。
希望者は歌う曲名を司会者に提出しておき、順番がくると司会者がカラオケのスイッチを入れてくれる。
歌う人の目の前のスクリーンに歌詞が現われ、曲がスピーカーから流れるといった趣向である。
日本で10年ほど前、なんどかスナックのカラオケに行った事があるが、たしか日本の多くのカラオケでは、歌う人用のモニター・スクリーンに加えて、観客用の大きなスクリーンに絵と歌詞が現れるようになっていたと思う。
ここではそれがなかった。観衆の反応がビビッドで面白かった。
PPMの「マジック・ドラゴン」や「花はどこへいっ たの」、エルビス・プレスリー、サイモン・ガーファンクル、それにデュエットでは司会者の助け船も出てきた。
出演者は若いひとが多かったが、美人の娘さん二人の歌などには拍手がとくに大きかった。
下手な人も少なくなかったが、観衆が手拍子で励ましたり、一緒に歌ったりしたので、恥ずかしがる出演者はまづいなかった。
それに20数人のひとがでてきたが、司会者が「あと3人で出演希望者がつきてしまいます」、ご希望のかたは今すぐ、用紙を提出してくださいと叫んでいたが、追加はなく、この3人が歌い終わるとお開きとなった。
強制はしないものらしい、周囲のひとにおまえはどうかというような推薦もなかった。
この点は日本とちょっと違うかなと思った。
カラオケがQE2でこれほど人気が出ているものとは想像もつかなかった。
カラオケというのが日本語で、日本始発のコンセプトということに気づいている人も多くなかったようだ。
ただ、みなが楽しんでいるのをみると内心うれしい気持ちがこころに広がった。
ヨーロッパではロンドン、パリのようなおおきな都市では日本人も多くカラオケが盛んなようであろうが、スイスではアルプスの村、ベルゲンのホテルで「カラオケ大会」の宣伝をみたことがある。
わたしの住むバーゼルでもクライン・バーゼルのパブで「カラオケ」の案内をみたが、いまでも続いているかどうかは知らない。
日本人の個人の家でホーム・カラオケなど開催して、演歌などうたっているひとはあるのかもしれない。
QE2では、このほかいろいろな行事・エンターテインメントが盛りだくさんに提供されており、全部にでるとからだがもたない。
われわれが出て、楽しんだものとしては、留学生グループ・AFSのお仲間の「タレント・ショー」。
これはギターとか、葦の笛、ジャズ・ソング、民族ダンス、とくにアンデスのダンスでは観客に刺繍のコースターのお土産までが配られた。
グランド・ラウンジでは、QE2.オーケストラの演奏のもとで、専属のミュージカル・チームが「メモリーズ」というなつかしいミュージカルの名曲、名場面、を再現するというショウを2日にわたり行っていた。
レ・ミゼラブル、キャッツ、などなど、である。
この専属ミュージカル・チームは毎回の航海に出演するようだ。
カクテル・ラウンジではピアノ演奏、シアターではマドンナの「EVITA」、「The English Patient」,「The Devil‘s Own」などの映画が上映され、これが客室のテレビでも同時放映されていた。
客室のテレビでは、船の進行方向を操舵室のデッキから放映する実況中継放送がクラシック音楽とともに24時間放映されている。
このほか、QE2の「船内案内」と言うのが、人気を呼んでいた。
操舵室、エンジン・ルームなどに連れていってくれるもののようであったが、だいぶ歩きそうなので敬遠した。
フィットネス、エステティック、など、さらにはゴルフ・パッティング、コントラクト・ブリッジ、も多くのひとを集めていた。
カジノではスロット・マシーンやルーレットの賭けがよる・9時半以降オープンとなっていたが、チップ売り場のおねーさんはやや手持ちぶさたのようであった。
留学生の記念航海ではない通常の航海ではもう少しカジノの売り上げが多いのではないかと若干同情した。
晴れて天気の良い日には、デッキでの日光浴を楽しく人が多く、プールサイドはいつもおお賑わいであった。
プールのとなりのジャグジーという、泡付き温水小プールでは、マッサージ効果をねらい大盛況であったが、大人専用で16歳未満はお断りと書いてあった。
割合にユニークであったのは、船長のインタビューという番組がグランド・ラウンジであり、船長は「英・アルゼンチン・戦争」の折り、このQE2が輸送船、病院船、として戦列に加わっていた事を長時間はなしていた。
エンターテインメントでも、QE2、ロンドン・ニューヨーク間はとくにアングロサクソンの世界を色濃く反映しているな、という印象を持った。
1920年代、1930年代、航空機が導入される前は旅客船が主体でこうした船旅は絢爛豪華な社交界の花形を乗せて、きらめくような世界を作り上げていたのだろうなと、しばし往時に思いを馳せてみた。
老齢プログラマの所感
クイーン・エリザベスでカラオケですか。
想像するだけで面白そうです。
井浦さんが説明してくれているので、その場の状況を想像し易い。
日本でのカラオケと歌う人が違うだけで、同じような状況なのでしょうか。
思いっ切り歌うと気分はすっきりするのでしょうね。
補足
上の記事は1997年頃の「ライン随想録(井浦幸雄さん)」の復刻版です。
当時、私の故郷の住職の遺作「おふくろの味」を井浦さんがWebに載せて下さり、今は住職の息子によって公開されています。
当時、このようにお世話になったことを思い出し、復刻していました。
ある日突然、「ライン随想録」の目次が検索で見つかるようになりました。
しかし、ここから記事へのリンクが途切れています。
これが理由で、今まで検索しても表示されなかったのかもしれません。
そのため、復刻作業は今までどおり続けることにします。

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