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ライン随想録 旅行、お好きですか?

ライン随想録 1997.2.23 井浦幸雄

随想録

多分、日本の職場でも同じだと思うが、わたしの今勤めているところでも、昼の食事時やパーティーのときの格好の話題は、今度休みのときどこへ旅行にいくか、どこへいったらよいか、といった話である。
わたしのところでは日本人がほとんどおらず、ヨーロッパ人9割、北米人1割、 といった構成である。
フランス、ドイツ、スイス、イタリア、イギリスの人が多いが、家族のいる人は、学校の休暇にあわせて、子供たちと両親のいるところへ、または一緒にどこかのリゾートへというケースが多い。
北米、アジアなどへいく大旅行は2年に一度あるかないか、ということのようだ。
若い人、 若いカップルは体力にものをいわせて、長距離旅行に挑戦することが多いようである。

わたしのところは、子供もおらず気楽なので、欧州に来ての約8年間、 それに、その前の米ワシントンDCの3年間、あちこちに旅行にいった。
今のスイス・バーゼル暮らしでは、国外旅行、国内旅行という、区分けが意味を持たない。
3国・国境地帯に住んでいるため、5分も走ると、フランス、ドイツに到達してしまう。
大陸・ヨーロッパ全体が同国内といった感覚である。

ビジネス、その他で2度ほど東京にいく以外は、ほとんどヨーロッパのあちこちを動き回っている。
最近では、職場のゴルフのなかまに誘われて、フランス、イタリア、スイスのリゾートへゴルフ旅行によくいっている。
昨年は、フランス・ヴィッテル (Vittel)、 イタリアジェノバ カリマテ (ミラノ郊外)、スイス・クランモンタナへ出かけていった。
ゴルフクラブの若い仲間がすべて、ホテル、ゴルフ場の予約をしていてくれるので楽であるし、20人くらいの仲間と一緒なので楽しい。

ヨーロッパ居住の日本人の仲間と一緒になるロンドン、チューリッヒ、ジュネーブの日本の旅行エージェントの企画する旅行も楽しい。
こうしたグループで、 アテネ、イスタンブール、エジプト、ボルドーに出かけていって楽しんできた。
ワイン産地・ボルドーへの旅行はご指名でいきませんかと強く誘われ、連れて行かれた。
お声をかけてくれてよかったと思う。
エジプト旅行のときなど、おなかをこわしたり、熱を出した人が続出したが、 誰もガイドに抗議したりせず、持参の薬を飲んだり淡々としているのが印象的だった。
神殿のレリーフを見学するときなど、前の人が座ったり、姿勢を低くして後ろのひとのために気をきかせていた。
みな、異国で暮らし、人のことに気を遣うようになっているのかとも思った。 グループ旅行は仲間との交流も楽しい。

後は夫婦二人の個人旅行に頻繁に出かける。
春夏 季節のよい時には、スイス、フランス、ドイツの近場に土日を利用し、 日帰り、 一泊でよく出かける。
スイスのユングフラウ、マツターホルン地域、エンガディン地方にいくときは、車のトランクにパジャマ ・ 洗面用具を入れておいて、いいところがあったらいつでも宿泊できるようにしている。

96年だけでも、こうした個人旅行でミラノ (汽車)、プラハ・ブダペスト (飛行機)、アイスランド (飛行機)、フランス・リモージュ(自動車)にいってきた。
家内が欧州産の陶器に熱心になり、ミラノ(ジノリ)、ハンガリー・ブダペスト(ヘレンド)、リモージュ(ベルナルド)の陶器を求めたいと言い出したためである。
このほか、オペラ・カルメンをみに、夏にイタリア・ヴェローナまで、車で出かけた。

このほか、 95年までは毎年夏7回もオーストリアのザルツブルグ音楽祭に行っていた。
オペラ鑑賞というイベントを中心にしたものである。

最近の旅行の仕方は、 外国生活がながくなってきたせいか、日常生活の延長線上のような旅行が多くなっている。
日程はゆったりとる、高いものは旅行中には買わない、あまり惨めなところには、泊まらない、などである。
自分で行くときは、宿泊先を電話・ファックスで予約してから行くようにしているが、 最近では混雑具合が次第に分かるようになってきたので、現地に着いてから、 Information を探し、ここから、 あいているところを予約することも、便利と感ずるようになってきた。
よいところがなければ、いつでもスイスの自宅に帰れるようなところでは、 1-2週間も前からの予約は要らないであろう。

旅行情報は仲間からの口コミ情報が多いが、日本語の本も東京に行ったときにもとめてくる。
最近ではかなり詳しい欧州情報の本が多く出ている。
8年もいるバーゼルのことも日本語のガイドブックで今更のように教えられることが多い。

最近の楽しみは、ノートブックパソコン、デジタルカメラ、インターネットホームページの組み合わせで旅行中に多くの旅行経験が記録・発信できることである。
車で移動するときはノートブックなど持っていかれ、 リモージュの時にしたように、 毎日ゆとりのあるときに、少しずつ書きこんでおくと、旅行からかえったときに、 すぐ情報発信ができる。
あまり 日本のひとが行かないような、ヨーロッパの片田舎の魅力を多くのかたに味わってもらうことができればと考えはじめている。


老齢プログラマの所感

「大陸・ヨーロッパ全体が同国内といった感覚である」なんて、ちょっとは羨ましい気がします。
私たちは、コロナ直前になってやっとスイスにいくことができました。
美しいと聞いてはいましたが、行ってみたいと思ってから数十年後になっていました。
その時の旅行マップがこのページのトップページ写真、その他の写真が随想録のトップページに使っています。
「3国・国境地帯に住んでいるため、5分も走ると、フランス、ドイツに到達」というのは正反対の環境です。
老後の人生だと思うので、「そんな環境も味わってみたい」とは思わなくなっています。


補足

上の記事は1997年頃の「ライン随想録(井浦幸雄さん)」の復刻版です。
当時、私の故郷の住職の遺作「おふくろの味」を井浦さんがWebに載せて下さり、今は住職の息子によって公開されています。
当時、このようにお世話になったことを思い出し、復刻していました。

ある日突然、「ライン随想録」の目次が検索で見つかるようになりました。
しかし、ここから記事へのリンクが途切れています。
これが理由で、今まで検索しても表示されなかったのかもしれません。
そのため、復刻作業は今までどおり続けることにします。

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