見出し画像

不妊治療で一番残酷なのは「時間」|体外受精の通院スケジュール

体外受精は、

「治療を始めれば、すぐに結果が出る」

と思っていませんか。

体外受精では、採卵・受精・胚培養・胚移植を、月経周期や身体の状態に合わせて進めます。

凍結胚移植では、採卵周期と移植周期が分かれるため、採卵から妊娠判定まで複数の月経周期にまたがることもあります。

しかし、すべての段階が予定どおりに進むとは限りません。

採卵が中止になった。
採卵しても卵子が採れなかった。
卵子は採れたけれど、受精しなかった。
受精したけれど、胚が育たなかった。
子宮内膜の厚さやホルモンの状態が整わず、移植が延期になった。
移植したけれど、妊娠しなかった。

どこかの段階で治療が止まれば、次の月経周期を待ちます。

次の挑戦は、また来月。

不妊治療では、この「あと1か月」が何度も積み重なっていきます。

※治療にかかる期間や通院回数は、年齢、身体の状態、治療方法、医療機関の方針によって異なります。


各ステップにかかる時間の目安

体外受精の通院スケジュール|採卵から妊娠判定まで

体外受精では、まず採卵周期に採卵・受精・胚培養を行います。新鮮胚移植は採卵した周期に行い、凍結胚移植は通常、翌周期以降の移植周期に行います。

一般的には、次のような流れで治療が進みます。


月経開始後に診察

月経が始まったら医療機関を受診し、超音波検査やホルモン検査を行います。卵巣やホルモンの状態を確認し、その周期に採卵を行えるか、どのような方法で卵胞を育てるかを決めます。

採卵までの通院回数は何回?

採卵までの通院回数は、一律ではありません。卵胞の成長を確認するため、採卵までに複数回通院します。通院時には、超音波検査や血液検査などを行い、卵胞の大きさやホルモン値を確認します。

卵胞の育ち方には個人差があるため、診察結果によって次回の通院日や採卵日が決まります。実際の通院回数は、卵巣刺激の方法、卵胞の成長、医療機関の方針などによって異なります。

採卵

卵胞が採卵できる状態まで育ったら、採卵を行います。

採卵日は、卵胞の成長やホルモン値を見ながら決めるため、治療開始時点では正確な日程が分かりません。

受精・胚培養

採卵した卵子に体外受精または顕微授精を行い、受精卵の成長を確認します。

採れた卵子がすべて受精するとは限りません。また、受精しても、すべての受精卵が移植や凍結に使える胚まで育つとは限りません。

凍結胚移植の準備

凍結胚移植を行う場合は、採卵した周期とは別の月経周期に胚移植を行います。

凍結胚移植には、自然排卵に合わせる方法と、薬剤で子宮内膜を整える方法があります。子宮内膜やホルモンの状態などを確認しながら、胚移植の日程を決めます。

胚移植

子宮内膜の状態と胚の発育段階に合わせて、胚を子宮内へ戻します。

妊娠判定

胚移植後は、医療機関から指定された日に通院し、妊娠判定を受けます。

このように、体外受精は1回の診察で完結する治療ではありません。採卵から妊娠判定までには、複数回の通院が必要です。凍結胚移植を行う場合は、採卵周期とは別に移植周期の通院も加わります。

さらに、診察結果を見て次回の受診日が決まるため、仕事や家庭の予定を早い段階で調整する必要があります。


採卵から胚移植・妊娠判定まで何か月かかる?

新鮮胚移植では、採卵と同じ月経周期に胚移植を行います。

一方、凍結胚移植では、採卵した周期とは別の月経周期に移植します。そのため、採卵から妊娠判定まで、複数の月経周期にまたがることがあります。

ただし、採卵の中止や胚の発育停止、移植の延期などがあれば、さらに時間がかかります。

体外受精にかかる期間を、一つの数字で答えることが難しいのはこのためです。


体外受精が予定どおりに進まないケース

ここまで説明したのは、採卵から胚移植まで進めた場合のおおまかなスケジュールです。

実際には、途中で治療が止まり、次の月経周期を待つことがあります。


採卵が中止になる・卵子が採れない

卵胞が十分に育たない、ホルモン値が治療を進められる状態ではない、予定より早く排卵してしまった。このような場合は、予定していた採卵が中止になることがあります。

また、採卵まで進んでも、必ず卵子が得られるとは限りません。卵子が採れなければ、その周期の治療はそこで終了します。

もう一度採卵を行う場合は、身体の状態を確認しながら、次の治療計画を立て直すことになります。


受精しない・移植できる胚まで育たない

採れた卵子が、すべて受精に使えるとは限りません。卵子が未熟で、受精に進める成熟卵が得られないこともあります。

成熟卵が得られても、体外受精や顕微授精で受精しない場合があります。また、受精が確認できても、途中で成長が止まり、移植に使える胚まで育たないことがあります。

移植できる胚がなければ、再び採卵から始めることになります。


移植が延期になる・妊娠に至らない

移植できる胚を凍結できても、すぐに移植できるとは限りません。

月経を待ち、子宮内膜や排卵の状態を確認しながら移植日を決めます。身体の状態によっては、移植が次の周期以降に延期になることもあります。

胚移植をしても、必ず妊娠するとは限りません。

結果が陰性だった場合、凍結胚が残っていれば次の移植へ進みます。凍結胚が残っていなければ、再び採卵から始めることになります。


妊娠判定が陽性でも、治療が終わるとは限らない

妊娠判定が陽性になっても、すぐにすべてが終わるわけではありません。

胎嚢や心拍が確認できるまで、経過を見ていく必要があります。その後に流産となった場合は、身体の回復や月経の再開を待つことになります。

陽性判定が出ても、不安や「待つ時間」がすぐに終わるとは限りません。

これも、不妊治療を経験するまで私が知らなかったことの一つです。


不妊治療は「あと1か月」の積み重ね

体外受精では、採卵、受精、胚培養、胚移植のどの段階でも治療が止まり、「次はまた来月」となります。

1回の1か月だけを見れば、短く感じるかもしれません。しかし、その1か月が3回積み重なれば3か月、6回積み重なれば半年です。

このように治療期間が延びることもあり、不妊治療は、日数ではなく「月」が積み重なっていく治療なのだと思います。


年齢と時間を考えたクリニック選びを

女性の年齢は、妊娠率や流産率などの治療成績と関係します。
※参考:日本産科婦人科学会「ARTデータブック2023」

https://www.jsog.or.jp/activity/art/2023_JSOG-ART.pdf

もちろん、1か月経過しただけで、治療成績が急激に変わるわけではありません。

それでも、不妊治療では、その1か月が何度も積み重なります。

どのクリニックを選んでも、治療が思いどおりに進むとは限りません。クリニックを変えれば、必ず妊娠できるわけでもありません。

それでも、

  • 現在の年齢や検査結果に合った治療方針を説明してもらえるか

  • 治療がうまくいかなかった場合に、次の方針を説明してもらえるか

  • 仕事や家庭と両立しながら通院を続けられるか

  • 年齢別の治療実績が公開されているか

といった点を確認することは大切です。

治療に使ったお金は、また働いて取り戻せるかもしれません。

でも、過ぎた時間だけは取り戻せません。

東京都内の不妊治療クリニックについては、各医療機関が公開している治療実績や症例数を比較した記事にまとめています。

※治療件数や妊娠率が高い医療機関であっても、妊娠や出産を保証するものではありません。治療方針、通院のしやすさ、医師との相性なども含めて、ご自身に合う医療機関をご検討ください。


まとめ|不妊治療では「あと1か月」が積み重なる

体外受精は、月経開始後の診察、卵胞の確認、採卵、受精、胚培養、胚移植、妊娠判定という段階を進む治療です。

凍結胚移植では、採卵周期と移植周期が分かれるため、採卵から妊娠判定まで複数の月経周期にまたがることがあります。

さらに、採卵の中止、受精停止、胚の発育停止、移植の延期などが起きれば、次の月経を待つことになります。

一つひとつは「あと1か月」でも、その1か月が何度も積み重なります。

治療を始めれば、すぐに結果が出るとは限りません。

だからこそ、予定どおりに進んだ場合の通院スケジュールだけでなく、途中で治療が止まった場合に、どのくらい時間がかかる可能性があるのかも知っておくことが大切だと思います。


出典・参考資料

日本産科婦人科学会「ART(生殖補助医療)登録データ」
https://www.jsog.or.jp/activity/art/

日本生殖医学会「生殖医療ガイドライン」
https://www.jsrm.or.jp/guideline-statement/

※治療の進め方や期間、通院回数・通院スケジュールには個人差・施設差があります。詳細は、通院中または受診を検討している医療機関にご確認ください。

※本記事は、不妊治療を経験した個人の視点と、公的機関・学会が公開している情報をもとに作成しています。


東京都の不妊治療クリニックをさらに比較したい方へ

・23区ごとのクリニック比較
・採卵件数・顕微授精件数・凍結胚移植件数
・年代別・40歳以上の実績
・生殖医療専門医・胚培養士の人数

をまとめた記事一覧をご覧ください。


おすすめ記事

いいなと思ったら応援しよう!