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もし、「当たり前の日常」を失う可能性があると知っていたら

先週末、ある目的のために目黒へ行きました。少し遠回りをして、川沿いの桜を見ながら歩きましたが、外国人も含めて人がとても多かったです。けれども、私の目的はお花見ではありません。あることがきっかけで、「当たり前の日常」を失ってしまった方たちの「声」を聞くことです。そして、その方たちに代わって、コラボ企画「#いまあなたに伝えたいこと」をテーマにこの記事を書きます。

彼女たちの身に起きていること

この日私は、「当たり前の日常」を失った方たちの悲痛な想いを聞きました。その中でも、最も衝撃的だったのは咲紀さん(20歳)の言葉です。入院している病室でつらい症状に耐えながら語った様子を、お母さまが撮影して動画を送ってくださいました。

以下、読みやすいように少し編集してあります。

私の場合、体の痛みとか重だるさだけでなく、眼の症状もあります。ぼやけも本当にひどくて、ここ(目の前)にこないと見えなくて、視覚障害者1級です。眼の奥とかも重だるくて、眼を開けることもきついです。

音過敏など、音に対する症状もあって、音をたくさん聞いているとその処理がきつくて、猛烈に頭が痛くなり、いつも以上に薬が効かないくらい痛みが強くなったりします。だから、ずっと好きな音楽を聴くこともできません。眼も同じで、よく見えないけど真剣にがんばって見ようと眼を開いていると頭が処理に疲れて頭痛や吐き気、震えなど、いろんな症状が強くなってしんどくなります。

症状は思ったよりだいぶ早く進んでいくんだなって感じます。体調をよくするのにも時間がかかり、治療が合っていてもちょっとずつしかよくなりません。ほんのちょっとです。

バイトもできないし、学校にも通えない。家で通信の勉強も今は無理。夜間も無理。いつか治ってちゃんと働けるのか、今の状態では不安です。

彼女は病室から、眼も開けられないほどひどい症状に苦しむ中で語っています。現在20歳の咲紀さんは、2022年6月まで夢や希望に満ちあふれた高校生活を送っていました。

そしてもう1人、凛さんは体調がよくないので来場できず、代わりにお父さまが想いや現状を語りました。

現在の症状ですが、体力が著しく低下しており、一日の大半をベッドの上で過ごすような生活を余儀なくされています。家の中であれば、トイレや食事などのわずかな距離は自力で歩くことができますが、めまいや脱力で倒れ込んでしまうことも頻繁にあります。また握力がほとんど無く、箸やペンなどもぶ厚いスポンジのような補助器具を使わなければ握ることさえできない状態です。お風呂も1人での入浴は難しく、家族の介助が欠かせません。外出も週に1回程度が限界で、外出時には特殊な電動車椅子が欠かせません。体幹機能の低下によって、直角での姿勢で座り続けることが困難なため、首の支えやリクライニング機能、ティルト機能(座面を傾ける機能)、足を上げる機能などが備わった電動車椅子を使っています。体調の良い日でさえ数時間の外出が精一杯で、一歩も歩いてないのに疲れ切ってしまい、外出先で車椅子に座ったまま寝てしまうこともしばしばです。

身体的な症状は多岐にわたっていて、全身に広がる得たいの知れない痛み、鉛のように重い倦怠感、そして激しい頭痛。気圧の変化にはきわめて過敏で、低気圧が接近する日は頭痛や倦怠感がさらに増幅し、一日中動けない状態に陥ります。そうなると満足に眠ることもできず、食生活も不規則になってしまうのです。認知機能の低下も顕著で、以前はスムーズにできていた計算ができなくなったり、語彙や単語がうまく思い出せないことや、記憶の低下も見られます。それでも本人は積極的に勉強したいと、現在は通信制大学に入学して学生生活を送っています。

凛さんは 中学3年生までは、運動部に所属して健康的な生活を送っていました。

咲紀さんと凛さんに共通しているのは、これらの症状がHPVワクチン接種後に起きたということです。

この日私が参加したのは、「HPVワクチン薬害訴訟 原告支援集会in東京」。原告さんや新たな被害者となった方、そのご家族の想いを、何回かにわけて書こうと思っています。

今も出続けている接種後の健康被害

日本で子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種が開始されたのは、2010年11月。多様で重篤な副反応が生じていることが相次いで報告されるようになり、国は2013年6月にガーダシルとサーバリックスの積極的勧奨を一時中断しました。そして、2022年4月に積極的勧奨が再開。

積極的勧奨が再開されたのだから、もう心配はいらないのだろうと思って接種した人も多くいます。けれども、前述のような被害者が出ているのは事実です。それは、厚労省が公開している資料からもわかります(下記参照)。


前述の凛さんには、2歳上のお姉さんがいます。同時期に接種して、お姉さんにも健康被害が出ていたことをお父さまが語っていました。

長女は高校2年生、次女は中学3年生のときにガーダシルを接種しました。接種を決める前にインターネットで情報を集めましたが、目に付いた情報はワクチン推進派の意見が多く、裁判が行われていることや、被害にあった方の声を目にすることはありませんでした。特に目にとまったのは、名古屋市の調査です。そこには接種の有無で症状の発現率に差はなく、因果関係はないと言う分析結果が示されていました。私たちはその情報を信じて、接種することを決めたのです。

ところが接種後、長女と次女の2人にほぼ同時期に異変が現れました。初期症状は、光過敏や腰痛から始まり、特に腰痛はひどく、歩くことも困難なほどです。普通に椅子に座っていることさえ苦しくなり、授業をまともに受けることができず、一時期は立ったままで授業を受けるなど、生活に著しく影響が出始めました。当時は主に腰痛や光過敏だったので、眼科や整形外科、婦人科、接骨院、整体、鍼灸、カイロプラクティックなど、思いつく限りの病院や施設に通いましたが原因を特定することはできませんでした。

しかし症状は徐々に悪化していったので、ひたすらネットで検索し続けました。運よくブログで似たような症状で悩まれている方を見つけることができ、そこからワクチンが原因ではないかと疑うようになります。そして藁をもつかむ思いで、国が選定した協力医療機関である大学病院を受診しましたが、医師からは「ワクチンとの因果関係はない」と言う説明の一点張りで、積極的な検査や治療は一切行われませんでした。それどころか、症状はすべて学校生活のストレスが原因であると決めつけられ、学校をやめれば治るとまで告げられています。確かに学校生活で一定のストレスがあることは事実かもしれませんが、当時娘たちは運動部に所属し、いじめもなく健康的に日々を過ごしていました。本人からも先生に、早く学校に通えるようになって部活に参加したいという希望を伝えていたのにもかかわらず、そのような決め付けた返答をされたのです。

そして専門家であるはずの医師から、「親御さんは何かしたい検査はありますか?」と逆に問いかけられました。今振り返ってみても、協力医療機関での対応が、我々家族には一番精神的につらいものだったと記憶しています。少なくとも国が選定した協力医療機関がきちんと機能してるとは思えず、むしろ逆効果にさえなってると思わざるを得ません。

凛さんのお姉さんは、光過敏、腰痛、頭痛、倦怠感などが残っているものの、なんとか大学に通える状態には回復しているそうです。けれども、元の体に戻れたわけではありません。

協力医療機関とは、HPVワクチン接種後に、広範な疼痛や運動障害を中心とする多様な症状を呈する患者に対して、より身近な地域で適切な治療を提供できるように国が選定していると、厚労省のサイトに説明があります。

接種を勧める医師たちは、「もし接種後に何か症状が出てもフォロー体制が整っているから安心してください」と説明をしているようですが、他の被害者の方たちの話からも、フォロー体制が整っているとはとても思えません。

凛さんのお父さまは最後に、下記のように語っていました。

現時点で私たちは、一方的にワクチンを否定するつもりもありません。ワクチンに完璧性を求めることもできませんし、一定のリスクがあることも理解しています。ただ、どんなリスクがあり、どんなフォロー体制があるのかという情報が事前に正しく伝えられ、それらを理解した上で各個人で接種を判断できる社会であってほしいと思います。一日も早く原因が究明され、苦しんでいる子どもたちに対する治療方法の研究が進むことを強く、切に願っております。

SNSでは、被害者の方たちによる発信には「反ワク」のレッテルが貼られ、「反ワクの誤情報」「子供たちの健康を脅かす行為」などと激しく攻撃されます(下記参照)。

けれども多くの人は、凛さんのお父さまのように、リスクやフォロー体制に関する「事実」を知らせてほしいと思っているはずです。被害者の方たちは「事実」を伝えようとしているだけなのに、なぜ誹謗中傷に耐えなければならないのでしょうか。それが、積極的勧奨再開後の健康被害に関する報告が出にくくなっている一因だと思います。

今、接種前に得られる情報は、明らかに偏っています。もし接種後に、咲紀さんや凛さんのような症状に苦しむ可能性が少しでもあると知っていたら、接種しない選択をする人もいるかもしれません。知っても接種したいという人は、それもその人の選択だと思います。いずれにしても、自分にとってどちらの影響が大きいか考えて選択するためには、被害者の声を聞く機会も必要ではないでしょうか。


郵送アンケートで調べられることの限界

冒頭に紹介した咲紀さんは、接種の24時間後には激しい頭痛などの症状が出ていたのに、接種した産婦人科医院では新型コロナではないかと疑われ、帰されたそうです。

2023年10月5日放送(熊本県民テレビ)

2024年1月に開催した「おはなしの会」で、接種後の症状により視界が八重九重に見えるようになってしまい、夜の道路は下記のように見えていると語っていました(下記参照)。


青色が青信号、そして赤いピンク色が赤信号、左右にある細長い黄色が車道分離標(ポールみたいなやつ)です。そして奥に見える小さいつぶつぶの黄色の光がマンションなどの光です。オレンジ色が街灯です。このように1つのものがいくつも見えて、奥行きなどがなくて、街にいたら絵のような感じですね。

2024年1月14日 おはなしの会

被告側(国と製薬会社2社)は、原告117人に起きている多様な症状は接種とは関係ない「心因性」だと主張しています。

国も製薬会社も原告さんたちに会って話を聞こうとも、彼女たちを直接調べようともしていません。ワクチンとは関係ないと主張するだけで、薬液も改良されていませんし、治療方法も確立されていないのです。原告さんたちの多くは、10年以上も全身の痛みをはじめとする様々な症状に耐えながら生活しています。

凛さんのお父さまが見たという名古屋市の調査結果は、郵送によるアンケート調査を分析したものです。症状が「いつもある」「ときどきある」という回答だけで、程度の違いなどは表せません。自由記載欄にはさらなる調査を進めるべき内容が書かれていたのに、それは反映されませんでした(下記参照)。

原告さんたちが抱える「全身痛」や「異常な倦怠感」については、「関節やからだが痛む」「身体がだるい」「すぐ疲れる」という質問に「いつもある」「ときどきある」「ほとんどない」「ない」のどれかを選ぶしかありません。

凛さんが外出するには、写真のような電動車椅子が必要な状態なのですが、「いつもある」を選んだだけでそれが伝わるでしょうか。


後悔のない選択をするために

誰でも、子宮頸がんに罹患したくないという気持ちは同じです。子宮頸がんに罹患した患者さんをたくさん診てきた医師や家族を子宮頸がんで亡くした方が、罹患する人を減らしたいと思ってワクチン接種を勧める気持ちもわかります。けれども、ワクチン接種後に、学校に行って勉強したり友達とおしゃべりしたり、将来の夢に向けて進学することができなくなった人がいることは「事実」です。そして、日本だけではありません。例えばアメリカでも、訴訟は起きています(下記参照)。

今裁判で闘っている原告さんたちは、ワクチンが安全だと信じていたので、歩いたり、食事をしたり、お風呂に入ったり、トイレに行くことさえ自力でできなくなる可能性があるなんて、思ってもいなかったのです。だから、自分たちに起きたことを皆さんに伝えようとしています。

咲紀さんは、最後に声を振り絞って「HPVワクチンの署名よろしくお願いします」と語っていました。

国が勧めるワクチンを接種して健康被害が起きているのに、被害者の症状を直接調べることもなく「心因性」とする被告側の主張が通ってしまったら、今後、他の医薬品でも同じような対応をされてしまうかもしれません。ですからこれは、HPVワクチンの接種対象だけでなく、すべての国民に関係がある裁判なのです。「事実」を知るために多くの人が関心を持つことが、公正な判決につながります。

原告さんに接種を勧めたご家族は、リスクに関する情報を得られず接種を勧めたことをずっと後悔しています。お父さん、お母さんはお子さんのために、中高生は自分のために、偏りのない情報を得て後悔のない選択をしてください。彼女たちの「今」は、あなたの「未来」かもしれません。被害者の方たちが「いまあなたに伝えたいこと」に、耳を傾けてください。

裁判の目的などについては、下記に書かれています。

裁判所宛

厚労省宛

2024年1月に実施した「おはなしの会」では、接種に至った経緯などを咲紀さんのお母さまが語っています。


原告さんや新たな被害者の方たちの声を聞く機会として、オンライン参加できるイベントもあります。申し込み方法などは、下記のページでご確認ください。

HPVワクチン問題イベントスケジュール



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