彼女たちは何によって「当たり前の日常」を奪われたのか
「当たり前の日常」を失うということは、食事をしたり、入浴したり、学校へ行ったり、仕事をしたり、今普通に行えていることができなくなるだけではないということを知りました。「当たり前の日常」を失った人の話に耳を傾けなければ、自分や家族が「当たり前の日常」を失うリスクに気づくことができません。そして誰かの「当たり前の日常」を奪わないためにも、彼女たちの想いを知ってほしいです。
人に知られることへの恐怖
2026年3月29日に、「HPVワクチン薬害訴訟 原告支援集会in東京」に参加させていただきました。HPVワクチン接種後の症状で10年以上苦しんでいる原告さんや積極的勧奨再開後に新たな被害者となった方、そのご家族の想いを何回かにわけて書いています。今回は、その2本目です。
1本目
前回の記事でも「当たり前の日常」をタイトルに入れていますが、それは東京原告15番さんの言葉が強く印象に残ったからです。15番さんが語った「当たり前の日常」には、私が思っていたよりもっともっと深い意味が込められていました。

副反応が出てから、私の人生は一変しました。そして、失ったのは当たり前の日常です。当たり前に学校に行って、就職して、ということだけではありません。HPVワクチンとは無関係の場所や状況で、副反応によってこの体になったと人に知られるのが怖いです。
副反応とは関係ない症状で病院に行かなければならない時も、飲んでいる薬を説明しなければならないので、悪いことをしているかのようにドキドキします。まるで、逃走中の犯罪者のような気持になるのです。ただワクチンを打って体調不良になっただけなのに、世間から見放され、間違っていると指をさされる。誰にも引け目を感じることなく、ごく普通に過ごすという「当たり前の日常」を失ってしまったのです。
国が勧めるワクチンの安全性を信じて接種して健康被害にあった方たちが、なぜこんな思いをしなければならないのでしょうか。
「当たり前の日常」が奪われた背景
原告さんたちは何によって「当たり前の日常」を奪われたのか、考えてみました。
1.承認審査への信頼
SNSで「承認審査を通っているから安全だ」というコメントを見かけますが、過去の薬害を調べればそうではないことがわかります。
例えばサリドマイド薬害事件は、製薬会社が海外での使用状況を偽って申請し、厚生省はその虚偽を見抜けず、動物実験も不十分だったのに簡単な審査で承認してしまったという経緯がありました(下記参照)。
HPVワクチンの審査報告書はPMDAのサイトで公開されていますが、なぜこれで承認してしまったのかと思う点が多々あります。
ガーダシル審査報告書(2011年07月01日)

このワクチンには、「医薬品添加物としての使用実績のないアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩、筋肉内投与での使用実績のない L-塩酸ヒスチジン及びホウ砂が含まれている」と書かれています。それなのに、その安全性をきちんと調べていません。



プラセボ(225)と(450)には、アルミニウムアジュバントが入っています。本剤とプラセボ群を比較して安全性に差がないという結果が出たとしても、プラセボ群にもアルミニウムアジュバントが入っていたら、アルミニウムアジュバントの安全性を確認したことにならないと思います。
このことは、アメリカでの訴訟でも指摘されています(下記参照)。
さらに、被験者の内訳を見ると、中止例の中に「追跡不能」が多数います(下記参照)。
そして、審査報告書には臨床試験の実施に関する申請者の姿勢に問題があったことも書かれています。

科学的に妥当な理由なく変更されたことなどがあり、「本来は臨床開発の実施を再度求めるべき」と言っているのに、なぜそうしなかったのでしょうか。
多くの国民は承認審査を信頼していますが、この緩さは知られていません。かつてアメリカのFDAはメルク社(MSD社のアメリカ名)のバイオックスという薬について、心血管リスクについて重大な懸念を抱いていたのに承認し、その結果、安全上の懸念からわずか5年でメルク社は自主的に市場からバイオックスを撤退させたことがありました(下記参照)。
「安全の証」となるはずの審査は、その役割を果たしているといえるでしょうか。
2.疑問が生まれない厚労省の審議会
SNSでは、「厚労省が安全を確認している」というコメントも見られますが、資料や議事録などを見ると安全性を確認しているとは思えません。
令和7年7月25日開催
資料3-3 HPVワクチンの安全性に関するフォローアップ研究
HPVワクチン接種後の体調不良を主訴として協力医療機関を受診した患者数の推移

議事録 より
○竹原参考人 昨年の秋から冬の初めにかけまして、一時期、合計受診患者数が増えましたが、その後、1月以降は、おおよそ80人ぐらいで推移をしておりまして、そういう数字が、こちらで得られております。
○竹原参考人 なお、前回の本部会での報告以降、2024年度の1月、つまり2025年1月から25年5月までの月別の新規受診患者数は、13人から32人の幅の中で推移をしてきております。そして、これら新規受診患者数の多くは、ワクチン接種後1週間以内に発症して受診をされた患者数が多くを占めているということも、これまで、こちらで御報告をさせていただいている結果と大きな変化がございませんでした。
積極的勧奨が再開される前のデータでは、令和元年度(2019年度)の新規受診者は7人、令和2年度(2020年度)は14人でした。
一方、2022年4月に積極的勧奨が再開された後、令和4年度(2022年度)の新規受診者は137人、令和5年度(2023年度)は143人、令和6年度(2024年度)は337人です。
近隣の医療機関では対処できないような症状で協力医療機関を受診する人が大幅に増えているのに、それについての議論は見られません。分母をどうするとか、データの出し方の意見は出るものの、安全性に疑問を呈する人はいないのです。
○下野委員 ここの表にはないですけれども、受診されてどのぐらいで、例えば症状がなくなって、終わりになっているかみたいなのは、集計はされていないということですかね。
○竹原参考人 はい、転帰に関しては、こちらのサーベイランスでは収集をしておりません。
○下野委員 ありがとうございました。
調査をするなら転帰(治癒したのかなど、最終的な結果)が重要だと思うのですが、それは「収集しておりません」との回答。それに対しても、「なぜ収集しないのですか?」という質問はなく終わっています。
さらに、具体的な症例についても議論されることはありません。
資料3-4 HPV ワクチンなどのワクチン接種後に生じる種々の症状についての調査とその対応方法に関する研究報告(第2報)


○西原参考人 その症状そのものなのですけれども、疼痛とか感覚障害、それから運動障害、自律神経障害というのが多いことが分かってまいります。
認知機能障害というのは、前回も同じように2人ぐらいおられたのですけれども、一定数おられることはおられるのですけれども、それほど数は多くないと言えると思います。(中略)
症例3などは、不随意運動とかが少しあったケースなのですが、これは、認知機能障害ですね、文字が見にくいとか、長文が分からないということがあって、そういうことでフォローアップしている人ですが、この人も痛みなどがずっと続いているというケースではあります。
様々でありますので、一例一例見ていただくとよろしいかと思いますけれども、よくなってきている患者さんが確かに多いですので、平均としては、そのように見ることができるかなとは言えるだろうと思っているところでございます。
原告さんたちと同じような症状が出ていて、痛みなどがずっと続いているケースもあるのに、その人を詳しく調べようとせず「平均としては」とまとめています。
たとえ症状が改善していたとしても、中学生や高校生という大切な時期に学校に通えない人が出ていることを、なぜ重大な問題だと思わないのでしょうか。
そして、この調査でも「不明」があるのも問題だと思いますが特に指摘はありません。その医療機関に通っても治らないから通わなくなった人がいたなら、そのような人こそきちんと調査・研究するべきではないのでしょうか(下記参照)。
このような審議会で、本当に安全性が確認できていると思えるでしょうか。
3.メディアのミスリード
SNSでは、「一時期メディアで流され続けた症状は HPVワクチンによっておきる症状ではないのに、メディアが訂正しないのは罪だ」というようなコメントを書いている人も見られます。
けれども、今、テレビでは接種を勧めるCMが流れていますし、大手メディアは積極的勧奨再開後の被害や裁判について報じようとしていません。これはとても偏りがある報道ですし、新聞各社によるミスリードのせいで安全だという印象を与えたことも事実です(下記参照)。
2016年に厚労省研究班が行った全国疫学調査の結果を報じたとき、新聞各社は、「未接種(非接種)でも同じような症状がでている」ことを見出しにしています。それぞれ違う記者が書いているのに、どこもほぼ同じ見出しだったことも不自然でした。
記事には、「研究班は、今回の調査だけでは未接種者と接種者の比較はできないとしている」「因果関係は判断しなかった」などと書かれていますが、この見出しで「健康被害は接種によるものではない」という誤解を与えたのです。
このような報道が、原告さんたちが「自称被害者」などと呼ばれるきっかけを作ったと思います。
4.医療機関の無理解
被害者の方たちからは、ワクチン接種後の症状とわかると診療拒否をされたり、まともに診察をしてもらえなかったという経験が語られています(下記参照)。
HPVワクチン接種後に、広範な疼痛や運動障害を中心とする多様な症状を呈する患者に対して、より身近な地域で適切な治療を提供できるように国が選定している協力医療機関でさえ、まともに診察してもらえない状況です。
このような対応が、原告さんたちが医療機関を受診することに恐怖を感じることにつながっていると思います。医療従事者が過去の薬害について学ぶ機会がほとんどないことも、原因の1つではないでしょうか(下記参照)。
5.SNSでの誹謗中傷
被害者の方たちが症状について発信すると、「デマのせいで子宮や命を失う女性が増える」などと攻撃されます。被害に関する発信を「正しくない情報」扱いするポストは、一般人だけでなく医師や政治家からも発信されています。
このような攻撃を受け続けていたら、HPVワクチン接種による被害者であることを隠したくなり、逃走中の犯罪者のような気持になるのも無理ないでしょう。
1~5はすべて、「人」が行っていることです。「薬害は人災だ」と言われていますが、多くの人が無関心でいることも被害者への攻撃につながっていると思います。
15番さんの想い
原告の中で最年少の15番さんは、12歳の5月にガーダシルの1回目を接種。その時は両足に強い筋肉痛のような痛みが出ただけでしたが、 2回目の接種時には薬剤が体内に入った時に、肩の激痛など、これまで味わったことのない痛みを感じたそうです。
現在の症状は、関節の痛み、歩行障害、重度の倦怠感、膝から下の力の入りにくさ、生理痛、光の眩しさ、短期記憶能力の低下、尿失禁などです。これら副反応症状のために断念したことはたくさんあります。体調との兼ね合いで全日制の高校への進学は諦め、スクーリングのある通信制高校に進学しました。高校卒業後の進路についても、専門学校や大学などへの進学は、募集要項に「健康な人」との記載があったこと、毎日通学することが難しかったことから断念せざるを得ませんでした。
提訴した当時は、これほど長く苦しい思いをして過ごすなんて微塵も思っていなかったという15番さん。治療法もなく、真の救済もなされないまま10年近くの時が流れ、とうとう判決の日(2027年4月)が迫ってきました。
この数年間で、 積極的勧奨が再開されたり、9価のワクチンが承認されたり、男子への接種も推進されています。少しずつ周りの環境が変わっていますが、私たちの置かれる状況は変わらず、世間の目だけは厳しくなりました。 HPVワクチンの副反応問題が人々から忘れ去られるばかりか、副反応なんて本当は存在しなかったなどと一部の人たちから結論づけられ、一方でHPVワクチンを称賛する声だけは膨れ上がっています。そんな状況で判決を迎えることに不安があります。
いろいろな人がこれは問題だと思ってもらえるように、予防接種後の副反応問題は人ごとではないのだと、そう感じてもらえるように活動していきたいと語った15番さん。本当の意味での救済が被害者全員になされるためにも、裁判での勝訴がカギとなります。そのためには、多くの人が「事実」を知ろうと関心を持つことが必要です。
15番さんについては、裁判での証言などを下記で取り上げています。
裁判の目的などについては、下記に書かれています。
裁判所宛
厚労省宛
原告さんや新たな被害者の方たちの声を聞く機会として、オンライン参加できるイベントもあります。申し込み方法などは、下記のページでご確認ください。




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— HPVワクチンの本当のことを知ってほしい実行委員会 (@hpv_hontou) September 24, 2025
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