11/17 HPVワクチン薬害訴訟(東京) 数字では表せない「事実」
2025年11月17日、HPVワクチン薬害訴訟 原告本人尋問を傍聴しました。東京地裁では最後の原告本人尋問です。原告3番さん、15番さん、59番さんが法廷に臨み、自身の被害やこの裁判にかける思いを訴えました。今回も詳細なレポートは書けませんが、メモをもとに感想を書きたいと思っています。この日は10時から17時過ぎまで、長時間にわたって原告本人尋問が行われました。1回では書き切れないので、何回かに分けて報告します。
3人の症状
まずは、3人の症状に注目したいと思います。きちんとメモが取れなかったところもあるので、間違いがあるかもしれませんし、これが法廷で語られた症状のすべてではありません。
次回以降の記事に関連するものは、そこで取り上げる予定です。
もし、関係者の方がお読みになって間違いに気づきましたら、コメントにてご指摘ください。
以下、傍聴メモより要点のみ。
●59番さん
中1のとき(2012年)にサーバリックス3回接種
接種前は外で遊ぶのが好き
ミニバスケットクラブやに少年団の活動に参加
接種後
頭痛、倦怠感、手足のしびれ
音や光、臭いに過敏
脱力→ペットボトルの蓋も開けられない
今も続いているものもある
接種後は欠席も多かったが卒業はできた
登校後、保健室で休んだり 遅刻・早退も多かった
(頭痛、全身痛、倦怠感などで)
頭痛は後頭部を金属バットで殴られるような激痛
波があって、毎日ではない
頭痛時の対処→寝て過ごすしかない
薬で痛みが治まることもあれば治まらないこともある
全身痛とは服や布団が当たるだけでヒリヒリする痛み
関節の痛み
入浴すると体力が激しく消耗
シャワーが当たると針で指されたような痛みを感じることもある
中学生の頃
休み時間に友達と話していて、冗談で軽く背中を叩かれて激痛
痛すぎて泣いてしまったこともある
途中で話しがわからなくなったり
耳が聞こえにくくなったりしたら、笑ってごまかしていた
現在も記憶力低下
仕事内容を覚えられない→メモを取る
薬を飲んだかわからなくなる→家族のLINEに送って目で見て分かるように残す
●3番さん
中3(2011年) サーバリックス接種
高1(2012年) サーバリックス3回目接種
3回目接種後の翌々日に熱、腹痛、吐き気、胃腸炎
体調が悪くてしばらく登校できない
吐き気が強くて熱が40℃近く
ご飯や飲み物も取れず、ポカリスウェット大さじ1杯がやっと
10キロ体重が落ちた
2012年4月 体を起こすのもつらい
5月から登校再開
熱は下がってご飯は少し食べられるようになったが
吐き気は治まらず
無理矢理登校 週3日ぐらい
朝からではなく午後から2コマとか
登校後、保健室へ行ってすぐに帰ることも
お腹が気持ち悪い、頭痛、手足のしびれや震え
記憶障害
新しいクラスで席の前後のクラスメイトと話をしても
次の日に名前を忘れてしまう
英単語を覚えられない、計算ができない
自宅では家事を3つ頼まれたら、1つやって後の2つは言われたことも忘れてしまう
体のバランスが取れず、自転車に以前は普通に乗れていたのに倒れてしまったり、何もないところで転んでしまうことも増えた
横になっていても天井がまわっている感じ
出席日数が足りず留年し、2回目の高1のとき時計が読めなくなった
アナログの時計で長針を見て短針を追っているうちに長針がどこを指していたか忘れてしまう
運動していなくても心臓がバクバク
2回目の1年生は体がつらくてほとんど行けなかった
2年生に仮進級
もとの学年の友達と同じ学校を卒業したかったので退学はしなかった
眠気が酷く、ずっと眠い
診察中に自分のことを話していても目を閉じてしまうこともあった
2年生から3年生になるとき、また出席日数や単位が足りず留年
2回目の2年生のときに不随意運動で足が震えてしまう
陸に打ち上げられた魚のように動く
そのせいで筋肉痛も
●15番さん
中1(2013年) ガーダシル1回目、2回目接種
3回目は接種せず
1回目接種後 太ももに筋肉痛のような痛み 1ヶ月ぐらい
2回目接種直後 右腕に激痛
右腕を上げようとすると引っかかって上がらない
食べ物の飲み込みが悪くなった
酔っぱらいみたいな千鳥足
片足上げて階段上がれない
明らかに今までの自分と違う体になって困惑した
夏休み終わるまで力の入りにくさが残った
右腕上がらない
夏休み明けに登校し部活(バスケ部)はテーピングをしてもらって参加
体力自慢がウリだったのに疲れやすさが強く出る
心臓を針で刺すような痛み
学校と部活が好きだったから我慢して登校していた
学校に行けなくなったのは
朝起きたとき、田んぼの泥に全身が埋まっているような倦怠感が出るようになってから
今までのレベルではなく悪化
痛みも増えてきて右肩、右肘、右手首や親指付け根
股関節、両膝、足などに痛み
1日の疲れが出る夕方から夜
激痛はいつ出るかわからない
2階に自室があり食事のときに1階に降りるのもしんどい
母に運んでもらたり介助が必要な日も
トイレやお風呂以外は寝て過ごす
2階に上がるのがつらいので1階の和室に折畳みベッドを置いて過ごした時期もある
学校に行きたいのに行けないはがゆさ
健康だった自分とどんどんかけ離れて、出来ないことが増えていくのが辛かった
ワクチン接種前は早起きが得意でアラームいらずだった
登校しても4階の教室まで行けないときは1階の空き教室で勉強
行けたときは嬉しくて、できるなら毎日通って友達や部活のみんなと過ごしたかった
2013年11月頃から杖を使用
普通に歩いていても膝が痛くて歩ける距離が短くなってきたので
長く歩くために杖を使用し始める
500メートルぐらいを普通の人は5分で歩くのに
自分は20~30分かかってしまう
車椅子は2014年2月から使用
杖を使っても膝の痛みが強くなるので、それ以上移動するためには車椅子が必要
現在
関節の痛み、腰、膝、足首の痛み
倦怠感、疲れやすい
真っ直ぐ歩けない、膝から下の力が入りにくい
生理痛、光過敏、短期記憶障害、尿失禁
寝ているときも痛みで起きる
痛くて眠れないこともある
短期記憶障害
例えば、親に何時何分にどこどこまで行くと確認すると間違っていて
少し経ってまた聞いて、1日に4回ぐらい確認する
接種後の症状を中心に書き出しましたが、3人とも痛みなどの程度も重度で、全身痛をはじめとする複数の症状があります。
被告側は、3人のこれらの症状がすべて「心因性」だと主張しています。
少し前の記事で、HPVワクチン接種後の「記憶障害」に注目し、埋もれた「事実」を掘り起こしましたが、3人にも起きています。
日本社会薬学会 第38年会(松山大学)2019年9月15・16日
『HPVワクチン接種後の副反応疑い症状と、接種との因果関係の判定の報告実態 (第2報)「記憶障害」の場合』 より

厚労省が公開している「副反応疑いの報告」で、「記憶障害」は接種との「関連あり」と報告している医師が多数を占めていたということでした。
ここで、推進派が安全性の根拠としてあげている祖父江班による調査をもう一度見てみましょう。


この調査からは、症状が「ある」か「ない」かはわかりますが、「程度」を表すことができていません。
例えば「記憶力の低下」について3番さんは、「新しいクラスで席の前後のクラスメイトと話をしても次の日に名前を忘れてしまう」「時計が読めなくなった。アナログの時計で長針を見て短針を追っているうちに長針がどこを指していたか忘れてしまう」と語っていました。グラフにある「接種歴なし」の7%は、このレベルでの記憶力の低下なのでしょうか。
それを示すことができていないのに、接種歴のない人にも同様の症状が出ていると言えるのでしょうか。

この「1」が一人歩きしていますが、「2」を見ると「因果関係は言及できない」と書かれています。つまり、因果関係がないとは結論づけていないのです。
祖父江班による全国疫学調査のPDFに調査票もありますが、各症状について「あり」「なし」「不明」しか選べません。


これでは「程度」はわかりません。頭痛や下痢、便秘など、多くの人が経験する症状も含まれているので、程度の違いがわからないと原告のような症状が接種歴がなくても一定数の人にあるとは言えないと思います。
祖父江班の調査について、別の資料も確認しました。
症状の数に関するデータもありましたが、これも「程度」がわかりません。


接種歴がなくても症状が10以上ある人はゼロではないと言っていますが、10の症状それぞれがどの程度なのかこの調査では調べていません。
もう1点、数字では表されていないデータがありました。

例えば、記憶障害や学習能力の低下、集中力の低下については、多くの医師が「最も説明できる病名」が「HPVワクチンによる」または「HPVワクチン接種後」と明示されているという結果も出ています。
そうでない医師は「説明できない」と回答したか、「区別しがたい症状」だと回答したのであり、「HPVワクチンと関係ない」と答えたわけではないのです。
研究要旨にも、下記のように書かれています。
追加分析の後も、「HPVワクチン接種歴のない青少年においても、
『多様な症状』を有する者が一定数存在する」という結論は変わらなかった。また、追加分析の結果は、「調査設計上、HPV ワクチン接種歴の有無別に、『多様な症状』の有訴率や内容(症状の種類・症状の数)を比較することが困難である」ことを改めて支持していた。
調査の設計上、比較することが困難であるなら、比較できる形の調査をなぜ行わなかったのでしょうか。
私は被告側の反対尋問では、HPVワクチンを接種歴がない人で、原告3人の症状と程度も同レベルの症状が出ている人が何人ぐらいいて、それが認知行動療法で治ったという事例をデータとして出してくるのかと思っていました。
けれども、被告側の反対尋問でそのようなデータが示されることはありませんでした。
反対尋問については、次の記事に書きたいと思っています。
調査対象となった人たちの切実な思い
上記の資料(PDF上の75ページ)には自由記入式のアンケート結果もありました。2015年にこのような声がたくさん出ていたのに、なぜ推進派は安全が確認されたかのような発言をするのでしょうか。
症例フォローアップ調査の参加者から寄せられた意見・感想












数字による分析だけでなく、この部分にもしっかりと目を通して、さらなる調査を進める必要があったのではないでしょうか。
それなのに安全性が確認されたかのように報道されたことには、厚労省も関与していました(下記参照)。
もう1つの根拠とされている「名古屋スタディ」と呼ばれる調査も、程度については調べられていません(下記参照)。
データサイエンスを学んでいる高校生や大学生の皆さん、ぜひご自身でこれらの調査を分析してみてください。程度についてはどうすればよいのか、自由記入欄をどう処理するかなどについて考えてみると、今まで見えなかったことが見えてくると思います。
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