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5/12 HPVワクチン薬害訴訟(東京)

2025年5月12日、東京地方裁判所で開催されたHPVワクチン薬害訴訟を傍聴しました。私に詳細なレポートを書く力はありませんが、関連資料を掘り起こしつつ感想を書きたいと思います。この日は無抽選で傍聴できました。傍聴前に、厚労省にある「誓いの碑」を見学。「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」と書かれています。

初めての傍聴

5月12日は、被告側が証人として申請した住谷昌彦医師の主尋問でした。私にとっては初の傍聴です。当然録音不可なので、メモは取りましたが、医学用語がたくさんでてくるので脳内処理が追いつきません。医師と思われる方やジャーナリストが詳細なレポートを公開していますが、細かく書いている方たちは皆さん推進派。原告側の関係者でもなく、推進派でもない人がもっと発信した方がよいと思い、微力ながら記事を書こうと思います。細かい部分や言い回しなどは、間違っているところもあるかもしれません。感情に左右されず、できるだけ冷静に聞いた方がよいと思い、被害者の方たちが行っていたリレートークなどは聞かずに法廷に入りました。

被告側申請の証人

裁判とは、忍耐力が必要だと改めて思いました。13時30分に始まり、途中で10分休憩が入って16時頃に終了。被告代理人の質問に住谷氏が答えるのをひたすら聞くだけで、反対尋問は 8月25日なのです。

冒頭は住谷氏の経歴について、「日本で初」「日本人で1人」なども念入りに確認。すべてメモできていないかもしれませんが、語られた内容と関連する資料を掘り起こしました。

被告側申請証人:住谷昌彦医師

東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部 部長

日本疼痛学会 理事
日本医療機器学会 理事
国際疼痛学会Chapter & Membership Committee委員
国際疼痛学会CRPS分科会Scientific Committee委員(日本人で1人)

<受賞歴>
日本麻酔科学会若手奨励賞、日本臨床麻酔学会若手奨励賞、
日本麻酔科学会山村記念賞、日本臨床麻酔学会小坂二度見記念賞の4大賞を受賞したのは日本初。

・診察している件数は年間で延べ1500件、そのうち新規の患者は80~100件。
・HPVワクチン接種後の痛みで悩む患者は、30名ぐらい診察経験がある。
・CRPS(complex regional pain syndrome:複合性局所疼痛症候群)の判定指標作成メンバー。

本邦におけるCRPSの判定指標 (住谷昌彦 柴田政彦 眞下 節 山田芳嗣 厚生労働省CRPS研究班)日臨麻会誌 Vol.30 No.3/May 2010


痛みの治療について

経歴の確認が終わると、住谷氏が行っている痛みの治療、症状の鑑別などについて、丁寧に丁寧に質問が行われました。チャートなどの資料をもとに話されていたのですが、当然傍聴人には配られません。予備知識があれば脳内でイメージできたと思いますが、予備知識なしだったので難しかったです。住谷氏が関係している資料から、近いと思われる図などを掘り起こしました。

下記は、2016年3月16日に開催された「ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会」の資料です。

慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究 牛田享宏氏 発表資料(PDF:3,890KB)

研究メンバーに、住谷氏も入っていました。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116635.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116635.pdf

この悪循環を好循環に変えることが、治療のベースになっているようです。

この資料には下記の手引きが紹介されていますが、編集会議の名簿にも住谷氏の名前があります。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116635.pdf

この手引きはネット上でも公開されています。

HPV ワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き 平成27年8月

「HPV ワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」より

牛田享宏氏発表資料(2016年3月)には、名古屋スタディに関するデータもありました。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116635.pdf

「この結果は統計的な分析であり、個々の事例の因果関係については慎重に判断する必要がある」という部分が重要だと思います。

厚生労働行政推進調査事業費補助金(慢性の痛み政策研究事業)
「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究
総合研究報告書」にも住谷氏の名前があります。
(研究費 39,000,000円)

慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究 [1.78 MB]

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2017/172061/201714001B_upload/201714001B0003.pdf

こちらにも。(研究費 4,850,000円)

被告代理人は、住谷医師の経歴がいかに立派であるかを念入りに確認しましたが、厚労省から研究費が出ている研究に参加していることには触れませんでした。

ここから、痛みに関する話を進めます。

慢性疼痛の分類を説明。

1.侵害受容性疼痛(捻挫や刃物で損傷した場合などの痛み)
2.神経障害性疼痛(神経の圧迫などによる痛み)
3.痛覚変調性疼痛(1、2以外 心因性疼痛とも言われている)

3について詳しく説明し、その治療法として認知行動療法について説明。

認知行動療法により、痛みがあるからできなかったことが少しずつできるようになっていき、自信を取り戻すことで痛みも軽減されていく、というような説明だったと思います。(既出の悪循環と好循環の図参照)

この治療によって、HPVワクチン接種後の健康被害で受診して回復した人もいて、例えば思春期に受診して回復後、留学したり、希望の企業に就職できたケースもある。

一方で、よくならなかったケースもある。

・痛みがあるからやりたくない、1歩を踏み出したくないという人はよくならない。その背景に、保護者の過保護・過干渉が影響しているケースが多い。
・痛みがあるから外出させない、成績が下がっても痛みがあるから仕方がないなどと親が思っていると、子どもはその説明に自分の行動を当てはめようと過剰適応するようになる。
・診察中に子どもが答えようとすると、その前に親が答えてしまう。子どもは親の顔を見てから答えたりして、過剰適応することで悪循環がうまれる。

HPVワクチン後の症状に限らず、「どう行動を変える」かが重要。

回復できない原因の1つに、疾病利得がある。

・症状があることで、家族に優しくしてもらえたり、成績が下がっても仕方ないと思ってもらえるなど利得があると、回復するとそれが得られなくなってしまう。
・嘘の症状ではなく、無意識に症状が続くことを願っている。親が怒りっぽい場合や無関心な場合も、痛みがあることで関心を持ってもらえるという利得がある。

その後、チャートで症状を鑑別していく説明が続きます。それらしきチャートが見つからなかったので、気になった部分を箇条書きで挙げていきます。

・「残酷な痛み」とか「ハンマーで殴られたような痛み」など、文脈のあるような表現は心理的要因を疑う。
・時間経過によって痛みの有無が変わるなど、一貫性がない場合も心因性を疑う。
・ペンは持てないのにお箸は持てるなど、目的によって変わる場合も心因性を疑う。診察中は足が動かなかったのに、診察室を出た途端にスタスタ歩くなど。
・HPVワクチン接種後の患者は、車椅子なのに足(筋肉)が細くなっていないことが多い。人がいないところでは歩いているからではないか。
・HPVワクチン接種後、光がまぶしいからとサングラスをかけている人がいるが、目線が合うと本心を見透かされ、心の裏側を評価されるのを避けるためではないか。
・中学や高校では人間関係が良好であっても、幼少期にいじめがあった場合などは心因性の痛みとして表れることもある。
・HPVワクチン接種後の症状と同様の症状は、未接種者にもいる。例えば17歳、音楽コースに通う女子高生が些細な外傷で関節の痛みが続いた。骨折などはなかったが、ペンも持てず、演奏もできず不登校に。身体的に異常はなく、演奏でのパフォーマンスへのプレッシャーなどがストレスとなっていた。認知行動療法で通学を目標に、少しずつ音楽にも触れ、ほとんど回復できた。不随意運動、しびれ、ねむけ、睡眠障害、不安感、脱力など、HPVワクチン後の症状と重なる。
(程度がどれくらいかは説明なし)

だいたい、このような感じだったと思います。

私はHPVワクチン接種後の症状で苦しんでいる方とお会いしたことはありませんが、書籍で体験談を読んだり、WEBを通したお話会などで話を聞いたことはあります。例えば、2024年4月に開催された倉上万莉佳さんのお話の会。

倉上さんは、強い倦怠感があるため、車椅子と杖は体力温存と体調管理の一環として使っていると語っていました。長距離の移動や3時間を超える活動をやりきるためには、車椅子や杖が必要なのだと。蓄積されていく疲労を少しでも減らし、早く回復できるように車椅子や杖を使うことで、活動できる時間や日数を増やし、活動範囲も広げられるようになったそうです。けれども、それを伝えても理解してもらえないこともあり、怠けや甘え、演技だと言われることもあったとのこと。

強い倦怠感や疲労感については、「自分の上に人が5人乗っかっているような感覚」だと表現していました。3日~1週間ぐらい休まないと回復できず、体調に左右されながら予定を決めなければならないので、もっと活発に動きたいと。

このようなお話は、下記の書籍からも知ることができます。

書籍購入申込「HPVワクチンのほんとうのこと」 から購入できます。

書籍の内容から一部を紹介します。

九州原告・梅本美有さんは、何倍もの重力がかかったような倦怠感に襲われながらも、這うようにして学校に行っていたが、倦怠感や吐き気、頭痛などでまともに授業を受けることができなかったと言っています。

被告側は、それでも1歩を踏み出していないというのでしょうか。動画などを見ると梅本さんはサングラスを使用していますが、薬害根絶デーの厚労省に向けたリレートークなど、心からの言葉を投げかけていると感じます。この姿を見ても、心を見透かされるのが嫌だから、サングラスをかけていると思えるでしょうか。

住谷医師は疾病利得についても説明していましたが、被害者の方たちは「あなたたちのせいでワクチン接種率が下がり、助かるはずの人が子宮頸がんで亡くなっている」など、酷い誹謗中傷に耐えています。疾病利得は、その辛さも上回るというのでしょうか。

2022年4月に積極的勧奨が再開されてから接種した人たちにも、健康被害は出ています。

2022年6月に接種後、激しい頭痛などに襲われた相原咲紀さんは、協力医療機関になっている病院で診察を受けましたが、「副反応なんてないんだよ」「考えすぎ、寝たら治る」「陽に当たったり、プールに入ったりすればいい」などと言われたそうです。HPVワクチン接種後の健康被害に対して適切な診療を提供するために選定された協力医療機関でさえ、このような酷い対応をしています。

お母様たちの話も書かれているので、接種するか悩んでいる中高生や保護者の皆さんに、ぜひ読んでいただきたいです。


被告側のゴール

この日だけでは全体像が見えませんが、過去の記録などを見ると被告側は、「ワクチンの安全性は医学的、科学的に確立されており、原告らの症状は心理的な要因によるものだ」などと主張しています。そして原告のカルテから、接種前から親子関係などに様々な問題を抱えていたことを指摘。推進派の傍聴レポートを読んだ人たちからは、「心理的な要因なので適切な治療をすれば回復できるのに、周りの大人がワクチンのせいだと言って回復を妨げている」などの声が出てきています。

その流れの中での、住谷医師の証言ということです。

傍聴した感想としては、もし本当にその治療で治せるなら、今苦しんでいる人を全員治してあげてほしいです。今回は痛みに関する治療の説明でしたが、異常な倦怠感についても、この治療法で治せた事例はあるのでしょうか。治らなかったら、親の過保護や過干渉があるから・・・と言うのでしょうか。

どんな薬にも副作用があることは知られており、製薬会社が「症状は心理的な要因によるものだ」というのは不誠実だと思います。体の中に薬剤を入れているのに、まったく関係ないとなぜ言い切れるのでしょうか。

そして、前述したHPV ワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き 平成27年8月には、下記のように書かれています。


「HPV ワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」より

患者・家族も認める明らかな精神的問題を認める特殊な場合を除き、「心因」という表現は用いない、とあります。

それなのに、製薬会社が率先して「心理的な要因だ」というのは矛盾します。原告の皆さんは、患者も家族も精神的問題を認めていません。原因はワクチンだと思っているから、辛い思いをしながら闘っているのです。相原さんの体験などから、協力医療機関の医師たちも、これを読んでいないということになります。この手引きは何のために作成されたのでしょうか。

冒頭で紹介した厚労省の「誓いの碑」には、千数百名もの感染者を出した「薬害エイズ」事件 このような事件の発生を反省しこの碑を建立した、とも書かれています。この誓いは、何だったのでしょうか。

正門で身分証を見せて「誓いの碑」を見学したいと言えば見られます


世界各国にいる被害者

日本以外にもHPVワクチン接種後に苦しんでいる人がたくさんいて、アメリカでは2018年に「死因はガーダシルの副反応である」と認定された訴訟もありました(下記参照)。

クリスティーナさんは、2007年11月に2回目のガーダシルの接種を受けた後に心電図検査で異常が指摘され、関節痛も訴えるようになりました。そして2008年6月の3回目接種の後は強い疲労感や、めまい、立ちくらみといった症状を訴えるようになり、18日後にはベッドで死亡した状態で発見されたのです。これも、心因性だというのでしょうか。

現在も、多数の訴訟が続いています(下記参照)。

Case No. 3:24-cv-00220:Erin Fergusonさんは、13歳のときにガーダシルを接種し、様々な副作用に悩まされるようになります。そして18歳のときに子宮頸がんと診断され、がんが広範囲に転移して、治療の甲斐もなく亡くなりました。

Case No. 3:22-md-03036-KDB:Kristine Zuggiさんは、10歳のときにガーダシルを接種し、抗MOG抗体産生に伴う急性脳炎で約3ヶ月後に死亡。抗MOG抗体とワクチンとの関係は、多数の研究で報告されているそうです。

ケースNoをクリックすると、訴状が見られます。メルク社がどんな不正を行ってきたか、臨床試験の規則に違反している点なども書かれています。裁判で闘うために調べたことなのだから、噂レベルではないでしょう。

これらはほんの一例で、上記の法律事務所のサイトには多数の事例が紹介されています。

証言の最後に、緩和ケアを行う中で子宮頸がんで若くして亡くなる患者さんも見てきているという住谷氏は「子宮頸がん予防の可能性が歪められていることに、悔しさを感じている」とも語っていました。推進派の多くは、この裁判のせいでHPVワクチンが危険だと思われて接種率が下がり、助かるはずの人が助からなくなるといっていますが、なぜこのワクチンを接種したら絶対に子宮頸がんに罹患しないと信じられるのでしょうか。

コロナワクチンだって、インフルエンザワクチンだって、接種しても罹患している人はたくさんいます。なぜHPVワクチンは、何十年も効果が持続すると思えるのでしょうか。厚労省の分科会では、下記のように話されていました。

2010年8月27日 第12回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会
参考人:神田忠仁氏

実際に、血中にどのくらいの抗体価があれば、染み出ていって完全に感染を防げるのか、あるいは女の子に打って、その子がだんだん成熟していって、かなりおばちゃんになっても、同じように血中の抗体価と並行して粘膜上抗体が出るのかは、データは全くありません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000vxbn.html

詳細は、下記参照。

「血中にどのくらいの抗体価があれば、染み出ていって完全に感染を防げるのか」と書かれていますが、これは、いくら血中の抗体価が高くても粘膜上抗体が出なければ感染を防ぐことはできないということだと思います。一般的なウイルスはいきなり血液に入り込むのではなく、目や鼻、口、性器などから入ってくるからです。

なぜ「おばあちゃんになっても」という話がでてくるのかは、下記の資料を見ればわかります。


https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html

がん死亡データ 2023年  部位:子宮頸部
全年齢:2949人
15歳~19歳:1人
25歳~29歳:6人
30歳~34歳:35人
35歳~39歳:75人
40歳~44歳:132人
45歳~49歳:228人
50歳~54歳:298人
55歳~59歳:238人
60歳~64歳:243人
65歳~69歳:231人
70歳~74歳:325人
75歳~79歳:309人
80歳~84歳:308人
85歳以上:519人

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)より

2013年からの推移

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)より
独自に作成

積極的勧奨が中止になったの2013年6月、再開したのは2022年4月です。

ワクチン推進派は、日本は積極的勧奨が中止となったせいで子宮頸がんの罹患率が増えているといっていますが、増えているのは主に70歳以上です。45歳~59歳も増えてはいますが、これらの増加に積極的勧奨中止が関係しているのでしょうか。2013年に接種していたとしも、その人は今20代~30代です。

そして添付文書には、「予防効果の持続期間は確立していない」と書かれています。


シルガード9 添付文書(第2版)より
シルガード9 添付文書(第2版)より

さらに、推進派の人たちは、臨床試験でプラセボ群に生理食塩水を使わなかったことに、なぜ疑問を持たないのでしょうか。厚労省や製薬会社が安全だといえば、試験のやり方のおかしさも目に入らないのでしょうか。


今回の記事は、前回の記事との2部構成として書きました。まだお読みでない方は、ぜひこちらも読んでいただけたら嬉しいです。

HPVワクチンへの問題点、過去の薬害については、こちらのマガジンにまとめてあります!