75話 老婆 The Gentle Spirit of the Shoreline 【六代御前編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
大崎から披露山にかけて、まだその頃は宅地造成はされていなかった。
大崎あたりでは、夜に老婆が現れることがあるという。
海を見つめるその老婆は、山の神の使いではないかといわれている。
海から来る魂を迎えに来ているという人がいる。
時々、老婆の周りには小さな灯が揺れる。
狐火ではないかといわれているが、その灯が見える日は海が荒れるという。
別の日に、老婆をみたところに行くとひっそりと小さな石塔がある。

セオリが老婆にあった時、暗い夜道だった。
石塔までは見ていない。
不思議に思うのは、老婆が「六代御前様」といったことである。
山の神の使いで、海から来る魂を迎えていたのだとすると・・・
海から来る魂は、
だれの魂だったのだろうか。

平家は壇ノ浦で沈んでいる。
六代御前の父、平維盛の最期は、
妄念を翻し西に向かつて手を合はせ高声に念仏百返ばかり唱へ給ひて
南無と唱ふる声と共に海へぞ飛び入り給ひける
――維盛は、幼名:五代である。
セオリがあった老婆が、その子:六代の名を知っていたとしても
不思議ではない。
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