21話 逗子 Zushi — The Old Woman with a Torch 【波打際編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
セオリが目を覚ましたとき、外はすっかり暗くなっていた。
青いフェアレディの助手席に、一人で横になっていたのだ。
後部座席にナビオの姿はなく、運転していたはずの姉もいない。
「つめたいな…」
置いていかれたようでむくれながら外を見ると、思わず息をのんだ。
見慣れた景色ではない。
樹々に囲まれているが、遠くに海が見える。
どうやら丘の上らしい。
車を降りると、いつもより暗く感じた。
その代わり、普段は見えないほどの星が、空いっぱいに瞬いている。
そのとき――樹々の奥から、鎧がこすれるような音がした。
セオリは怖くなり、慌てて車に戻ろうとした。

が、そこにあるはずのフェアレディは跡形もなく消えていた。
胸がざわつき、周囲を見回す。
細い道が一本だけ続いているのを見つけ、セオリはそちらへ駆け出した。
しかし、その道は舗装もされておらず車が通れる道幅はない。
しばらく進むと、たいまつを持った老婆が立っていた。

「若いお方、どちらへ行かれるのかな」
「JRの駅へ…」
「ぜいあーるの…えき?」
老婆は首をかしげたが、何かに納得したようにうなずいた。
「六代御前様をお守りするお役目じゃな。八幡様に行かれるとよろしい」
意味はわからない。

だが、老婆が差し出したたいまつを受け取り、セオリは深く頭を下げた。
そして、教えられた方向へ歩き出した。
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