22話 財布 The Wallet Found in the Back Seat 【波打際編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
サクヤがナビオとセオリを家の前で降ろして戻ってきたのは、フェアレディを急発進させてから、ほとんど時間が経っていない頃だった。
ナビオの家は近いし、この車の性能なら一瞬だ。
ふと後部座席を見渡すと、シートの下に財布が落ちている。
「ナビオ君のかな…」

セオリが帰ってきたら渡してもらおう。
そう思いながら、財布を手に家へ入った。
数時間後。
真夜中になって、セオリが疲れ切った様子で帰ってきた。
「お姉ちゃん、置いていくなんてひどい!」

いきなり怒り出すセオリに、サクヤは眉をひそめる。
「何のことよ」
話を聞くと、見知らぬ丘から一時間ほど歩き、ようやく逗子駅にたどり着いたという。
老婆に教えられた“八幡様”は確かに存在し、どうやら亀岡八幡のことだったらしい。
「六代御前様ってだれ?」
「知らないわよ」
サクヤは肩をすくめ、代わりに財布を差し出した。

「それより、これ渡してね。ナビオ君のでしょ」
セオリは財布を受け取りながら、ふと気づく。
――あの時、ナビオは車にいなかった。
ナビオはちゃんと帰れたのだろうか。
疲れがどっと押し寄せたのか、その夜セオリは布団に入るとすぐに眠り込んだ。
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