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アルゴリズムがWeb小説を痩せさせる。KADOKAWAの苦境から見える創作の転換点|書籍化ログ(#創作論 #Web小説 #カクヨム #生成AI #エッセイ)

こんにちは。こんばんは。
普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。

先日、KADOKAWAに対して公正取引委員会が
下請法(フリーランス新法)違反で勧告を行う方針だというニュースがありました。

私はこの報道を見て、
出版・コンテンツ業界の大きな転換点が目に見える形で現れ始めたのだと感じています。

ここ数年、
KADOKAWAはDX化やグローバル展開を進め、
一見すると合理的な経営改革を続けてきました。
しかし現在は、純利益がピーク時の10分の1以下まで落ち込み、
大株主からトップの解任を求められるなど厳しい状況に置かれています。

私は海外市場を見据える戦略そのものは間違ってなかったと思うのですよね。

問題は、その過程で、業界を支える「作り手」の価値すらも
“数字”で見てしまった
ことだと思っています。

そして、その影響がWeb小説の世界に顕著に出ている気がします。

KADOKAWAが運営する小説投稿サイトの「カクヨム」では
「異世界転生」が人気です。

そのため、
同社はランキング上位の「異世界転生」をひたすら市場へ投入し続けました。
その結果、
市場から新規性が失われ、
かえって収益性が下がるという皮肉な現象が起きました。
詳しくは過去記事を覗いてみてください。

でも、なぜこんなことになってしまったのでしょうか。

原因のひとつは、
ランキングを支配しているアルゴリズムの性質にあると思っています。

アルゴリズムは、人が反応しやすいコンテンツを高く評価します。
言い換えれば、「摂取しやすい作品」が有利になる仕組みです。

これは動画の世界で考えると分かりやすいと思うのですが、
どれほど満足度の高い長尺動画でも、
隙間時間に消費できるショート動画には
再生数や視聴完了率では勝てません。

Web小説も同じです。

厚みのある作品が評価されなくなったわけではなく、
ただ、アルゴリズムの特性上、
手軽に読める作品のほうが数字を集めやすい。

その結果、
ランキングが似た傾向の作品で埋まってしまった。
「同質化」や「均質化」の硬直です。

もちろん、読みやすい作品にも価値はあります。
私の作品はどちらかというと「読みやすい部類」に入るものですし、
そうなるように意識もしています。

負荷なく読める作品というのは、
人々の癒やしになるからです。

書いている私自身、
「癒やされたい側」の人間ですからね。

ただ、
問題なのは市場が「読みやすさ」だけを
評価することです。

単一の評価軸で競争が起きると、
そこへの最適化が進み、
作品の均質化が始まります。

すると今度は、
読者から見た作品同士の違いが小さくなっていきます。

数字は取れても、
「この作品だから好きだ」
「この作者だから応援したい」
という強い動機が生まれにくくなってしまうのですよね。

グッズを買ったり、
長年追いかけたりする熱量は、
その作品にしかない魅力から生まれるものだからです。

だから私は、
読みやすさそのものが問題なのではなく、
読みやすさだけが評価される市場構造に問題があると思っています。

多様性が失われるというのは、
私のようなテンプレ好き作家にとっても、
それ以外の作家にとっても、
決して望ましいことではありません。

しかし、現状は「多く消費された作品(読みやすい作品)」だけの
評価軸しか市場にはありません。

私たちはショート動画を何本も見ますが、
「それを購入しなければ見れない」と言われたなら、
おそらく多くの人は見なくなるでしょう。

一方で、好きになった漫画や小説にはお金を払い、
グッズを買い、何年も応援し続けます。

その違いは、やっぱり「作家性」だと思うのです。

だから「消費回数」は「価値」にはならない。

けれど、
今のところアルゴリズムは「消費回数」を「価値」と
判断しています。
そして、出版社もそれを「価値」と判断しています。

この大きなすれ違いが作品の多様性を奪い、
本当に独自の作品を書ける作家性を持った人ほど
プラットフォームから離れていっているような気がします。

続けば確実にコンテンツが痩せていくでしょう。

ひょっとしたらもう始まっているのかもしれません。

だからこそ、
これから強さを持つプラットフォームは、
作品を機械的に大量生産する仕組みを推奨する場所ではなく、
クリエイターが安心して活動できる場所
なんだと思うのですよね。

毎日投稿や長いタイトル、
三話以内にフックをつくることや、
評価稼ぎの読み合い、
平易で短い文章構成、
そういう諸々をしなくても
価値観の合う人に作品が届く場所。

創作を「攻略する技術」にしない場所。

「消費回数」で評価しない場所。

どれだけ効率的な経営戦略を立てても、
どれだけ高度なアルゴリズムを組んでも、
魅力的なIPを生み出すのは結局人間です。

つまるところ、
業界を支えているのはシステムではなく人なんですよね。

それなのに毎日投稿が評価のデフォルトになるなんて異常です。
人間は機械ではありません。

「数字」じゃなくて
「人」を見なくちゃいけないと思うんです。

ここまで読んできて、
そういう今のWeb小説に
息苦しさや悲観を感じている方もいらっしゃるでしょう。

でも、私はこの機械的な状況はそこまで長く続かないのではないか、
とも思っているのです。

なぜなら、今まさに市場そのものが変化の兆候を見せ始めているからです。
この記事の冒頭でも触れたように、
KADOKAWAは合理化とランキング重視を進めてきました。

ところが、
その先にあったのは圧倒的な成長ではなく、収益の悪化でした。

もちろん原因はひとつではありません。

ですが、「売れる型」を繰り返し投入し続ければ
市場が疲弊するという現象は、
出版業界に限らず様々な業界で繰り返し起きています。

だから私は、今の状況を一時的な流行の終着点だと見ています。

同じ構造の作品が増え続ければ、
新しい刺激や新しい魅力への需要は必ず生まれます。
それは、読者もまた人間だからです。

アルゴリズムが生み出す「チェーン店の牛丼」が並び続ければ、
その人にしか作れない「個人経営の日替わり定食」が
評価される余地はむしろ広がっていくでしょう。

そして、皮肉なことに、
大手企業がランキング依存のテンプレ作品を出し続けるほど、
その流れは加速していくはずです。

だから私たちにできることはシンプルです。

ランキングの波に振り回されず、
自分の持ち味を磨きながら書き続けること。

そして市場が変化したとき、
自分だけの最高の一皿を素早く差し出せる状態でいること。

ここまで読んで、
「市場の変化なんて自分では分からない」
と思った方もいるかもしれません。

けれど、その心配はしなくて大丈夫です。
創作をしながら市場分析まで完璧にこなす必要はありません。

皆さんは、ご自身の作品と向き合うことに集中してください。
こうした業界の動きや空気の変化を追いかけるのは、
私の好きな分野です。

新しい流れや気になる変化があれば、
これからもこの場所でお伝えしていきます。

ですので皆さんは、安心して作品を書き続けてください。
そして時々、私のところへ様子を見に来ていただけたら嬉しいです。


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また明日の投稿でお会いしましょう。
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うら表紙|無名→書籍化の記録(WEB小説) 読んでくれたこと、心より感謝します。いただいたチップは真心と思い、大切にします。私は時間がかかりましたが、あなたが私よりもっと短い時間で、自分の人生を愛せるよう願っています。