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僕はとうとうカードになった──noteクリエイター図鑑

noteの街で、最近なにやら妙なものが回っている。

「クリエイター図鑑」というらしい。
自分を一枚のカードに見立てて召喚し、それを次の人に手渡していくのだとか。

僕は基本的に、こういうものを遠くから眺めるのが好きだ。
「ほう、皆さん楽しそうですねえ」と、安全な歩道の縁石に腰掛け、練り歩く祭りの神輿を見物しているくらいが一番心地いい。

熱気は感じるが、汗はかかないし、足を踏まれることもない。威勢のいい掛け声が聞こえてくれば手くらい振るし、知っている人が担いでいれば「頑張ってー」と声援も送る。完璧なポジションである。

ところが。
遠くを練り歩いていたはずのその威勢のいい神輿が、急にぐるんと方向を変え、僕のいる日陰の歩道へ突っ込んできたのだ。

先頭で指揮をとっているのは、ゆげしさんだ。
「やあやあ!」と言わんばかりの、いたずらそうな笑顔を浮かべて、一直線にこちらへ向かってくる。

「えっ? ちょ、こっちは歩道……ぎゃああっ!」

「はい、相生さん入ってー!」

逃げ遅れた僕は、気づけばキラキラの法被を着せられ、担ぎ手の列に放り込まれていた。

いや、前兆はあったのだ。
先日、僕の口の中に小さな発電所ができてしまったという、なんとも情けない話のコメント欄で、ゆげしさんはすでに予告してくれていた。

「ちなみに相生さんはすでにクリエイターカード済みですかね。バトンを渡してみようかと😅」と。

なるほど。これの事だったのか。

「えっ、僕ですか? いやいや、僕は日陰者なので……」と後ずさりする間もなく、気づけば僕は立派なハッピ姿である。

でも、友達認定してもらったようで正直とても嬉しい。
ゆげしさん、ありがとう! 僕は今日からお祭り男です。

 

神輿を担ぐことになった以上、まずはこの祭りのルールを知らなければならない。

とりあえず、この祭りの発起人である「営業パパ」さんのページを覗きに行くと、なんでも受け取った人は「1〜3人」を指名してバトンを渡すらしい。

だが、面倒ならNINJAのように気配を消し、全力でスルーしても全く問題ないという。随分と懐の深い、自由な祭りである。

しかし、ここで天井裏に隠れ「拙者は何もしらぬ……」とやり過ごすほど、僕はクールなNINJAではない。むしろ、お祭り囃子につられてフラフラと踊り出してしまうタイプの、単なる小市民である。

よし。僕は全力で乗っかることにした。
だって、なんだか面白いじゃないか。

AIにプロンプトを放り込めば、数秒で何でも生み出せるこの時代に、わざわざ「カード」という形にして、それを人から人へ手作業でリレーしているのだ。

最先端の技術を使いながら、やっていることは「笑っていいとも!」の友達の輪である。この逆行している感じが、たまらなく好きだ。
 

さっそく、カード生成の工程へ進む。
やり方は簡単だった。いくつかの質問に答えるだけ。しかも、何度やり直してもいいという親切設計。

だが、「見た目や持ち物」という項目で、僕の指がピタリと止まった。

僕を象徴する持ち物とは……、何だろう。
愛用のカメラか。オープンカーか。それとも、本か。

ちょうど通りかかった妻のトラ子さんに聞いてみた。

「ねえ、僕を象徴するアイテムって何だと思う?」

「うーん」
トラ子さんは少し首を傾げてから、明るい声で答えた。

「湿布!」

「そう、確かに最近腰が痛くて毎日貼ってるけど……っておい! じゃなくて、もっとこう、クリエイターっぽいのあるでしょ」

「じゃあ、目薬!」
どんどん不健康になっている。

「違うんだよ。カメラとか、車とか、そういうかっこいいやつ」
僕がヒントを出すと、トラ子さんは呆れたように笑った。

「見栄張らないの。あなたが一日のうちで一番長く握りしめてるのって、どう考えてもキーボードとマウスでしょ」

急に、夢がなくなった。

冒険者が「伝説の剣」とか「魔法の杖」を装備してキラキラ輝いている横で、僕は「使い込まれたキーボード(エンターキーだけテカテカ)」を構えているのだ。弱そう。スライムにすら勝てないかもしれない。

でも、嘘を書いてもしょうがないので、正直にキーボードとマウスでプロンプトを生成した。

それを持ってChatGPTへ向かい、ポチッと送信。
数秒後。「相生エッセイ」という一人の人間が、見事な一枚のカードになって飛び出してきた。

番号が「未採番」となってしまった。やり方を間違えたか。
違和感を三つ拾うと覚醒するらしい。拾いたい。

 

分類:衝動純化型
学名:Essayus incongruentica
必殺技:ノイズ・アルケミア = 違和感錬成
「誰も気に留めない一瞬を、笑える一篇に変えて放つ」

おお。
学名に「Essay」と入っているのもニヤリとするし、必殺技の「ノイズ・アルケミア(違和感錬成)」なんて、まるで、FFやドラクエに登場する、吟遊詩人のような、あるいはパルプンテを唱える遊び人のような響きだ。

スーパーのバナナ売り場で「どれを買うべきか」と7秒間悩んだ挙句にエッセイにしたり、「テレビの設定が変わっていただけ」というしょうもないオチのために3500文字を費やしたりする人間としては、だいたい合っているような気がする。

ちなみに、「星の数(レアリティのようなもの)」は、何度か生成した中で一番星が多いやつをこっそり採用した。

表向きは涼しい顔で格好いいカードを提示しておきながら、その裏で何度もガチャを回してリセマラを繰り返す。この人間臭い見栄の張り方が、じつに僕らしいなと呆れてしまう。
 

さて、無事にカードもできたところで、いよいよ次の人へバトンを送る工程だ。友人の少ない僕としてはここが最大の難関である。友達という言葉は、自分から名乗るとなると急に難しい。

しかも、すでにクリエイター図鑑へ参加しているかもしれない。「パパさんの輪」や「女性クリエイターの輪」といった、僕の知らない暗黙のルートが存在している可能性だってある。

考えてもよくわからないので、いつも僕のnoteに優しいコメントを残してくれる、三人のアイドルに送ることにした。
 

一人目は、朋さん。
世の中を真っすぐに見つめる視点と、圧倒的な行動力。物事の本質を見る事のできるとても魅力的な方だ。実はリアルなご近所さんみたいなので、いつかその辺のスーパーで偶然お会いできるんじゃないかと密かに楽しみにしている。

 

二人目は、komorebiさん。
エッセイの才能が、もうずば抜けている。題材そのものも魅力的なのだけど、それを「読ませる」形に昇華するのが本当に上手い。読み始めると、気づけば最後まで連れていかれてしまう。僕はたびたび「こういう運び方ができるのか」と悔しくなる。


三人目は、イコマさん。
実は、文章を読むたびに「この人、本当は何者なんだろう」と思う。とくに「創作」と題したお話は、どれも秀逸過ぎてため息が出る。もしかしたら、プロの作家がお忍びでnoteで遊んでいるのではないだろうかと、勝手に推理している。


というわけで。
お三方、突然のバトンパスで本当に申し訳ない。

楽しめそうだなと思ったら、受け取ってもらえると嬉しいです。もちろん、NINJAのように気配を消してスルーしていただいても大丈夫です。

クリエイターカードの作り方については、この規格の発起人でもある「営業パパ」さんのページをご覧になってください。


昨日まで僕は、安全な歩道から祭りを眺めていたはずなのに。気づけば僕も立派に法被を着て、神輿の棒を肩に載せて、ワッショイワッショイと跳ねている。

しかも今度は僕が、沿道にいる三人のほうへ進路を変えようとしている。

なるほど。
祭りというものは、こうやって熱を帯びながら、広がっていくのだな。

ゆげしさん。
僕もすっかり、神輿、担いでますよ。

 
  
相生エッセイ


 

▽ note創作大賞2026に応募したエッセイ作品はこちらに収録しています。ぜひ読んでみてください。



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