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還暦維新、なぜ女が読むのか問題

『還暦維新』という雑誌がある。
タイトルのフォントからして男性向け。「俺たちの正体」と書かれた表紙も中身もどこまでもおっさん仕様だ。普通に考えれば、女性はまず手を取らないだろう。

ところが、そうでもないらしい。なぜか女性読者が多いという。編集長さんがそれを不思議に思ってnote記事を書いていた。「なぜ女性が支持してくれるんだろう」と。

記事はこちら↓

その記事を読んで、笑ってしまった。実は、その記事の中で紹介されていた「秀逸な記事」というのは、わたしが書いたものだった。「ダンナに『そんなん買うな』と止められた本を買った話」というタイトルで、まさかこんな形で取り上げてもらえるとは!単純にうれしい^^

話を戻そう。「なぜ女性が支持してくれるんだろう」という謎。それは謎でもなんでもない。答えは、決まっている。「俺たち」と呼ばれて、ちゃんと「俺たち」のつもりで読んでる女性がいる。それだけのこと。

おそらくこの雑誌を気に入って読んでいる女性の中には、かなりの確率で「おっさん」がいる。

外見の話ではない。内側の話である。
女を武器にして生きてきたというより、男性と肩を並べて生きることをごく普通のこととして受け入れてきた。あの時代の熱量、責任感、負けん気(?)を、男性と同じ温度で知っている女性たちだ。

昭和41年の丙午(ひのえうま)生まれ(昭和42年の早生まれも含む)のわたしたちは、「男女雇用機会均等法」が施行されたタイミングで社会に出た世代だ。女性が普通に男性と同じ土俵に立てるようになり、女性の社会進出が語られ始めた新しい時代の申し子。

「丙午生まれの女性は気性が激しい」「夫を食い殺す」などの迷信うんぬんはさておき、なんとなく、何をするにも熱い気質、自分にも当てはまる気がしている。冷めてるように見えて、実は誰よりも熱量がある。そういう人、同世代に多くない?

女を武器にしない。遠慮しない。肩で風切って歩く。
この辺りの世界観は、片岡義男の小説に出てくる美人女性の影響も大いにある(わたしと前記事に出てくる女友達にとっては)。とにかく、「働くこと」「アクティブに生きること」がカッコよかったのだ。

外見は女性、中身はおっさん。
これ、自虐でもなんでもなくて、わりと誇らしい話として言っている。『還暦維新』を気に入って読んでいる女性たちは、たぶん「おっさん」なのだ。20代の頃から60代の今まで、ずっとそうやって生きてきた。「俺たち」という言葉に、自分を重ねてしまう女性。そりゃ、読者になるよね。


平成元年、わたしは大手アパレルメーカーにパターンナーとして入社した。還暦のわたしたちが「新人類」と呼ばれた時代だ。「24時間働けますか」のCMが、当たり前にテレビで流れていた。終業時刻の18時にチャイムが鳴り、その後3時間の残業は、もう日課というレベル。当時は「残業」という響きから受けるネガティブなイメージすらなかった。(残業の時間給は本給よりも高かったし、ありがたかったよね)

オフィスビルの出入り口が閉まったら、そこからが本番。タクシーでミナミに繰り出し、カウンターでとなりに座った事業部長を捕まえてブランド認知拡大戦略を熱く語る。今思えば、新人のくせに、なかなか厚かましい。でも、誰もイヤなことを言わなかったし参加メンバーが徐々に増えて盛り上がった。みんな、自分の仕事が好きだったのだ。

バブル期に全力で仕事をしたこと。これは、間違いなくわたしの人生の宝物だ。あの頃のわたしは、パターンナーという職を得て、自分の手で何かを作る喜びを知った。誰かに言われたからやるのではなく、自分の感覚で選び、自分の感性で仕事を全うする。この感覚を知っている人間は、たぶん何歳になっても「(仕事に限らず)働くこと」をやめられない。「好きなことで生きていく」という今の自分の軸も、思えばあの戦場のような日々の中で出来上がったものだと思う。

『還暦維新』を手にした女性たちも、きっと同じ匂いを感じているんじゃないかな。「俺たち」というタイトルの中に、「わたしたちも、そうだったよね」という記憶を見つけている。

さて。あなたにとって、「あの頃、全力で打ち込んだもの」は何でしたか?
それは今でもあなたの中にしっかりと息づいています。

<本日おすすめの書籍>

還暦維新 (Motor Magazine Mook)
北村明広 (編集)モーターマガジン社

『還暦維新』は“還暦=引退”をぶっ壊す、R55+向け熱血ムック本。

『還暦維新』は、55歳以上の元気な人たちを対象にした「還暦専門誌」。
公式説明では、コンセプトは大きく2つ。

☆還暦が変わる 還暦を変える
60歳を「老いの入口」ではなく、「人生の再起動地点」として捉える

☆ふた回りめの人生を夢と元気で生き抜く
59歳までをひと回りめ、60歳からを人生本番と考える

編集長の北村明広さんは、バイク雑誌や音楽雑誌、年齢限定男性誌『昭和40年男』などを手がけてきた編集者・プロデューサー。2009年に『昭和40年男』を立ち上げ、2025年には『俺たちの昭和後期』を刊行している。

『還暦維新』公式サイトの「宣言」では、この雑誌を『俺たちの昭和後期』に続く「スピリットを実現させる総仕上げ」と位置づけている。つまり、昭和後期を懐かしむだけではなく、受け取ってきた恩恵をこれから社会に返していこうという思想が土台にあり、「還暦祝い」ではなく、「還暦からの再出陣」を謳っている。

だから女性読者が多いのも、わたしは納得できる。昭和後期から平成にかけて、仕事・家庭・社会の変化の中を走ってきた女性たちは、性別よりも「時代の熱」に反応しているのだ。


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