#夏の1コマ 夏祭りとうなぎと、私の取り越し苦労
その日、私は夜ご飯を作る気が、まったく起きなかった。
台所に立つことを想像しただけで、なんだかどっと疲れてしまったのである。
こういう日は、誰にでもあると思う。あってほしい。
ちょうど近所でお祭りをやっていることを思い出し、じゃあそこで何か買って済ませよう、と決めた。我ながら安易な発想だが、空腹には勝てないのだ。

歩いていくと、屋台の中に「うなぎ釣り」というものがあった。1回1000円。当日限りで、釣れたうなぎは+500円で調理してくれるらしい。なかなか強気な値段設定である。
見ていると、誰も釣れていなかった。そりゃそうだろうな、と思いながらも、私はふと真剣に考えてしまった。
もし本当に釣れたら、家までどうやって持って帰るのだろう。
バケツか何かに入れて、電車ではなく徒歩で帰る私は、うなぎと二人きりで夜道を歩くことになるのだろうか。そんなことを本気で心配したが、結局誰も釣れなかったので、その心配は杞憂に終わった。

暑い日だったので、冷やしみかんというものを買って食べた。
氷にみかんの果肉がごろごろ入っていて、冷たくて、甘くて、まさに「これこれ」という味だった。
歩きながら食べるかき氷というのは、なぜあんなに美味しく感じるのだろうか。不思議である。

結局、晩ご飯は屋台のたこ焼きと唐揚げに決めた。あれこれ迷った挙句、というより、迷ったふりをしてどうせ両方買うつもりだった気もする。
会場では、子供たちが暑い中、湯気の立つ熱々のラーメンをふうふう言いながら食べていた。
この暑いのに、よく食べるものだと思う。私だったら誰かに止められる前に自分で自分を止めていただろう。
子供の胃袋というのは、大人とは違う何かでできているのかもしれない。
そんなことを思いながら、たこ焼きと唐揚げの入った袋を提げて、私は家路についたのであった。

