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国内におけるホラクラシー(Holacracy)探求の潮流を概観する:20年近くの試行錯誤と実践、ホラクラシーの功罪の振り返りから現れつつある、新たな一歩とは?

本記事は、2007年に開発され、『ティール組織』(英治出版)においても事例として紹介されたことでビジネスや経営の領域で注目を集めた組織運営法ホラクラシー(Holacracy)が国内にどのように紹介され、どのように実践されてきたのかを2025年6月時点の視点から概観しようという試みです。

私自身は2017年に初めてホラクラシーに出会い、これまで複数の企業、団体、プロジェクトにおける立ち上げメンバーとして実践に取り組んできました。

実践されている方の中には「ルールや決まりが多く、覚えきれない」「手続きがきっちり決まっていて、息苦しい」といった声も上がるホラクラシーですが、私にとっては「なんて素晴らしい!」「これほどまで人を大切にし、情報の透明性を担保しようとし、組織の創造性を解放しようという実践に出会ったことがない!」といった感動を与えてくれた、かけがえのない組織運営法です。

その感動が高じて、2019年にはホラクラシーの開発者であるブライアン・J・ロバートソンに学ぶために単身オランダ・アムステルダムに飛び、以降もその時に触れたエッセンスを大切にしながら実践を続けてきました。

一方で、国内外を問わずホラクラシーには賛否両論が存在し、ホラクラシー実践によってもたらされる「功罪」が常に取り沙汰されてきました。

今回の記事では、国内外の企業からNPOまでさまざまな実践者の事例を時系列に沿ってまとめることで、ホラクラシー実践の実像を長期に及ぶプロセスで捉えることをめざしました。

そして記事の終盤では、そのような長期に及ぶ試行錯誤やホラクラシー実践の「功罪」の振り返りから現れつつある、新たな潮流もご紹介できればと思います。


ホラクラシー(Holacracy)

ホラクラシーとは?

ホラクラシー(Holacracy)とは、既存の権力・役職型の組織ヒエラルキー(Hierarchy:階層構造)から権力を分散し、組織の目的(Purpose)のために組織の一人ひとりが自律的に仕事を行うことを可能にする組織運営法です。

2007年にHolacracy One(ホラクラシー・ワン社)のブライアン・J・ロバートソン(Brian J Robertson)トム・トミソン(Tom Thomison)によって開発されたホラクラシーは、フレデリック・ラルー著『ティール組織』にて事例に取り上げられたことで、国内においても実践事例が増えつつあります。

ホラクラシーを導入した組織では、組織の全員がホラクラシー憲章(Holacracy Constitution)にサインして批准することで、現実に行なわれている仕事を役割(Role)と、役割として優先的に使用するドメイン(Domain)、継続的に行なわれている活動(Accountability)として整理し、 仕事上の課題と人の課題を分けて考えることを可能にします。

ホラクラシーにおける組織構造は『Glass Frog』という独自開発された可視化ウェブツールを用いて、以下の記事にもあるような入れ子状になった円によって表されています。(可視化ツールはGlass Frogの他、Holaspiritというツールも国内外問わず、多く活用されています)

ホラクラシーを実践する組織において仕事上、何らかの不具合が生じた場合・より良くなるための気づきや閃きがあった場合は、それをテンション(tension)として扱います。テンション(tension)は、日々の仕事の中で各ロールが感じる「現状と望ましい状態とのギャップ、歪み」です。

このテンションを、ホラクラシーにおいてはガバナンス・ミーティング(Governance Meeting)、タクティカル・ミーティング(Tactical Meeting)という、主に2種類のミーティング・プロセスを通じて、および日々の不断の活動の中で随時、不具合を解消していきます。

さらに詳しくは、日本人初のホラクラシー認定コーチであり新訳版書籍の監訳者である吉原史郎さん記事動画、全文公開されている新訳版書籍のまえがきもご覧ください。

また、ホラクラシーの開発の歴史については以下のブライアンの記事をご覧いただくと、その背景や哲学、取り入れられている手法や技術などもより深く理解できることかと思います。

ホラクラシーにおける組織のパーパス

なお、ホラクラシーという組織運営法及び、その開発者であるブライアン・J・ロバートソンは、近年の「パーパス経営」のトレンドに大きな影響を与えています。

ホラクラシー新訳版書籍において監訳者・吉原史郎さんは、「パーパス」に関して以下のように解説をされています。

私は2015年に、フレデリック・ラルーの著書『Reinventing Organizations(組織の再考案)』に出合い、一心に読み込みました。これは生命体的な組織のあり方を提唱し世界的に注目され、2018年にも日本語版『ティール組織』(英治出版)として出版されました。そのなかで何度も出てきたのが「エボリューショナリーパーパス(Evolutionary Purpose)」という言葉です。フレデリックは「エボリューショナリーパーパス」をティール組織の根幹をなすものとして位置づけています。

この言葉を考案したのが本書の著者であり、ホラクラシーの提唱者であるブライアン・ロバートソンでした。フレデリックはホラクラシーをティール組織の1つと位置づけ、ブライアンのエピソードを多数取り上げています。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp1

では、組織の存在目的などの意味で活用される「パーパス」という言葉を考案したブライアンは、「パーパス」をどのようなものとして捉えているのでしょうか?

どの組織にも、この世界で他の誰よりも発揮し続けることができるような、ポテンシャルやクリエイティブな能力がある。それは、歴史、社員、リソース、創業者、ブランド、資本、つながりなど、組織が活用できるあらゆるものによって実現できることだ。

それが、私が「パーパス」という言葉に込めたもの、いわゆる存在理由だ。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp66

探しているものはすでに存在していて、見つかるのを待っている。子供の人生の目的と同じで、組織のパーパスとは決定される類いのものではないのだ。ただこう自問すればいい。

「この会社が現在置かれている状況や、手元にあるリソースと人材とキャパシティ、提供する製品やサービス、会社の歴史、市場空間などの要素に基づいて、世界のために何かを創り出したり表明したりできるような、この会社が持つ最も深いポテンシャルは何だろう?なぜ世界はそれを必要としているのだろう?」

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp67

そして、「パーパス」とホラクラシーの関連については、ブライアンは以下のように述べています。

権限分配型のモデルに移行するにつれて、パーパスはあらゆるレベル、あらゆる活動分野において意思決定の拠り所となる。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp68

ホラクラシーの真の狙いは、組織がそのパーパスをよりよく実現できるようにすることにある。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp68

このように捉えてみると、組織のパーパスが変化していくものである、という質感もより具体的に捉えることができるように思います。

例えば、組織体の変化の中で、共同創業者のうちの1人が去る、あるいは新入社員を迎えるといった、所属する人材の変化によっても表現できるパーパスに変化が現れると考えられます。

また、上記のような人の入れ替わりだけではなく、その組織が置かれている産業や市場空間の変化によっても、組織が表現できるパーパスに変化が現れる、といったことも考えられるでしょう。

ここからは、日本国内においてホラクラシーがどのように広がっていったのか?について見ていきましょう。

国内におけるホラクラシーの広がり

国内のホラクラシー実践黎明期

日本におけるホラクラシー(Holacracy)の実践を調べてみると、ダイヤモンドメディア株式会社(現・株式会社UPDATA)における2008年頃に遡ることができます。

武井浩三さんが代表を務められていた当時のダイヤモンドメディアでは、ホラクラシー憲章への批准とそれに基づく実装ではなく、要素の一部を取り入れる形で実践が行われていました。

開発者ブライアン・J・ロバートソンによる初めての、そして現状は唯一のホラクラシーに関する体系的な書籍が初めて邦訳出版されたのは、2016年1月のことです。ここからしばらく、ホラクラシーに関しての情報は旧約版となるこの書籍と英語文献に限られる時期が続きました。

旧約版書籍英語原文書籍

その後の注目すべき国内事例としては、2018年3月に株式会社scouty(現・LAPRAS株式会社)がホラクラシー憲章に批准する形で本格導入され始めたことです。

その当時の様子は、島田寛基さん(株式会社scouty)、武井浩三さん(ダイヤモンドメディア)、山田裕嗣さんの鼎談の中でも語られています。

また、島田さんは当時、「ホラクラシー」という用語と意味・実態が国内ではかなり広い意味で捉えられていると別のインタビューでお話しされており、ホラクラシー憲章(Holacracy Constitution4.15.0に沿った自社での運営を「純ホラクラシー組織」と呼称するなど工夫されている様子が伺えました。

『ティール組織』のムーブメント

上記と別の文脈では、『ティール組織』を国内に紹介していく流れにおけるホラクラシー(Holacracy)の実践が見受けられます。

『ティール組織』は原題を『Reinventing Organizatins(組織の再発明)』と言い、2014年にフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって紹介された組織運営、経営に関する新たなコンセプトです。

書籍内においては、人類がこれまで辿ってきた進化の道筋とその過程で生まれてきた組織形態の説明と、現在、世界で現れつつある新しい組織形態『ティール組織』のエッセンスを紹介されています。

フレデリック・ラルー氏は世界中のユニークな企業の取り組みに関する調査を行うことよって、それらの組織に共通する先進的な企業のあり方・特徴を発見しました。それが、以下の3つです。

全体性(Wholeness)
自主経営(Self-management
存在目的(Evolutionary Purpose)

『ティール組織』及び『Reinventing Organizatins(組織の再発明)』を参照

この3つをラルー氏は、現在、世界に現れつつある新たな組織運営のあり方に至るブレイクスルーであり、『ティール組織』と見ることができる組織の特徴として紹介しました。

出版後、10万部を超えるベストセラーとなった『ティール組織』(英治出版)は日本の人事部「HRアワード2018」では経営者賞を受賞し、2019年には著者来日イベントも開催されるなど、国内のビジネス界でムーブメントを巻き起こしました。

そして、昨年2024年には原著出版10周年を迎えました。

上記のような軌跡を辿った『ティール組織』のムーブメントですが、国内への本格的な紹介は2016年に遡ります。

2016年9月19日~23日、ギリシャのロードス島で開催された国際カンファレンス『NEXT-STAGE WORLD』は、『Reinventing Organizations』にインスピレーションを受け、新しいパラダイムの働き方、社会へ向かうために世界中の実践者が学びを共有し、組織の旅路をサポートしあい、ネットワーク構築を促進することができる場として催されました。

この場に日本人として参加していた嘉村賢州さん吉原史郎さんは、この海外カンファレンスの報告会を東京・京都で開催すること共に、嘉村賢州さんが代表を務めている特定非営利活動法人場とつながりラボhome's viにおけるホラクラシーの実践が、2017年6月より始まりました。(私自身のホラクラシー実践もここからです)

ホラクラシーはフレデリック・ラルー氏の書籍において事例として紹介されていたことや、ホラクラシー憲章(Holacracy Constitution)という明確なフレームワークが存在することから挑戦する価値があるのではないか、と当時のhome's viで意思決定が行われたためです。

ホラクラシー挑戦のプロセスは、NEXT-STAGE WORLD以降、賢州さんらとコミュニケーションしてきたメンター・ジョージ・ポー氏(George Pór)にご協力いただいた後に、吉原史郎さんにサポートしていただく形で進めていきました。

その後、NEXT-STAGE WORLDでのご縁から2017年以降、ホラクラシーワン創設者の1人であるトム・トミソン氏(Tom Thomison)や欧州におけるホラクラシー実践者でありコーチのクリスティアーネ・ソイス=シェッラー氏(Christiane Seuhs-Schoeller)が来日され、海外の実践者と日本の実践者の交流の流れが生まれ始めました。

2017年以降、クリスティアーネとのご縁ができた桑原香苗さん石井宏明さん山田希さん安田健一さんらは後にNexTreams合同会社を創業し、ホラクラシーをはじめとする知見をクリスティアーネと共に継続的に国内に紹介されていくこととなります。

2018年1月にはフレデリック・ラルー著『ティール組織』が出版され、日本の人事部HRアワード優秀賞を受賞、2019年9月には著者フレデリック・ラルー氏の来日企画ティール・ジャーニー・キャンパスが開催されるなど、『ティール組織(原題:Reinventing Organizations)』は日本のビジネス界にムーブメントを巻き起こしました。

ティール・ジャーニー・キャンパス』のエンディング風景
下田理さん吉原史郎さんラルー氏藤間朝子さん嘉村賢州さん

この『ティール・ジャーニー・キャンパス』ではホラクラシー」の今とこれからと題された分科会も開かれており、吉原史郎さん、藤井宏次さんの他、株式会社BowL(現・一般社団法人BowL)からは荷川取佳樹さん徳里政亮さんが登壇され、一部私もパートを担当させていただきました。

世界のホラクラシー実践と、日本の現在地

ホラクラシーを補う手法等の導入・開発

ホラクラシーを組織で実践すること、そしてその実践を続けていくことは、さまざまな難しさを生むことがあります。

例えば、それは以下のようなものです。

・従来の仕事、組織上の進め方からの急進的な変革による歪み
・既存の組織、仕事の枠組みとホラクラシーに基づく進め方との葛藤・混乱
・組織内の関係性、文化等について扱うルールや記述の不在
・「ホラクラシー導入の意図・文脈」の共有不足による空中分解
・ホラクラシーに基づく実践と、現実の仕事や状況との乖離

上記のような点に関して、株式会社Scouty(現・LAPRAS株式会社)を創業された島田寛基さんは以下の記事の中で自社での実践について振り返られています。

こうした難しさ、これらに限らないさまざまな難しさは日本に限らず世界各国で発生しており、2016年の時点でHarvard Business Review誌では『ホラクラシーの光と影Beyond the Holacracy Hype』という論文が寄稿されています。

ホラクラシーの光と影』は2014年頃からホラクラシー導入を開始したザッポスの事例(当時の従業員数が約1500名という世界最大規模の実践事例)を取り上げつつ、ホラクラシー導入に伴い18%の従業員が退職パッケージを利用したことなどを報告しています。

さらにその後、ザッポスはホラクラシー運用をさらに発展させるべく、マーケット・ベース・ダイナミクス(MBD)、顧客創造型予算(CGB)、トライアングル・オブ・アカウンタビリティ(ToA)という3つの新しいコンセプトを導入するに至ったことが以下の事例記事で紹介されています。

ザッポスに関して、人事千壺(壺中天)からは「都市」ティール」「ソース」という3つの切り口から再考する記事も公開されています。詳しくは以下のリンクからご覧ください。

上記のザッポス以外では、先述のクリスティアーネ・ソイス=シェッラー氏(Christiane Seuhs-Schoeller)もまたホラクラシーにおいて個人や関係性を取り扱うための実践法ランゲージ・オブ・スペーシズ(Language of Spaces:LoS)の開発を行っています。

HolacracyOneが認定したプレミアプロバイダーであるXpreneurs(エクストレプレナーズ)においてもこのランゲージ・オブ・スペーシズ(Language of Spaces:LoS)は取り入れられており、また、ソース原理(Source Principle)の考え方に基づくSource Roleの設置を行われていると、以下の海外企業視察報告会の中で紹介されています。

2019年以降の国内における実践

2016年出版のHOLACRACY(ホラクラシー) 役職をなくし生産性を上げるまったく新しい組織マネジメント(PHP研究所)は長らく絶版状態となっており、ホラクラシーの情報を手に入れるためには海外の事例に当たる他、HolacracyOneが提供するプログラムへの参加する等以外に手段が乏しい状態が続いていました。

そうした中でもユニークな国内の実践は現れてきており、r3s magazineという国内外の企業の組織づくり事例を取材し、紹介するメディアにおいてもホラクラシーの実践に取り組む企業事例が紹介されている他、選挙戦をホラクラシー式の組織運営で戦ったという事例も公開されています。

また、2017年頃からの準備を経て、2023年に公開されたGMOグローバルサイン・ホールディングスのニュースは大きなインパクトをもたらしました。その実践規模は、国内最大級の約550名に及びます(2023年4月時点)。

その後、2023年6月に『[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー)――人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン』(英治出版)が吉原史郎さんの監訳により出版されました。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー)―人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン

近年では、株式会社に限らずNPO法人や財団法人、一般社団法人等でも実践されている様子が窺えます。

2024年2月にDRIVE キャリアNPO法人ETIC.)が主催した『フラットな組織で個人の力を最大限に引き出す―ティール&ホラクラシーの現場から―』では、加藤徹生さん(一般財団法人リープ共創基金(REEP))岩附由香さん認定NPO法人ACE)のお二人から自組織でのホラクラシー実践等についてお話を伺うことができました。

さらに、同年5月に奈良県立大学地域創造研究センター仕事文化研究ユニットが主催した『共鳴ダイアログin奈良―自ら考え動く従業員が育つ組織づくりを考えるトークイベント』では、荷川取佳樹さん(一般社団法人ポリネ)石田慶子さん(非営利型一般社団法人無限)のお二人から、ホラクラシーの他、『ティール組織』や『ソース原理』の知見をどのように組織に活かしているか等についてお話を伺うことができました。

1つの手段としてホラクラシーを相対的に捉える視点

上記のような国内外における浸透と、それに伴うホラクラシー実践上の課題から、近年ではホラクラシーを1つの手段として相対的に捉える視点を持つ方々が増えてきている様子が窺えます。

私自身、国内の実践者と交流する中で、ホラクラシーを自社独自のやり方にカスタマイズする企業、団体が増えてきている実感があります。

また、オランダ・アイントホーフェンの企業Corporate Rebelsが主宰する世界20カ国、企業150社1300人以上のネットワークに参画している山田裕嗣さん(令三社)RELATIONS株式会社の皆さんは、世界の実務家・実践者の方との対話を通じて得た知見を定期的に紹介してくださっています。

ホラクラシーに関連しては、皆さんからは以下のようなお話を伺いました。

ヨーロッパ諸国ではソシオクラシー(Sociocracy)というホラクラシーの原型になったフレームワークが、セルフマネジメントの実践において共通認識として浸透している。

参加型ダイナミクス(participatory dynamics)というソシオクラシー(Sociocracy)をもとに新たに開発された手法も存在する。

なお、マルティーヌ・マレンヌ氏(Martine Marenne)が開発した参加型ダイナミクス(participatory dynamics)は、2024年7月にフランス語、2025年2月にドイツ語で書籍が出版された他、ステファン・メルケルバッハ氏(Stefan Merckelbach)の書籍ソース原理[入門+探求ガイド]――「エネルギーの源流」から自然な協力関係をつむぎ出す』(英治出版)の中でも触れられています。

Au coeur de la Dynamique Participative: La dimension humaine, levier de toute pratique collaborative

このように、ホラクラシーをはじめさまざまな組織に対するアプローチが生まれつつある中、何をどのように自組織に取り入れていくか?何かを取り入れる際に、自組織として大切にしたい価値観やポイントは何か?等が、現在の国内外の実践者に共通する問いと言えそうです。

国内のホラクラシー&セルフマネジメント実践者の集い

こうした中、2025年3月。

杉本匡章さん(MAP U株式会社)高橋直也さん(RELATIONS株式会社)藤井宏次さん(JOINTRIBE株式会社)山田裕嗣さん(株式会社令三社)ら有志によって、日本国内におけるホラクラシー実践者の集いが開催されました。

当日は総勢20団体・30名に及ぶホラクラシー実践者が集いました

国内でホラクラシー実践に取り組む実務家20団体・30名が大正記念館に集った本企画は、Talkspirit及びHolaspiritというSaaSの創業者にして、自身もホラクラシーによる組織運営を行ってきたフィリップ・ピノー氏(Philippe Pinault)の来日がきっかけとなって開催されました。

フィリップ・ピノー氏(Philippe Pinault)と山田裕嗣さん

フィリップから海外における経営のトレンドや、「セルフマネジメント(Self-Management)」というキーワードとホラクラシーの関係、1人の起業家としてのホラクラシー体験談等を伺った後、国内の実践者たちとフィリップ、そして共に来日されていたクリスティーナ・リーゼン氏(Cristina Riesen )とを交えての対話の時間が設けられました。

なお、この時の模様の詳細は以下のレポートにまとめています。

終わりに

以上、今年2025年までの国内におけるホラクラシー実践・探求の潮流を、海外の開発者や起業家、国内の主要な(あるいはユニークな)実践者の事例や出来事を取り上げつつ紐解いてきました。

こうしてまとめてみることで、改めて私自身、ホラクラシーの開発・普及・実践に取り組んできた多くの皆さんの、平坦ではない凸凹に満ちた旅路に思いを馳せることができたように思います。

記事の中でお名前を挙げてきた多くの実践者の皆さんは、私の尊敬する先輩であり友人であり、仲間である方々です。

皆さんがこれまで切り拓いてこられた道なき道を、追いかける形ではあるかもしれませんが、今回のような記事の形にでき、とても感謝しております。

現在の私は、家業の事業承継で得た知見とこれまでの経験を新たな形で活かすべく独立し、『人と組織のポテンシャルを活かす叡智を届けること』を掲げて活動していますが、今なおホラクラシーは私にとって大きな存在です。

新訳版書籍英語原文書籍

今回の記事が、ホラクラシーにご関心のある方にとっての探求の一助となれれば幸いですが、この記事に関して気になる点や疑問等もありましたら、是非こちらからや、こちらに記載している連絡先などからお気軽にメッセージいただけると嬉しいです。

また、近年のホラクラシー実践においてはピーター・カーニック氏(Peter Koenig)が開発し、関連書籍も二冊出版されているソース原理(Source Principle)との関連の言及や、ソシオクラシー(Sociocracy)というホラクラシーの原型となったフレームワークの探求も始まりつつあるなど新たな流れも生まれつつあり、こちらも気になるところです。

ホラクラシーに内包されているエッセンスは、Z世代やα世代にはどのように受け入れられるのか?」「ホラクラシーはビジネスの現場以外では、どのような領域やシチュエーションで活用しうるか?」などなど、私自身まだまだ興味は尽きません。

私にかつてない感動をもたらしてくれたこの実践知を、より良い形で次世代に遺し、届けるためには、まだまだやりたいこともたくさんあります。

今後もまた新たな情報等が入ってきた場合には随時取り上げ、ご紹介していければと思いますので、この記事が参考となったと感じていただけましたら、応援もよろしくお願いいたします。

さらなる探求のための参考リンク

ようこそ、「次世代組織マガジン 編集部」へ|次世代組織マガジン 編集部(ティール組織ラボ)

徹底解剖!RELATIONSの実践に見るホラクラシーの仕組み|RELATIONS株式会社

『上下関係がない「ホラクラシー組織」におけるアプリ開発体制とは』|GMO Developers

ホラクラシー組織とは?メリット・デメリットを解説|チームビルディングラボ

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大森 雄貴 / Yuki Omori サポート、コメント、リアクションその他様々な形の応援は、次の世代に豊かな生態系とコミュニティを遺す種々の活動に役立てていきたいと思います🌱