【登壇情報】ファシリテーター99人カイギ #05大阪|ファシリテーターとつながり、ファシリテーションの可能性をみつけてひろげる
こども国連環境会議推進協会(JUNEC)、DNP 大日本印刷株式会社、関西大学が主催の「ファシリテーター99人カイギ#05大阪」にて登壇の機会を頂きました。
「ファシリテーター99人カイギ」は、毎回3名のゲストのファシリテーターが登壇し、毎月3名のファシリテーターの話題提供から対話を深める連続企画です。
毎月、奇数月は東京、偶数月は大阪で3名ずつさまざまなフィールドで活動するファシリテーターがゲストとして登壇し、99人のゲストが揃ったら解散するという「ファシリテーター99人カイギ」。私が登壇する機会をいただいた今回は、その第5回目とのことです。
今回は今月末に開催予定の「ファシリテーター99人カイギ」登壇に際して、そもそもファシリテーションとは?の簡単な紹介、私自身のこれまでの実践と、登壇に際しての思いなどを以下にまとめてみようと思います。
ファシリテーションとは?
『ファシリテーション(facilitation)』は、「促進する・容易にする」を意味する動詞・ファシリテート(facilitate)の名詞形です。
『ファシリテーションとは何か―コミュニケーション幻想を超えて』(ナカニシヤ出版)を引いてみると、ファシリテーションの定義には以下のような表現が用いられています。
人々が集まって、やりとりをしながら共同で何かを行うときに、コミュニケーションの場を保持し、そのプロセスに働きかける取り組み・仕組み・仕掛け
一般的には、参加型・体験型のワークショップの進行役がファシリテーターと呼ばれ、彼らが行う仕掛け・取り組みなどを指して「ファシリテーション」と称されることが多く、そのような認識をされている方も多いかと思います。
また、日本におけるファシリテーションの広がりにおいて、中野民夫さんの存在は欠かせません。
中野民夫さんが2001年に出版した『ワークショップ』(岩波書店)は、それまでさまざまな業界・領域で実践されていたものの、体系立てて説明されていなかった参加型・体験型プログラムである『ワークショップ』、それらの担い手である『ファシリテーター』、そして『ファシリテーション』を広く日本に知らせることとなりました。
その中野民夫さんは、『ファシリテーション』について以下のように述べています。
明るい兆しが広がっている。
環境、社会、経済、どこをとっても危機だらけのこの時代に、いや危機が深刻だからこそ、なんとかしなければという人々の意識と行動が、ふつふつと湧き出してきている。
(中略)
様々な問題は複雑に絡み合い相互に関連していて、簡単な解決策などない。誰か特定のリーダーや専門家や先生が、すべてを一気に解決してくれることも残念ながらありえない。だからこそ、様々な現場を懸命に生きる私たち一人ひとりが、孤立しないで集い合い、問い合うことが、出発点になる。力を生み出していくきっかけになる。それぞれの思いや知恵を率直に出し合い、刺激し学び合う。理解を深め、共感し、新たな解決策と結びつける。 そして行動し、振り返り、改善しながら前に進み続ける。人々の参加を大事にしたこのような動きが確かに広がっている。
そして、このような場をつくり、人々の参加を促進し、対話を育み、学びや創造を容易にする技法が「ファシリテーション」なのだ。
2001年に中野民夫さんによる『ワークショップ』の出版、2003年に堀公俊さんらが発起人となっての日本ファシリテーション協会(FAJ)設立と、国内におけるファシリテーションの普及・広がりは現在に至るまで25年近くの歩みが存在します。
私自身のこれまでの実践
まちづくりにおけるファシリテーション
私自身のファシリテーションの本格的な探求は、2010年代以降の京都、特にまちづくりの領域での実践が入口となりました。
まちづくりの領域におけるワークショップの歴史を振り返ると、20世紀はハード建設のプロセスの一部として扱われるものであり、都市計画コンサルタントらが主要な実践者でした。
しかし、2000年代以降はそれ以前までの市民参加……公共事業の意思決定への参加及び合意形成のためのワークショップだけではなく、市民協働……まちづくりの事業の実施段階も含めたプロセス設計、組織づくりが可能となるファシリテーションが求められるようになっていきます。
その結果、ファシリテーターにも、その場限りの合意形成にとどまらず、チームメイキングのような要素も期待されるようになっていきます。
一方、アメリカでは、オープンスペーステクノロジーやワールドカフェ、フューチャーセンターなどの新しいファシリテーションの手法が開発され2000年代に日本に輸入されてきました。京都ではゼロ年代後半にNPO法人場とつながりラボホームズビーがこれを導入し、京都市未来まちづくり100人委員会で実装し、やがて2010年代に各区役所のデフォルトのサービスとして実装されていきます。この動きが京都の市民協働に大きなステップアップをもたらした事は記憶に新しいところです。
組織論×ファシリテーション
やがて、私は生業として企業や団体、青年会議所等を対象としたワークショップの実施などにも取り組むようになります。

しかし、一時のワークショップ実施だけではその場でどれだけ素晴らしい対話が生まれても、その後の組織の変化に持続的なインパクトを発揮できない、という事態に何度も陥ることになりました。
そんな時に出会ったのが、フレデリック・ラルー著『ティール組織(原題:Reinventing Organizations)』でした。
『ティール組織(原題:Reinventing Organizations)』は、人類が有史以来、暴力による支配、法と階級による秩序、企業の誕生と生産性・能力主義の台頭など、さまざまな組織の作り方を発明してきた歴史を振り返りつつ、現在生まれつつある新しい組織運営・組織構造について紹介した書籍です。
人の集団には、今ここにいる人々だけではなく、その人々の行動を規定する制度・構造があるという視点や、そうした制度・構造はかつて生きた人々による試行錯誤の上で成り立っているという視点は、私の「ファシリテーション」に対する考え方について大きな衝撃をもたらしました。
『ティール組織』解説者である嘉村賢州が代表を務めるhome's viに所属していた当時の私は、『ティール組織(Reinventing Organizations)』をはじめとする組織論の探求にのめり込んでいくこととなりました。

そして、海外で実施されるトレーニングでの学びなどを経て、今度はそれらを講演やワークショップなどの形で伝えていく活動が始まりました。

「世代を超える・繋ぐ」を意識するきっかけとなった家業の事業承継
ここから、私は最も大きな人生の転機に直面します。
家族との死別やパートナーとの結婚などのライフイベントが重なったほか、この頃には全世界がコロナ禍に陥るなど、公私共にあらゆる領域で「これまで通りの自分」では通用しない局面に直面することとなりました。
その後、再び地元へ戻り、米作りの事業承継を決断する際の私には葛藤もありましたが、その当時はそれが自分にとって選択できる唯一の選択肢でした。
その結果、これまで培ってきた人の集団に巻き起こるダイナミクスをより良い方向へ促そうというさまざまなアプローチを駆使して、今度は四世代分積み重ねられた家族システムの健全化に取り組むこととなったのでした。
その後の事業承継にまつわる私自身の葛藤や実践については、私自身のマガジンにまとめている他、事業承継ラボからインタビューいただき、その模様は記事として公開されています。

また、事業承継の時に痛感した「世代を超えて事業が受け継がれることの尊さ」「人ひとりが去ることによる組織のその後への影響の大きさ」といった気づきから、「書き遺すこと」の重要性を見出し、この「書き遺すこと」をクライアントワークにも活かしていくこととなりました。
ある企業や団体における素晴らしいアイデアや実績も、何らかの形で遺されていなければ後の世代に受け継がれることもなく、また、新しくそれらについて学びたいという後進へ伝えることもできません。
ある企業や団体における素晴らしいアイデアや実績が創業者などの個人に依存している場合、創業者が去るときにそれらの取り組みを生み出す文化や風土も組織から失われてしまいます。
四世代家族に生まれ、家業を事業承継することとなった私は、約100年近くの世代交代の歴史を体感し、次の三世代へより良い未来を遺し、繋ぐ意識を育む稀有な機会に恵まれました。
そして、関わる企業・団体といったクライアントの皆さんや身近な友人たち、家族に対してもまた「これまでを作ってきた先人たちへの敬意と、今を共に生きる人々やこれからを担う次世代に向けた願い」を持って日々、関わるようになりました。
こうした観点から、企業の社史の編纂や組織運営の伴走及び終結時の振り返りの場の設計・運営、長期プログラム終了後のインタビュー記事の執筆といった活動にも取り組んできました。
こうした私自身の人生の探求から生まれてきた新たなあり方であり、実践のコンセプトが「ジェネレーション・ファシリテーター」です。
「世代間や認識・価値観の差による葛藤・対立を越え、共通の目的やビジョンを探して共に進むためのファシリテーション」という私独自のあり方であり、コンセプトです。
以前、NPO法人U Journeyが主催する対話の場SOILにて初めてお話しさせていただき、私がこの独自のあり方・実践を見つけるに至った旅路と活用している理論等については、以下の記事にまとめました。
今回の「ファシリテーター99人カイギ」では、以前お話しした内容を踏まえつつ、より具体的な実践事例を交えてお話しできればと考え中です。
「ファシリテーター99人カイギ」登壇に際して
以上、私自身のファシリテーターとしての探求の旅路について簡単にご紹介してきました。
ただ、一口に「ファシリテーション」「ファシリテーター」と言っても、そのフィールドは教育、まちづくり、心理療法、アートや演劇、ビジネス、近年ではオンラインなど多岐にわたります。
市川力・井庭崇『ジェネレーター』(学事出版)を引くと、教師の役割は時代の変化とともに、知識提供を行う「ティーチャー」からコミュニケーションを促進する「ファシリテーター」へ、そして現在は、共につくり・学ぶ「ジェネレーター」としての役割が求められつつある、といった記述も見られます。

Consumption(消費):消費社会
1920年代〜:よいモノ・サービスを享受することが生活・人生の豊さを表す。物質的なモノに重点
Communication(コミュニケーション):情報社会
1990年代〜:インターネット・携帯電話の普及。リアル、オンライン問わず良い関係性、社会的(ソーシャル)な関わり
Creation(創造):創造社会
2010年前後〜:自分で何をつくっているか・つくることに関わっているか。創造的な方向へと関心が向かう時代
消費社会においては、知識・スキルを教える/教わるという関係性を結ぶティーチャー、またはインストラクター。
情報社会においては、コミュニケーションを促す・または交通整理を行うファシリテーター。
創造社会においては、学び手のつくることによる学び・創造的な学びに参加し、一緒につくるジェネレーター。
このように、時代の変化に伴って「人の集う場をどのように運営するか?」の実践法は移り変わり、その過程でさまざまな領域で「ファシリテーション」や「ファシリテーター」は広がってきたように思われますが、そうした技術やあり方の習得プロセスは十人十色です。
「ファシリテーター99人カイギ」は、そうした十人十色(99人99色)の実践や経験、独自の成長プロセスに耳を傾け、対話に参画していくことで、自身にあった実践のヒントなどを見つけていける…そんな機会となるかもしれません。
ありがたいことに、これまで何度もご一緒させていただいた松田佳織さん(関西大学)にお誘いいただき、今回の登壇の運びとなりました。
これまで、当日の会場となる関西大学梅田キャンパスには、『問いのデザイン』や『問いかけの作法』&『チームレジリエンス』、『冒険する組織のつくりかた』など安斎勇樹さんの著書の出版記念企画の際に何度も足を運び、その時々で松田さんとご一緒し、イベントレポートをまとめてきていたという経緯もありました。
今回、私含め3名のファシリテーターとしてご一緒させていただく中谷和代さん、奥野美里さんとも、どのような対話をしていけることか今から楽しみです!
当日の模様はアーカイブ視聴も可能とのことなので、もし当日リアルタイムが難しいという方も是非ご覧ください!

<ファシリテーター99人カイギ #05大阪のイベント概要>
主催:
こども国連環境会議推進協会
DNP 大日本印刷株式会社
関西大学
後援:
特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会
青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー育成プログラム
開催日時:2025年6月28日(土)13時00分~15時45分
会場参加:関西大学梅田キャンパス/kandai Me RISE8階ホール
会場住所:大阪府大阪市北区鶴野町1-5
WEB参加:Zoomでリアルタイムに参加 or オンデマンド動画を視聴
さらなる探求のための参考リンク
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Japan Self-Management Meetup!国内のホラクラシー&セルフマネジメント実践者の集い|Holaspirit創業者来日記念企画
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