ひと皿の景色 ~北斎通りの小さな寄り道~
ここは東京の墨田区。
両国の北斎通り沿いを歩いていると、青いドアが目に入る。
ビストロ地球屋
「地球屋」という名前も、扉の青さも、どこか秘密基地めいていて、この通りを歩くたび、少しだけ寄り道したい気分にさせられる。

北斎通りといえば、すみだ北斎美術館のある通り。
歴史と下町の匂いが混ざったこの一角に、スパイスの香りが漂う店があるというのも、なんだか両国らしいと思う。
両国駅からは歩いて約3分。
昼はスパイスカレーとリゾット、夜は居酒屋スタイルの創作ビストロ料理が楽しめる。
看板には、本日のお肉のカレー、本日の魚介のカレー、本日のリゾット、そして「あいがけ」の文字。
魚介と肉、両方楽しめると知って、迷う理由がなくなった。

この日食べたあいがけカレー。半分は赤みの強い魚介系、半分はコクのあるお肉系。
真ん中のご飯で両側が区切られており、上には新鮮なレタスや紫大根のサラダがふわりと盛られていて、カレーというより、ひと皿の景色のようだった。
スプーンを入れると、魚介側は酸味とやわらかな甘みがふわっと広がり、お肉側は深いコクでどっしりと受け止めてくれる。
丁寧に作られたスパイスの層が、ひと口ごとに違う顔を見せてくれる。

上に乗っているサラダは、それだけで食べても美味しいのだが、下のご飯と、更にはカレーと混ぜて食べたりして、幾通りもの味わいを楽しめるのだ。
初めて訪れた人にとっては、出てきたお皿は、想像より大きいだろう。
しかし、このお店のカレーは、一味も二味も別次元の美味しさなので、女性でもぺろりと平らげてしまう。
魚介のカレーも肉のカレーも、カレーは日替わり。今日食べた味は、今日だけのもの。
それなのに、一度食べると、なぜか翌日もまた食べたくなる。
そんな、忘れられない美味しさだった。
大きなお皿だったのに、気づけばぺろりと平らげていた。
名残惜しくて、最後の一口だけは、ゆっくり時間をかけて味わった。

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