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SoFiUSDはどの金融圏を築くのか【前編】 ─ 銀行預金とステーブルコインが融合する未来

【シリーズ共通テーマ】
ステーブルコインの未来勢力図 ─ どの通貨がどの金融圏を支配するのか

※以下からの続きとなります。
第1回:ステーブルコインは何種類まで生き残るのか ─ 勝者総取りにならない理由
第2回:なぜStripeは新しいドルを作るのか ─ コリソン兄弟が描く金融インフラの未来
第3回:StripeはなぜPayPalを欲しがるのか ─ 530億ドル買収提案の本当の狙い
第4回:USDT・USDC・共同体型ステーブルコインはどこで生き残るのか

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ここまで、ステーブルコイン市場で生き残ろうとする主要陣営を見てきた。

USDTには圧倒的な流動性があり、USDCには相互運用性を武器に、複数のブロックチェーンや金融サービスをつなぐ力がある。また、Open USDにはStripeが築いてきた企業決済インフラが、USDGにはPaxosが培ってきた発行・規制対応の実績という強みがある。

では、SoFiUSDはどの金融圏を支配するのか。

SoFiUSDにも、世界有数のシェアを持つステーブルコインへ成長する可能性はある。しかし、そのためにも最初に築くべきなのは、他では代替しにくい金融圏である。強固な金融圏を築ければ、その先に利用者や企業による採用が広がり、結果として発行残高も付いてくる。

その出発点となるのが、「銀行預金とパブリックチェーンの間」である。銀行口座にあるドルを、必要なときにパブリックチェーンへ送り出し、役目を終えれば再び銀行預金へ戻す。

・24時間365日、世界中へ移動させる
・決済や投資へ使う
・必要になれば、再び銀行預金へ戻す

その循環を一つの金融グループの中で完成させる。ここにSoFiUSDが築ける金融圏がある。

<銀行発行だけではない>
SoFiUSDについて語るとき、最初に注目されるのは、銀行発行という点である。

SoFiUSDの裏付け資産は主にFRB口座に置かれた現金などで構成され、OCCの監督を受ける。このため、SVBショックで問題となったような、「準備金への信用不安」が発生する事態は構造的に起こりにくい。また、SoFiUSDの発行・準備・償還を担うのは、米国の銀行規制の下にある銀行である。発行から償還まで責任の所在が明確で、一貫した管理体制を取れる点は、銀行発行型ならではの強みと言える。

しかし、SoFiUSDの本当の価値は、それだけではない。

SoFiは、預金・ローン・カード・投資・暗号資産・国際送金、そして法人向け金融サービスなどを、一つの金融サービス基盤の中に持っている。SoFiUSDは、その中心を流れる通貨になれる。

様々なサービスを持つ銀行が、そのすべてをつなぐステーブルコインを発行したことが、大きな意味を持つ

<預金とステーブルコインは競争相手ではない>
金融商品として見たとき、預金とステーブルコインは長年トレードオフの関係にあった。

・預金は安全で利息や預金保険が付く。しかし送金が遅い・高い。
・ステーブルコインは送金が速い・安い。しかし利息や預金保険がない。

SoFiはその両者を競争させることなく、融合を図り、利息や保険の対象となるトークン化預金とSoFiUSDを相互に変換できる仕組みを、ロードマップとして示している。

普段はトークン化預金として保有し、送金や決済が必要なときだけSoFiUSDとしてオンチェーンで利用する。そして役目を終えれば再びトークン化預金へ戻る。

利用者は、その違いを意識して操作する必要はない。目的に応じて資産が最適な形で自動的に行き来する。SoFiが目指すのは、そのような金融体験を支える金融インフラである。

<一人の顧客の金融生活をつなぐ>
実際の金融生活でどのように使われるのだろうか。

一人のSoFi会員を例にすると、
・給与がSoFiの預金口座へ入る
・家族や知人へ送金する
・ローンの返済に充てる
・カードの利用代金を支払う
・投資口座へ移す

こうした金融サービスを利用する中で、利用者はトークン化預金とSoFiUSDを意識して使い分ける必要はない。資金の保有にはトークン化預金、送金や決済にはSoFiUSDというように、システムが目的に応じて最適な形へ自動的に切り替える。

さらに、こうした資金移動も、設定した条件に従って自動で実行される世界が到来する。SoFiUSDは、その裏側で一連の資金移動を支える共通の決済基盤となる。

そして、各種金融サービスが滑らかにつながることで、SoFiが掲げるワンストップサービスは、さらに大きな価値を持ち始める。

SoFiUSDの強さは、SoFiを利用している顧客が、日々の金融活動の中で、自然とSoFiUSDを利用する環境を作れることにある。この点は、Open USDやUSDGとは大きく異なる。SoFiUSDは、自ら最初の利用場所を持っている。

<ローンまでつながったとき、景色が変わる>
SoFiの強みである融資とステーブルコイン事業は、一つの資金循環を生み出す関係にある。

・銀行は預金を集め、融資へ回す
・借り手はお金を受け取り、毎月返済する
・返済された資金は、再び銀行のバランスシートへ戻る

現在こうした流れは、銀行の営業時間や既存の決済ネットワークに強く依存している。ここへSoFiUSDが組み込まれれば、資金の移動方法が変わる。

・24時間365日、融資資金を送る
・借り手はそのお金を、そのままオンチェーンで支払いや送金へ使う
・返済資金は、投資家や金融機関への分配、次の融資へと素早くつながる
・国境を越える融資や債権取引も、より効率的に行えるようになる

SoFiUSDが融資の実行から回収、債権の売却、投資家への分配まで、ローンのライフサイクル全体をよりシームレスにつなぐ可能性を持つ。

また、ローンは数年、住宅ローンなら数十年にわたって顧客との関係が続く。SoFiUSDがその長い金融関係へ組み込まれれば、一時的な送金手段ではなく、継続的に使われる金融インフラになり得る。

ここまでは、SoFi会員を中心とした個人金融の中で、SoFiUSDがどのような役割を果たすのかを見てきた。

しかし、SoFiUSDが目指す金融圏は、それだけではない。

次回は、その視点を企業や金融機関へ広げる。SoFiUSDは、単なるステーブルコインではなく、銀行とパブリックチェーンをつなぐ、新しい金融インフラになろうとしている。

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