見出し画像

ステーブルコインは何種類まで生き残るのか ─ 勝者総取りにならない理由

【シリーズ共通テーマ】
ステーブルコインの未来勢力図 ─ どの通貨がどの金融圏を支配するのか

ステーブルコイン市場が、騒がしくなってきた。これまでの中心は、USDTとUSDCであった。現在もこの2つが巨大なシェアを持つ。

DefiLlama Webサイトより抜粋(2026年7月26日執筆時点)

そのなかで、ステーブルコイン事業に参入する企業は一向に減らない。既に数百ものステーブルコインが存在し、先日もStripeグループを中心に140社超の企業が参加するOpen USD構想が発表された。

しかし、これほど多くのステーブルコインは不要である。最終的には、流通量の多いステーブルコインへ利用が集中し、ほとんどの通貨は消えていく。

そもそも、ステーブルコインの機能そのものでは差別化が難しい時代に入っている。

・1ドルで交換できる
・24時間365日送金可能
・資金移動の自動化

こうした機能は、今や当たり前だ。また、規制が整備されていくにつれ、準備金の保有・情報開示・償還・顧客資産の保護といった条件も標準化されていく。

加えて、ステーブルコインには、利用者が増えるほど価値が高まり、さらに利用者を呼び込む「ネットワーク効果」が働く。

上場する取引所が多く、複数のブロックチェーンに対応し、流動性の高い通貨ほど使いやすい。流動性が高まれば、さらに取引所や企業が採用しやすくなる。この点だけを見れば、ステーブルコイン市場も少数の巨大通貨へ収束していく。

ここで一つ不安が心をよぎる。
SoFiUSDのような後発のステーブルコインも、この競争の中で消えてしまうのか?

答えは明確に「No」だ。
SoFiUSDには他にはない独自の強みがある。

加えて、将来のステーブルコイン市場が、一つの通貨だけに統一されることはないと考えるからだ。

<なぜステーブルコインは統一されないのか>
◆第一の理由:金融規制が国や地域によって異なる
ステーブルコインは、必ずどこかの国や地域の法律に基づいて運営される。発行条件も、提供できるサービスも、国によって違う。

世界中の規制が統一されない限り、一つのステーブルコインだけで完結することはない。

◆第二の理由:利用される経済圏や用途が異なる
・暗号資産取引では、高い流動性が求められる
・企業間決済では、信用・安全性・会計処理・規制対応が重視される
・金融機関では、本人確認・マネロン対策・取引記録・権利関係などが重要になる
・新興国では、資産保全の手段として利用されることもある

求められる機能や役割は、利用される場面によって大きく異なる。一つのステーブルコインが、すべての用途で最適になるとは考えにくい。

◆第三の理由:重要な金融インフラを一社に依存できないため
・複数のクラウドサービスを使う
・複数の決済会社と契約する
・取引銀行を分散する

企業経営では、重要なインフラを一社だけに依存することは大きなリスクになる。障害・規制変更・契約条件の変更・取引先の経営悪化などが起きた際に、事業全体が止まることを避けるためである。

<勝敗を決めるのは「金融圏」>
最終的にどのステーブルコインが生き残るのか。
その答えは極めて単純で、自らの金融圏を築ける通貨である。

・日常的に使う顧客がいる
・その通貨を受け入れる加盟店がいる
・売買や交換ができる取引所がある
・預金、融資、投資、送金などの金融サービスとつながっている
・企業や金融機関が、その通貨を使って継続的に資金を動かしている

こうした利用の循環が成立している状態を指す。

発行残高だけが増えても、経済圏ができたとは言えない。重要なのは、流通の中身である。決済、送金、投資、融資、証券決済など、実際の経済活動の中で使われて初めて、そのステーブルコインは金融インフラになる。

成功する通貨は、「使えなければ困る通貨」である。

<巨大な発行残高だけが勝利ではない>
発行残高は重要である。流動性が高いほど、多くの取引所、ウォレット、企業が対応しやすくなる。しかし、最大の発行残高を持つ通貨だけが成功者とは限らない。

特定の巨大金融圏で不可欠な地位を築けば、それだけで十分に大きな価値を持つ。

例えば、Open USDがStripeの決済網へ深く組み込まれ、世界中の企業決済や加盟店精算で使われるなら、暗号資産取引所でUSDTの流通量を上回らなくても成功する。

同様に、SoFiUSDがSoFi会員、Galileo、Technisys、企業向け銀行サービスなどをつなぎ、預金・融資・投資・送金の間を移動する通貨になれば、銀行サービス圏の中で強い地位を築ける。

勝敗を決める物差しは、一つではない。

将来、
・暗号資産市場を握る通貨
・企業決済を握る通貨
・銀行サービスを握る通貨
・証券やトークン化資産の決済を握る通貨
・新興国でデジタルドルとして使われる通貨

複数の勝者が、異なる場所に現れても全く不思議ではない。

<将来の5つの主要陣営>
本シリーズでは、将来の勢力図を考える上で、5つの主要陣営に注目する。

◆USDT
USDTの最大の強みは、圧倒的な流動性と、暗号資産市場における利用実績である。特に、ドルへのアクセスが限られる地域や、暗号資産取引の資金移動では、簡単に代替できない地位を築いている。

◆USDC
USDCは暗号資産取引だけでなく、企業決済、国際送金、機関投資家向けサービスなどへ用途を広げている。CircleはUSDCを、決済や取引を含むグローバル金融の基盤として展開している。

◆Open USD
Open USDの注目点は、Stripeをはじめ、決済、カード、取引所、資産運用などの有力企業が、既存の顧客基盤やサービスへ組み込める可能性を持っていることである。

◆USDG
USDGは、単一企業だけが利益を得るのではなく、普及に貢献した参加企業にも経済的利益を配分することで、流通網を拡大しようとしている。

◆SoFiUSD
SoFiUSDの特徴は、銀行が発行していることだけではない。SoFiは預金・融資・投資・クレジットカード・暗号資産・国際送金など、多様なサービスを自社内に持っている。そのためSoFiUSDは、外部企業の参加を待つだけでなく、自社サービスの中で利用場面を作ることができる。

その他にも、PayPalのPYUSD、RippleのRLUSD、ユーロや円など各国通貨に連動するステーブルコインなど、それぞれの金融圏に根を張った通貨が、異なる役割を担いながら共存していく可能性が高い。

<次回>
次回はOpen USDを取り上げる。なぜ未発行で、全容も明らかになっていないステーブルコインに注目をするのか。その背後にStripeがいるからである。

SoFiUSDにとって、最強のライバルが現れた——。

スキ💙やフォロー🌼をポチっ🐶🐾と、またSNSでのシェア💫も大歓迎です!みなさんの温かいご支援が最大の励みです。
 
📌2026年2月からメンバーシップを始めました。初月は無料です。ご加入いただくと、過去の有料記事や掲示板の投稿もすべて読めます。

【免責事項】 本ブログは情報提供を目的とし、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。内容は執筆時点の情報に基づき、将来的に変更される可能性があります。投資判断は自己責任で行い、十分な調査のうえ決定してください。本ブログの内容を基にした投資損失について、当方は一切の責任を負いません。また、外部リンクや第三者情報の正確性も保証するものではなく、各自の判断でご利用ください。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー