オムライス誕生物語1【カフェ「Branch tip」】
小さな街の路地裏にあるカフェ「Branch tip」
自分たちの商売として、まだ始めたばかりの頃のタケシとミドリが生み出したカフェ「Branch tip」の人気商品オムライス誕生物語のお話です。
古い木造の建物に、さりげなく下がるプレートには、ミドリの手書きでカフェ「Branch tip」と書かれていお店がそこにあった。
このカフェ「Branch tip」は、今では、常連様の支えもあって地元の人々の憩いの場所になっている。
店長のタケシは、カフェ「Branch tip」を始めた頃から料理を研究し、よく美味しそうなお店にもちょくちょく探して出かけて料理の研究を怠らなかった。
タケシは、カフェ「Branch tip」の看板メニューを探そうと今日も店を探索していた。そこでひっそりと佇む1軒の洋食屋さんにであった。
タケシは入店するなり「オムライス」を注文した。
そこには、タケシが追い求めている、ありきありで素朴な、如何にもどこにでもありそうな、オムライスと言う、オムライスが出てきた。
一口…ほおばる。
「うまい。」タケシが追い求めていた食べ飽きない味に近かった。
もう、このオムライスの味が知りたくて我慢できなかった。
タケシは勇気を振り絞りお店が落ち着いたころを見計らい、その店の店主と思われる方に話しかけてみた。
その方の名前は、谷口さんと仰っていた。
年齢も既に70を超えている人生の大先輩だった。
よくよく話をしていると今年でお店は閉めるとの事だった。
タケシは意を決して、「谷口さん、あのオムライスをお教えてくれないでしょうか?」とお願いをしてみた。
そうすると、谷口さんは、拍子抜けしたように「あぁいいよ。」とあっさり教えてくれると言ってくれた。
タケシは嬉しく思い谷口さんに立て続けに聞いてみた。「谷口さん、このオムライスの秘密は何かあるんですか?」
「あぁこのオムライスね。私にとっては忘れられない味なんだよ。お店を始めた頃から一緒にやっていたカミさんの『オムライスの味』だから、カミさんはプロの料理人ではなかったけどね。お客様に毎日食べても飽きない味付けのオムライスを食べさせたいと、いつも研究していて私も何度も毎晩のようにあの頃はオムライスを食べたよ。常連さんにも食べさせて何度も意見を聞いていたなぁ…。それがこのオムライスなんだよ。」
「そんな深い思い入れがあるオムライスなんですね。奥様は現在はどうされたのですか…?」
「カミさんね。数年前に他界してね...。レシピもそのまま彼女と共に思い出になった。このオムライスのポイントは、カミさんの手作りマヨネーズなんだとカミさんがいつも言っていたよ。マヨネーズを加えるとさぁ、コクがでるじゃろ、それがいいらしい。そしてまろやかになるからね。その塩梅に苦労したと言っていたよ。」
「そんな、大切な想いのこもったレシピのオムライスを頂いていいんですか?」
「いいんだよ。私たちの谷口夫婦のオムライスの味が残ったほうがカミさんも喜ぶだろう。」
「谷口さん!ありがとうございます。」
「そうそう、タケシさんと仰ったね。このオムライスは私とカミさんで作り上げた味だからタケシさんのお店カフェ、び~ち、とっぷ?だったかな。」
「言いずらい店ですが、カフェ「Branch tip」といいます。」
「そうそう、カフェ「Branch tip」ね。その店でうちの味のオムライスをそのままで出しても面白くもないし、タケシさんの想いも入らない。だから、約束して欲しいんだけどね。必ずタケシさんのお店に出すときは何かしらのタケシさんの想いを込めたオムライスにしてほしいんだよ。ただ、一つのお願いだよ。」
「谷口さん…ありがとうございます。必ず、想いを込めたオムライスにします。私にもミドリという妻がいますので一緒に考えてみます。」
「あぁ…ありがとう。タケシさん。」
「こちらこそありがとうございます。谷口さん。試作品ができたら真っ先に谷口さんのところに持ってきますので味見をしてくださいね。」
「ああ、楽しみに待っているよ。ちょっとまってなよ。今、オムライスのレシピをかいてあげるから...。」
そういって谷口さんはレシピを書き出した。
【谷口さんのオムライスレシピ】
■材料(1人分)
◆チキンライスを作る。
ご飯200g
鶏むね肉50g(肉はさっぱりが言いとカミさんが言ってた)
玉ねぎ 1/4個
ピーマン彩程度
ケチャップ 塩梅で大さじ2杯くらいかな
塩・こしょうで味を調えて。
バター少し(マヨネーズ入れるからちょっとだけ)
コンソメちょっと。
※手作りマヨネーズ適量
「この手作りマヨネーズはカミさんとの深い想い出があるから言葉でタケシさんに伝えるから...。」と谷口さんがメモを書きながらタケシに言っている。
◆オムレツ
卵は2個くらい。
牛乳も塩梅で入れる。
バター少し。
手作りマヨネーズ適量。
塩で味をととのえる。
◆仕上げ用ソース
デミグラスソース100ml
赤ワイン少し
ウスターソース少し
手作りマヨネーズ少し
仕上げに生クリーム。
仕上げにパセリ。
そう書かれた手書きのメモを受け取った。
「よし、店も暇だからタケシさん作ってあげるよ。作り方はわかると思うけど、まぁ~素直にみてくれやぁ」
「ありがとうございます。谷口さん!メモとりながらじっくり見ます。」
「よし、早速つくるから見ときな。」
「はい!」
それから手際よく谷口さんはオムライスを作り出した。
タケシは、自分に備わっている五感を最大限に活かしてオムライスのメモをとりだした。
◆調理手順メモ
まずは、チキンライスを作る
◇鶏ムネ肉は1cm角程度、玉ねぎはみじん切りにしている。
◇フライパンにバターと手作りマヨネーズを熱し、鶏肉を炒める。
◇肉の色が変わったら玉ねぎを加え、透き通るまで炒める。
◇ご飯を加えて全体を混ぜ、ケチャップを入れてさらに炒める。
◇塩・こしょうで味を調える。
◇ピーマンは最後に彩で。
手際よくチキンライスが出来上がった、それを皿に山型に盛り付けておく。
次に、オムレツを作る。
◇ボウルに卵2個・牛乳・塩を混ぜる。
◇フライパンにバター、手作りマヨネーズを熱し、卵液を流す。
◇大きく混ぜながら半熟になったら、火を止めて形を整える。
あっという間にオムレツが出来上がった。
そのオムレツを手際よく先ほどのさらに置いたチキンライスの上にスライドさせてかぶせた。
「みごと!」とタケシは、ぽつりと呟いた。
仕上げに入る。
◇デミグラスソースをかける。
◇生クリーム少したらす。
◇パセリをふる。
完成

「ほれ!タケシさん出来たよ。オムライス、食べてみな?」
「ありがとうございます。いただきます。」
やっぱり、旨い、ありきたりの味だけど何度でも食べられる味だ。
この味を選んで間違いない。
それにしても本当に飽きない味だ。
あぁ~旨い!
そんなことを思いながらタケシは一気にオムライスを食べた。
「ごちそうさまでした。」
「あぁ、気に入ってくれて私もうれしいよ。」
それから、しばらく谷口さんとわたいもない話、経営につての話、家族の話などをして深くお礼を言ってタケシは店を後にした。
店をでるなり急いでカフェ「Branch tip」に向かった。
この興奮をどうしてもミドリに話したくて仕方なかったのだった。
つづく。
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