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オムライス誕生物語2【カフェ「Branch tip」】

タケシは急いでカフェ「Branch tip」に戻ってきた。
お店には妻のミドリが片付けの作業をしていた。
「どうしたの、はぁはぁ息を切らしてタケシ君、いい店でもあったの?」

「そうぅ...。」急ぎすぎたせいかタケシは思うように言葉がでなかった。まずは落ち着こうと水を一杯飲んだ。

「ふぅ~。」とタケシは心を整えた。

「ミドリ、あったよ、俺たちが探していたオムライス!いや~うれしくて急いで帰ってきたよ。」

「えぇ!ほんと。よかったねタケシ君。」

「あぁ本当に良かったよ。どうしても直ぐにミドリに食べてもらいたくてさぁ、そこの店主の谷口さんから食材も少し分けて頂いたから早速作っていい?」

「だれ?谷口さんって?」

「オムライスのレシピをくれた俺のオムライスの師匠かな。作りながら谷口さんの事を話すよ。」

それから、タケシは、谷口さんから頂いたレシピをもとにオムライスを作り出した。

「谷口さんってどんな人なの?」

「あぁ、谷口さんはあの町の洋食屋の主人なんだけどね、お年は70代後半って感じで、今年でお店もやめてしまうと言っていたよ。」

「そうなんだ、年齢的にきついのかな。」

ミドリと会話をしながらタケシは、谷口さんから頂いたレシピのメモを見ながらチキンライスを作り出した。

「でね。ミドリ、このオムライスにも谷口さんの思い入れがあってね。谷口さんの奥さんと一緒にオープンの頃から施行錯誤を繰り返してたどり着いたオムライスなんだよ。」

「へぇ~。谷口夫妻の愛の結晶みたいなオムライスなんだね。奥さんはどうしたの?」

「数年前にお亡くなりになったみたいだよ。それから一人で切り盛りしてきたんだろうけど、ここら辺が潮時かなぁ~とも言っていたからね。二人でやってきたお店を守りたい思いもあるだろうけど体力的にもきついのかもね。」

「おっと、ミドリこのオムライスのポイントをだけどさ」

「なになに?」

「じゃじゃ~ん。谷口さんの奥さんの特製手作りマヨネーズ!」

「この手作り特製マヨネーズが味の決め手なんだってさ、こればかりは谷口さんも言葉でしか教えてくれなかった本当に思い入れのあるレシピなんだろうね。」

「そうかぁ~。手作り特製マヨネーズが味の決め手だったんだね。」

そうこう言っているうちに谷口さんから教えて頂いたオムライスが完成した。

「ほら、ミドリ食べてみて?」

オムライス

「うぁ~。おいしそうじゃないタケシ君」

「でしょ。ミドリ、さっ、温かいうちに食べてよ。」

ミドリは、早速出来立てのタケシが作ったオムライスを一口食べた。
「いただきます。」

「どう?ミドリ?」

「わぁ~やっぱり見た目通りね。懐かしさを感じさせる味わいね。
ふわふわの卵と硬い卵のちょうど中間くらいの卵の硬さが、さらに懐かしさを感じさせるしね。
少し甘めのデミグラスソースが美味しそうに卵にかかっているのも美味しさを引き立たせているわね。
そして、忘れていけないのがチキンライスにも感じるコク、オムレツにも同じコクを感じるの。
さっきタケシ君が話してくれていた谷口さんの奥さんの手作り特製マヨネーズの味なんでしょうね。
デミグラスソースにも入っているかな...。
この素朴なオムライスでありつつ、美味しさがあり、どこにも無い、毎日でも食べれるオムライス…
本当に美味しいオムライスよね。
まさにタケシ君が追い求めてた味じゃないの?」

「そうなんだよミドリ。興奮して谷口さんに今日レシピを聞いてしまうくらい追い求めていた味なんだよ。分かってくれて嬉しいよ。」
そう言って、タケシもオムライスを一口食べた。

「うん。悪くない。美味しい。でも、やはり谷口さんのオムライスのほうが美味しいね。」

「谷口さんのを食べたことは無いけど、タケシ君が作ったこのオムライスもものすごく美味しいよ。」

「ありがとうミドリ。でも、やはりこのオムライスに込める想いの違いがあるんだろうね。」

「それは仕方ないわ。ゼロからこの味のオムライスを谷口さん夫婦で気付き上げたんだから…そこは勝てないわ。」

「だよね。谷口さんに、このレシピを譲り受けるにあたり言われたことがあるんだ。」

「なんていわれたの?」

「谷口さんから、こう言われたんだよ。『カフェ「Branch tip」に谷口さんの味のオムライスをそのままで出しても面白くもない。タケシさんの想いも入らない。必ずタケシさんのお店に出すときは何かしらのタケシさんの想いを込めたオムライスにすると約束してくれ。』そう言われているんだよ。」

「想いを込めろ...。ということか。」

「そうなんだよ。想い、この谷口さんから頂いたレシピに俺とミドリの想いを込めたオムライスにしなければならないだよ。」

「いいじゃん!タケシ君と私の想いをいっぱい込めてオムライスをうちの店、カフェ「Branch tip」の味にしようよ!」

「よし、がんばるかミドリ!」

「うん。がんばろうタケシ君!」

そうして、カフェ「Branch tip」の想いが入ったオムライスの開発をタケシとミドリはすることにした。

つづく。


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