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過酷!絶滅生物の本を出すことになった話①依頼篇

はじまりは、いつもポローン。

ポローン。gmailにメールが来ると、この音が鳴る。重たい仕事も、比較的楽な仕事も、例外なくこの音から始まる。しかし、同じポローンでも、ダントツに重たい仕事がある。

…“本”、
つまり著作を出す仕事だ。

この場合の著作は、著作者の私に印税が入る本を指す。

私はイラストレーターなので、出版関係では、これまでに図鑑、児童書などの“イラスト”を担当してきた。例えばこのような本だ。

このような本の場合、文章はライターさんが書き、イラストは他のイラストレーターさんと分担というケースが多い。なので、表紙に名前が載ることは少ないし、ギャラは基本的に、1カットいくらで、変更・追加などで多少加算されることがある。印税は入らない。

【刷り部数印税】…出版社が本を刷った分だけ支払われる印税。例えば初版で1万部なら、本を刷った時点で印税(3〜10%ほど)が発生する。万が一、本が1000冊しか売れなくとも、著者には1万部分の印税が支払われる契約で、現在多くの出版社が採用している主流の方法。重版が決まれば、部数によって追加の印税が発生する。

https://www.gentosha-mc.com/column/royalty/

しかし、たまにイラストのみではなく、

・タイトル
・台割
・イラスト&漫画(ネームから仕上げまで)
・カバーデザイン

にまで関わる本を出す誘いが来ることがある。テーマだけは決まっていて、そこに肉付けをしていく本。これが著作になる。過去に出した著作は以下の5冊。

最初に出した本が2019年なので、2023年まで、ほぼ年1冊ペースで出している。テーマは、

・侵略的外来種
・オリンピック史
・人類史
・毒性生物
・危険生物

おかしい。他のイラストレーターが、

・イラストレーターになるには本
・イラストに関するお金の本

などを出している中、なぜ生き物と、歴史の児童書ばかり…最初に出したのが生き物系だったからなのか?だから、後続も生き物系に偏ってしまったのか?…しかし、頼まれたら断りきれないし、うぅ〜んと、悩んでいた2024年2月頭。

ポローン…、梅の花が咲き出す頃、スマホから例の音がこぼれてきた。

ある企画が持ち上がっている

メールを送ってきた相手は、私の処女作である『侵略!外来いきもの図鑑 もてあそばれた者たちの逆襲』の編集だったF氏だ。彼が、SNSの大海から私を見つけ出さなければ、1冊目以降の本も世に出ることはなかっただろう。言わば、始まりの人だ。メールの内容は、かいつまんで言えば以下の通りである。

決定ではないが、来年(2025)の秋刊行をめどに、「人類が出現してから絶滅した生物」にスポットを当てた本を出そうという話が社内で持ち上がっている。そちらに余力があるなら、1冊まるっとお願いしたい。検討してほしい。

“人類が出現してから絶滅した生物”の本。…なるほど。1冊目の侵略的外来種の本を出した際、外来種問題を引き起こしている原因は、人間の身勝手さであることを痛感した。人というのは何と“業”の深い生き物なのだろうと。人間は、現在進行形でやらかしまくっている。人類が出現してから絶滅した生物。いや、絶滅させた生物の本ならば、そんな“やらかし”の集大成になること間違いなしだ。興味深い。

そもそも私はイライラしていた。現在出ている児童書イラスト生きもの本では、ステラーカイギュウは優しすぎて絶滅した。ドードーはのんびり屋すぎて絶滅したと、彼らに問題があったかのように紹介されている本が少なくない。

そうではないだろう。

ステラーカイギュウは人間が狩り尽くし、ドードーも人間が持ち込んだネコなどの外来種の影響がなければまだ生息していた可能性はゼロではない。人間の責任を全く説明しないのはおかしいと常々思っていた。このタイミングで絶滅本の話。渡りに船である。

しかも、刊行は来年の秋。1年以上時間があるではないか。今まで出した本に比べればスケジュール的にもかなり余裕がある。久しぶりの著作だし、やらない理由はない。

よし、受けよう。
かくして、新刊本の企画がスタートしたのだった。

だが、この時の私はまだ知らない。翌年、2025年の夏。地獄の苦しみを味わうことになることを。

「次回、第2話。始まらない作業。」

ご期待ください。

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