寅さんは、光る君!? 「男はつらいよ」昭和の源氏物語説
食わず嫌いしてた映画『男はつらいよ』
本日8月27日は、昭和44年(1969年)に映画『男はつらいよ』第1作が公開された日ということで、#男はつらいよの日 。です。
『男はつらいよ』
映画大好きなのですが、一本も観たことありませんでした。
キャラと、メロディーと、あの有名な口上と、なんか柴又の団子やが実家で、よく恋をしてはフラれているテキ屋のおじさんで、妹の名前がさくらってことぐらいを、断片的に知ってる程度で、映画1作を1本フルで見るということをしていませんでした。
あと正直、『男はつらいよ』ってタイトルがもう、何かすごく昭和感というか、前時代的価値観な映画っぽく見えて、完全に食わず嫌いしてたんですね。

しかし、松竹さんから 『男はつらいよ』 55周年プロジェクト の一環として、図解寅さんのお仕事をいただき、少しずつこのシリーズを観てきて、この映画が何故こんなに愛され、何十年も続いてきたのか、10作目あたりからようやくその謎が解けた気がしました。
この映画は、『男はつらいよ』ってタイトルを謳いながら、女性の生きづらさを描いた映画だったのです。
女だってつらいよ
寅さんは、毎回マドンナに恋をします。しかし、そのマドンナは、その多くが悩みを抱えています。
あるマドンナは女性が一人で生きていくということ、あるマドンナは結婚して夢を諦めるということ、あるマドンナは信じていた男性に裏切られたということ、舞台は昭和から平成ですが、どのマドンナも令和の世にも共通する悩みを抱えています。


『男はつらいよ』というシリーズは、女性が生きていく中、家庭や社会で、で直面する様々な生きづらさを、毎回別のマドンナに当てはめ、寅さんというレンズを通して、物語に落とし込んでいる凄い作品だったのです。
#食わず嫌いしてた映画
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タイトルがもう『男はつらいよ』だし。いや、つらいのは女性もだし、THE昭和の映画というイメージが先行して食わず嫌いしてたけど、様々な女性の生きづらさをマドンナに当てはめ、寅さんを軸に物語に落とし込んでいて凄いシリーズなのだと気づいた。https://t.co/Tfo0ytXnYN pic.twitter.com/oZcKzGv3Gi
という旨の内容のポストをしたところ、予想外の角度のリプをいただきました。
「男はつらいよ」は、昭和の源氏物語
先ほどのポストに対して、「寅さんは、昭和の源氏物語だったのでは?」と連想する方が、何人も現れたのです。目から鱗が土石流でした。
・主人公は惚れっぽい男
・たくさんの女性に恋をする
・女性は皆悩みを抱えている
・大長編
確かに、惚れっぽい男性を狂言回しとして、様々な女性の苦悩を描いているあたり、正に源氏物語です。
一点だけ違うのは、全然二枚目ではないことと、ぐいぐい好き好きアピールする割に、いざ向こうが振り向くと及び腰になって全力で逃げる。という点です。どっかの平安の色男と違って、寅さんは、いくら惚れても、惚れられても絶対にマドンナに手を出しません。
フーテンという身の上なので、責任から逃げ出してしまうのです。
勝手に惚れて、好き好きアピールするけど、いざ女性が振り返ったら逃げる。非常に傍迷惑なおじさんです。甥っ子の満男もその点を指摘しています。しかし、全くスケベ心を感じさせないので、カラッとしているのが寅さんの魅力です。

そういえばシリーズ後半で準主人公が登場するのも、源氏物語との共通項ですね。寅さん篇(1〜41)が源氏物語本編、満男篇(42〜50)が宇治十帖といった感じでしょうか。
寅さんは、実はモテる
いや、でも光源氏はモテるけど、寅さんはモテないでしょw。という意見もあるかと思います。たしかに、勝手に好きになって、しょっちゅう会いに行ったりしたあと、相手に想い人がいたり、全くその気がないことがわかり、告白などしないまま勝手に失恋します。基本的に振られるというより、振られる以前に勝負に出ていないのです。
しかし、モテないというわけではありません。実はメッチャモテます。しかも、マドンナの方が寅さんにぞっこんというケースが少なくありません。例えば、この4人などは完全にそのパターンです。




特にシリーズ後半は。この傾向が顕著に出ます。


リリーに至っては、もはやソウルメイトの域に達しているでしょう。
『男はつらいよ』マラソン完走
毎週1本のBS放送に合わせて、昨年の10月から続けてきた図解寅さんですが、先週(8/23)の放送で第44作が放送され、残りわずかです。こちらは、イラストを先に納品しなければならないので、すでに観終わりました。『男はつらいよ』シリーズ全50作完走です。
この大長編感もまた、源氏物語的なのかもしれません。どちらも、終わり方がフワッとしてるし、主人公の明確な死が描かれません。はっきりとした死の描写がなく、不在によって語られるという形式もまた似ています。
一年間非常に長い道のりでした。映画好きでもなかなか『男はつらいよ』全作見たという人は少ないと思うので、結構な達成感があります。しかも、全作のマドンナとハイライトをイラストに描き起こすなどという仕事をした人間は他にいないでしょう。
しかし、そのおかげで『男はつらいよ』≒『源氏物語』という発見にたどり着きました。これもまた人生の財産です。
HDリマスター版がAmazonプライムビデオで見放題配信中なので、まだ、ご覧になっていない方は一度見ていただけるといろんな発見があると思います。
それでは、読んでいただきありがとうございました。
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