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【ARMY目線】高裁での抗告棄却理由を和訳し、裁判の行方を考えた【ADOR vs NewJeans】


【追記:2025/10/30】NewJeans vs ADORの専属契約確認訴訟の判決が出たので、「その後の展開(2025/10/30時点)」を追加

2度目の調停が不成立になりましたね

HYBEとミン・ヒジンが大金を巡る株主間契約で戦ってる裏で、ADOR vs NewJeansによる2度目の調停があっさり不成立になりました。後は判決を待つだけですね。

私は去年からこの案件をウォッチしていますが、NewJeansに関しては仮処分申請で訴えが退けられた後、新しい展開や証拠が提出されていないので、おそらく判決自体も仮処分での判断に準じたものになるのではないかと思われます。
要するに、NewJeans側の全面敗訴です。

仮処分申請の一審判決は和訳して読んでみたのですが、高裁での抗告棄却理由はニュース記事で拾い読みしていただけだったので、この機会に読み直してみようかなと思い立ちました。
ミン・ヒジンの裁判にも影響するでしょうしね。

やり方は前回で学習したので、行けそうな気がします。何でも経験値を貯めるとレベルアップするものですねw

長すぎるため、「和訳要約→和訳」の順で貼っておきますね。
ちょっと前提説明が長いです。急いでる人は目次から飛んでください。

現在の状況:ADOR vs NewJeans

  1. NewJeansがADORの契約違反を理由とし、一方的に専属契約の解除を宣言した

  2. ADORは、専属契約は有効だと確認するため、裁判を起こした

  3. NewJeansが判決を待たず独自活動を始め、広告契約を結ぼうとした

  4. ADORはこれを防ぐため、判決が出るまでの暫定措置として「自分たちがNewJeansの事務所であることを認め、勝手に広告契約を結ぶことを禁止してください」と仮処分を申請した

  5. NewJeansは「NJZ」を名乗り、新曲を予告し、新たな事務所を匂わせ、香港でのコンサート参加を広告した

  6. ADORが仮処分の申請内容を「広告締結禁止」から芸能活動全般に拡大した

  7. 仮処分申請の結果が出、ADORの言い分が全面的に認められた

  8. NewJeansは香港コンサートで「NJZ」のグッズを売り、ミン・ヒジンプロデュースの新曲を発表し、活動の一時停止を宣言した

  9. NewJeansは高裁に抗告したが棄却され、仮処分決定が確定

  10. 裁判所は調停を命じ、NewJeansにも出席を求めたが、1度目の調停は不成立(ミンジとダニエルが出席)

  11. 2度目の調停も不成立(NewJeansは出席せず、20分で終了)

  12. 次の法廷(2025/10/30)で判決が出る見通し

要するに、
①でNewJeansが「もう信頼がないから契約破棄」と言い出し、
③でADORが「契約は有効だと確認したい」と裁判に入り、
④~⑦の仮処分ではNewJeansが負け、
高裁に抗告したが⑨で棄却され、
調停も不成立で10月末に判決予定、という流れです。

仮処分ではADORの申請が支持されたため、現状NewJeansはADORを通さない芸能活動をすると、1回につき10億₩(グループ活動だと5人だから50億₩)の罰金が発生する状況です。

和訳について

事件番号は「2025라2421」です。自分で調べたい人は、国立国会図書館の記事を参考にしてください。

置換リスト

元が裁判資料なので、固有名詞が大概伏せてあります。なので、以下のように置換しました。間違ってたらすみません。

  • 債権者=ADOR

  • 債務者=NewJeansメンバー

  • AD=ミン・ヒジン

  • A=ADOR

  • AB=HYBE

  • X=NewJeans

  • AM=ミンジ

  • L=ハニ

  • M=ヘリン

  • N=ダニエル

  • Q=ヘイン

  • AX=Nチーム

  • AG=NJZ

  • AC=SOURCE MUSIC

  • AF=Dispatch

  • AK=BELIFT LAB

  • AH=ILLIT

  • AZ=SMエンターテインメント

2021/11~:ミン・ヒジン
2024/8~:キム・ジュヨン
2025/8~:イ・ドギョン

ADOR CEOメモ

注意書き

これは各種報道や公開された資料を読んだ上での、BTSファンサイドによる和訳や感想であり、法的な正確性は保証しません。
引用する時は、この記事へのリンクを貼っていただければと思います。
※読みやすさ重視のため、一部改行を追加しています。


【全文訳の要約】

ソウル高裁は一審判決を妥当と支持し、NewJeansの抗告を棄却しました。
本訴訟の判決が下されるまで、NewJeansのメンバーはHYBE傘下のADORに所属し、HYBEのマネジメントを受け続ける義務があります。

NewJeansの主な訴えと裁判所の判断

  1. 信頼関係の破綻

    • NewJeans

      • ミン・ヒジンが契約の核心であるにもかかわらず、HYBE / ADORによる不当な監査と解任によって、回復不能なほど信頼関係が破綻した。

    • 高等裁判所

      • メンバーの選抜過程を見るに、ミン・ヒジンは契約の核心とは言えず、むしろ投資とサポートを行ったHYBEこそがそれに当たる。

      • 契約はADORとNewJeans間のもので、ミン・ヒジンの在職は契約条件ではなく、関係がない。

      • 証拠不十分な「無視しろ事件」や映像流出なども、信頼破綻の理由にはならない。

      • 契約上、NewJeansは感情的な不満だけでは解約できない。

      • ADORは契約履行のため努力しており、信頼関係は維持されている。

  2. 保全の必要性

    • NewJeans

      • 仮処分が認められれば長期の活動空白期間が生じ、回復不能な損害を被る。

    • 高等裁判所

      • NewJeansが一方的に契約を破棄すれば、ADORはこれまでの莫大な投資成果をすべて失い、会社の存続自体が危うくなる。

      • 「NJZ」として海外活動した例もあり、放置するとブランド価値が損なわれる。

      • 活動空白期間は、NewJeansが契約履行を拒否することによって自らが招いた損害であり、ADORが責任を負うべきものではない。

      • NewJeansはADORのマネジメントを受けながら芸能活動を続けることが可能であり、職業遂行や芸術創作の自由は侵害されない。

  3. 結論

    • 高等裁判所

      • 裁判の判決が出るまで、NewJeansはADORの管理下に置き、独自活動は禁止するのが妥当。

      • 一審での決定は正当であり、抗告は棄却する。


【全文訳】

(音色:冒頭の関係者リストは割愛)

主文

本件抗告を全て棄却する。
抗告費用はNewJeansメンバーが負担する。

申立ての趣旨および抗告の趣旨

1. ADORの申立ての趣旨

ADORとNewJeansメンバーの間の「ソウル中央地方裁判所(2025카합20037)企画会社地位保全および広告契約締結等禁止仮処分事件」について、上記裁判所が2025/3/21に下した仮処分決定(以下「本件仮処分決定」という)を認可する。

2. NewJeansらの申立ての趣旨および抗告の趣旨

第一審決定を取り消す。本件仮処分決定を取り消し、債権者の申立てを棄却する。

ADOR:仮処分決定を認めてください
NewJeans:仮処分決定を取り消してください
(仮処分決定=契約についての結論が出るまで、NewJeansはADOR所属と認める)

要するにこんな感じ

理由

1. 第一審決定の引用

NewJeansらの抗告理由は、第一審での主張と大きく異ならない。
現在までに提出された資料と双方の主張を関連する法理に従い検討しても、本件仮処分決定を認可した第一審決定は正当なものとして頷け、裁判結果に影響を及ぼした違法や誤りがあるとはいえない。

これにより、当裁判所が本件について記す理由は、本件仮処分決定20面15行目の「2024/11/29」を「2024/11/19」に訂正し(証拠:第126号を参照)、NewJeansらが当裁判所で強調または追加する主張に関して、下記2項のように当裁判所の判断を追加するほかは、第一審決定および上記決定が引用した本件仮処分決定の理由記載と同じであるため、民事執行法第23条第2項、民事執行規則第203条の3第1項、第203条第1項第7号、第3号に基づき、略語を含めてこれをそのまま引用する。

NewJeansの主張は第一審と大きく変わらないので、裁判所側の結論も変わらない。仮処分決定は妥当。

要するにこんな感じ

2. 当裁判所の追加判断

가.NewJeansらの主張要旨

  1. ADORとその親会社であるHYBEは、HYBE傘下の他の系列レーベル所属アイドルグループらと比べて、NewJeansメンバーを不当に冷遇した。
    NewJeansメンバーはADORに対し、不当な待遇について適切な措置を取るよう幾度も要求したが、ADORはこれに応じなかった。
    特にミン・ヒジンはマネジメントを主導・総括する人物として本件専属契約の核心的な前提であるにもかかわらず、HYBEはミン・ヒジンに対し不当な監査を実施し、ADORはミン・ヒジンを代表理事から解任した。
    これにより、本件専属契約の基礎となるADORとNewJeansらの間の信頼関係が回復不能なほど破綻した。
    それにもかかわらず、芸能人であるNewJeansらに自由意思に反する専属活動義務を強制することは、芸能人の人格を過度に侵害する結果となるため、「大法院2019/9/10宣告 2017 다 258237判決(以下「上記大法院判決」という)の法理<脚注3>」に基づき、本件専属契約はNewJeansらの意思表示により適法に解約された。
    したがって、被保全権利は存在しない。

  2. 本件申立てが排斥され、NewJeansメンバーが独自の芸能活動を行うことが可能になったとしても、これによりADORが被る損害は、NewJeansメンバーらの芸能活動による収益金を得られないという金銭的な損害にすぎない。
    一方、本件申立てが認容される場合、NewJeansメンバーは長期間の空白期間により回復不能な損害を被ることになる。
    また、本件申立てが認容される場合、NewJeansメンバーはADORを通さずには独自の芸能活動ができなくなり、職業遂行の自由ないしは芸術創作の自由を重大に侵害されることになる。
    したがって、本件の本案である専属契約有効確認訴訟の審理が終結するよりも前に、本件申立てを通じてNewJeansメンバーによる独自の芸能活動を禁止しておくほどの保全の必要性も認められない。

NewJeansの主張:
ADORとHYBEが、NewJeansを冷遇し、プロデューサーであるミン・ヒジンを不当に解任したため、信頼関係は回復不能。メンバーの意思表示により、専属契約は適法に解約されている。
裁判所がADORの言い分を認めた場合、NewJeansは活動できなくなり損害を被るが、逆の場合ADORが被る損害は金銭的なものに過ぎない。また、独自活動の禁止は、職業須高の自由や芸術創作の自由を損害する。

要するにこんな感じ

나.「信頼関係の破綻」などに関する判断

1) 本件専属契約の前提ないし基礎事情について

イ)「専属マネジメント契約」とは、所属事務所やマネージャーが芸能人の芸能業務処理に関するサービスを提供し、芸能人は所属事務所やマネージャーを通じてのみ芸能活動を行い、直接または第三者を通じては芸能活動をしない義務を負担することを主な内容とする契約である。
その法的性質は、当該契約の目的、当事者が負担する義務の内容と性格、当事者の地位、知名度、交渉力の差、報酬の支払いや収益の分配方式など、様々な事情を具体的に検討して決定しなければならない(上記大法院判決を参照)。
したがって、ADORとNewJeansメンバーとの間の権利義務関係を規律する本件専属契約の法的性質を正しく把握するためには、その前提となる基礎事情、特にNewJeansらが問題視しているHYBEとミン・ヒジンの地位および役割について具体的に検討する必要がある。

ロ)記録によると、本件専属契約に関連して、以下の一連の前提ないし基礎事情がわかる。

  1. もともとNewJeansメンバーは「Nチーム」という名称の練習生としてSOURCE MUSICに所属していたが、SOURCE MUSICは2018/11/23にミンジとの契約を皮切りに、2019/11/23にハニ、2020/2/3にヘリン、2020/7/16にダニエル、2021/1/19にヘインとそれぞれ練習生契約を締結した。
    特に、ミンジはミン・ヒジンがHYBEに入社するよりも前に既に選抜された状態であり、残りのNewJeansメンバーがSOURCE MUSICの「Nチーム」として選抜される過程にミン・ヒジンが直接関与したという客観的な資料はない。

  2. その後、2021/11/2にSOURCE MUSICのうち「Nチーム」部門の分割が行われ、ADOR(資本金1億ウォン)が設立され、同日ミン・ヒジンがADORの代表取締役に就任した。その過程でHYBEはSOURCE MUSICからADORの株式100%を50億ウォンで買収した。

  3. 2021/11/11、HYBEとADOR、およびミン・ヒジンの3名は、ミン・ヒジンのADOR株式買い付け選択権等を規定した業務協約を締結し、その翌日、HYBEはADORを支援するためにADORと業務委託契約を締結し、HYBEは2021/11/17に追加で100億ウォンを投資してADORの資本金が1億ウォンから101億ウォンになった。

  4. 2022/4/21、ADORとNewJeansメンバーは契約期間7年の本件専属契約を締結し、HYBEは同年7/6に追加で60億ウォンを投資してADORの資本金が161億ウォンになり、NewJeansメンバーは「NewJeans」というアイドルグループとしてデビューし、2022/8/1に第1集アルバムを発売することで空前のヒットを記録した。
    本件専属契約には、ミン・ヒジンの役割に関連して、芸能人がマネジメント会社の特定のマネージャーと業務関係を結ぶことを明示した、いわゆる「キーマン条項(keyman clause)」<脚注4>は含まれていない。

  5. 2023/3/27、HYBEとADOR、およびミン・ヒジンの3名は、契約期間5年の株主間契約と共に、HYBEがミン・ヒジン側にADORの株式20%を譲渡する株式売買契約を締結した。
    しかし、ミン・ヒジンは2023/12頃から上記株主間契約の内容に不満を抱き、その修正を要求する一方、「NewJeans」を連れてHYBEの支配範囲から離脱したり、HYBEを圧迫してHYBEが保有するADORの発行株式を売却させることで、ADORに対するHYBEの支配力を弱め、自身がADORを独立的に支配できる方法を模索した。<脚注5>

ハ) 上記のような前提ないし基礎事情、特にNewJeansメンバーの選抜過程にミン・ヒジンが直接的に関与した資料がない点、ミン・ヒジンが「NewJeans」のデビューまで関与した公式的な期間は2021/11/2から2022/8/1までで、それほど長くない点、ミン・ヒジンがADORの代表取締役としてNewJeansメンバーと本件専属契約を直接締結したにもかかわらず、本件専属契約には自身のマネジメントに関するいわゆる「キーマン条項(keyman clause)」が含まれていない点、HYBEとミン・ヒジン等が締結した株主間契約の期間は5年であり、本件専属契約の期間7年と一致しない点などから見ると、ミン・ヒジンが本件専属契約の核心的な前提であるというNewJeansメンバーの主張をそのまま受け入れるのは難しい。

ニ) むしろHYBEがSOURCE MUSIC所属のNewJeansメンバーを正しく見出し、SOURCE MUSICの分割を通じてNewJeansメンバーだけのための会社であるADORを設立した点、その過程でミン・ヒジンと別途契約を締結してNewJeansメンバーを支援するよう措置したのもHYBEである点、特にNewJeansメンバーのために上記のような巨額を一方的に投資し、業務委託契約を通じてHYBEの有形無形の資源までNewJeansメンバーに支援したのもHYBEであり、これはHYBEが大型事務所であったから可能だった点などから見ると、HYBEは本件専属契約前後の一連の過程を統括しながら、ADORとミン・ヒジン、およびNewJeansメンバーを一体として統合し、大きな成果を成し遂げた、本件専属契約の前提ないし基礎となる核心と見なすのが妥当であり、ミン・ヒジンは現在、このような統合構造の基礎を破壊する立場にあると判断されるに過ぎない。

専属契約の前提や背景についての、裁判所によるまとめ:
この問題には、HYBE vs ミン・ヒジン問題が絡んでいるので、前提として検討する必要がある。

NewJeansは、ADOR設立以前の段階で、SOURCE MUSICによって練習生となっており、ミン・ヒジンは選抜に関与しておらず、デビュー前のプロデュース期間も短い。自身がNewJeansと結んだ専属契約にも、ミン・ヒジンを必須とする条項を入れていない。株主契約の5年と専属契約期間の7年にも関連性はないため、契約の核心人物とは見なせない
むしろ巨額の投資を始めとして多くの支援を行い、レーベルを設立し、デビューを支援してグループの成功を招いたHYBEこそが、専属契約の核心であり、ミン・ヒジンはその構造を破壊される立場にあると判断される。

要するにこんな感じ

2. 本件専属契約の特殊性について

イ)本件専属契約第15条第1項は「本件専属契約の解約または解除は、当事者が契約上の重要な義務に違反した場合にすることができる」と定めており、第2項は「両当事者は、ADORがNewJeansメンバーの芸能活動のために長い時間と相当な費用を投資し、このような投資費用および期間を考慮して契約期間を定め、既存の専属契約破棄事例に照らしてみると、NewJeansメンバーが契約期間を遵守せず、これを一方的に破棄した場合、ADORは残りの契約期間中、投資費用を全く回収できないなど、回復不能な大きな損害を被りうることを理解し、認める」と明記しており、「NewJeansメンバーが契約期間中に本件専属契約を一方的に破棄したり、一方的に破棄する目的で契約上の重要な内容に違反した場合には、NewJeansメンバーがADORに対し、損害賠償とは別に、契約解約日基準直前2年間の契約期間中、実際に売上が発生した期間の月平均売上額に残りの契約期間月数を乗じた金額を違約罰として支払う」と定めている。

ロ)アイドルグループとしての芸能活動の特性上、NewJeansメンバーのデビューのためにはADORの莫大な投資、支援、教育・訓練などが必要であり、ADORの上記のような投資などは、NewJeansメンバーがデビューした後、NewJeansメンバーの認知度、評判および芸能活動などを通じて初めて結実する。
NewJeansメンバーが本件専属契約から任意に離脱して独断的な芸能活動をするようになった場合、ADORはこれまでの投資成果を全て喪失するという深刻な不利益を被る一方、NewJeansメンバーはADORを完全に排除し、今後の芸能活動を通じた全ての成果を事実上独占的に享受できるという不合理な結果がもたらされる。

ハ)これに対し、本件専属契約は、契約の解約事由を「当事者が本件専属契約上の重要な義務に違反した場合」に限定しており、NewJeansメンバーが任意に契約を解約する場合、ADORに損害を賠償することに加えて巨額の違約罰を支払うことに定めているなど、契約の拘束力を確保するための条項を設けており、両当事者は、大手事務所を通じたアイドルグループ育成過程の特殊性などに関する相互間の認識と了解を基に、「ADORがNewJeansメンバーの芸能活動のために多くの費用を投資しており、NewJeansメンバーが本件専属契約を任意に破棄した場合、ADORに回復不能な莫大な損害が発生しうることを理解し、認める」という協議事項を本件専属契約の内容に特別に編入し、その趣旨を本件専属契約第15条第2項に明示的に含めている。
当事者が本件専属契約で契約の拘束力を確保するための条項を設けるだけでなく、契約の拘束力について特別に定めることになった動機や経緯までも契約の内容に編入し、これを契約条項に明示したことは、一般的な専属契約では見られない特殊な形態であり、これは前述の通り、前提ないし基礎事情がそのまま反映されたものであるため、「本件専属契約の拘束力」に関する当事者らの意思は最大限尊重されなければならない。
したがって、本件専属契約の契約期間中は、ADORが本件専属契約の重要な義務に違反したか、または本件専属契約の土台となるADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係が回復不能なほどに破綻しない限り、NewJeansメンバーは自身の主観的な事情のみを挙げて契約を一方的に破棄したり、契約関係から任意に離脱することはできないと見なすべきである。

ニ)NewJeansメンバーは、ADORが一方的に作成した契約書に署名したため、第15条第2項の内容、特にNewJeansメンバーが本件専属契約を一方的に破棄した場合、ADORが回復不能な大きな損害を被りうるという点をよく認識していたとは見なし難いという趣旨の主張をしている。<脚注6>
しかし、前述の通り、本件専属契約の具体的な締結経緯に照らしてみると、上記の主張はそれ自体では受け入れられない。

ホ)NewJeansメンバーは、上記大法院判決を挙げて、芸能活動に関する専属契約においては、契約を解約するために当事者相互間の信頼関係が破綻する必要はなく、当事者相互間の信頼が毀損されれば一方が契約を解約できるものとして緩和して解釈すべきだと主張する。
しかし、本件専属契約は、ADORがNewJeansメンバーのデビューのために莫大な投資と支援をしたことを考慮し、契約の拘束力を強化する趣旨の規定を設けており、当事者らがそのように約定することになった動機ないしは経緯までも第15条第2項に特別に表示されているが、上記大法院判決の事案<脚注7>はそのような場合ではないため、上記大法院判決の具体的な事情や芸能人側が勝訴したという結果まで本件にそのまま援用することはできない。
また、上記大法院判決の事案とは異なり、本件専属契約においては、当事者間の信頼関係が毀損されたと見なせる事由が存在すると見なし難く、上記大法院判決の法理によったとしても、専属契約の基礎となった当事者間の信頼関係が毀損されていないにもかかわらず、一方が主観的な事情のみを挙げて専属契約を一方的に破棄できるわけではない。
上記の主張には理由がない。

ヘ)NewJeansメンバーは、本件専属契約第15条第2項が一般的な芸能活動専属契約と異なり、契約の拘束力を強化して定めたことは、法律に基づく顧客の解約権を排除したり、その行使を制限する条項に該当したり、顧客に不当に不利な条項に該当するため、約款の規制に関する法律(以下「約款法」という)第6条、第9条、民法第103条、第104条に反して無効であるという趣旨の主張もしている。
しかし、ADORとNewJeansメンバーは本件専属契約の個別条項に対する交渉過程を経て本件契約を締結したため(訴甲第75, 76号証参照)、本件専属契約が約款法の規律対象である「約款」に該当すると見なすのは難しく(大法院2014/6/12宣告 2013다214864判決等参照)、本件専属契約が「約款」に該当すると仮定しても、NewJeansメンバーは前述の通り、ADORがNewJeansメンバーのデビューおよび芸能活動のために多くの努力と投資をしたことを認め、了解して、NewJeansメンバーがデビューした後、少なくとも7年の期間はできる限り本件専属契約を維持するという条項を契約の内容に編入することに同意した点、本件専属契約第15条によったとしても、ADORが本件専属契約上の重要な義務に違反した場合にはNewJeansメンバーが本件専属契約を解約できるため、上記条項がNewJeansメンバーの解除権または解約権の行使を排除しているわけでもない点などの諸般の事情を考慮すると、本件専属契約第15条第2項が約款法第6条、第9条または民法第103条、第104条に違反して無効であると見なすことはできない。
上記の主張にも理由がない。

ADOR/NewJeans間の契約書には、以下が定められている。
 ・契約上の重要な義務違反を犯した場合は、契約解除できる
 ・ADORは巨額の投資をしており、もし契約が一方的に破棄された場合は回復不能な損害を被ることを理解し、認める
 ・一方的に解除した場合は、普通の損害賠償とは別に「違約金(直近2年の平均売上×残り契約期間の月数」を支払う

NewJeansは「契約内容を十分理解していなかった」「他の判例では、信頼破綻が解約理由になった」「この条項は不公平で法律違反だ」と主張した。
しかし、この契約は普通のアイドル契約よりも特別に拘束力を強める形で合意されており、メンバー側も同意していたと認められる。
ADORが約束を破った場合は解約できる余地もあり、NewJeansの主張は認めない。

要するにこんな感じ

第15条(契約内容の変更)
本契約内容の一部を変更する必要がある場合は、事務所とアーティストの書面合意により変更することができ、その書面合意で別に定めがない限り、変更された事項はその合意があった時から効力を有する。

「【ARMY目線】標準専属契約書を和訳して読んでみた【K-POP】」
(契約内容の変更には、事務所とアーティストとの合意が必要、というのが基本内容。
ADORとNewJeansはそこに追加条項を設けていた様子)

3. ミン・ヒジン関連の破綻事由について

イ)NewJeansメンバーはSOURCE MUSIC所属の練習生として選抜されただけで、NewJeansメンバーの選抜にミン・ヒジンが直接的に関与したようには見えず、ADOR側とNewJeansメンバーが本件専属契約の詳細な事項を交渉する過程でも、NewJeansメンバーのプロデュースを必ずミン・ヒジンが専担しなければならないといった事項は全く言及されておらず(訴甲第75, 76号証参照)、本件専属契約のどこにもミン・ヒジンがADORの代表取締役に在職しなければならないとか、ミン・ヒジンがNewJeansメンバーのプロデュースを統括しなければならないという内容は記されていない。

ロ)HYBEがミン・ヒジンに新規ガールズグループのプロデュースを提案すると共に、新規法人であるADORを設立してミン・ヒジンがその代表取締役職を5年間務めることになったにもかかわらず、ミン・ヒジンがADOR設立日から5年が経過する前にADOR代表取締役職から解任されたのは事実である。
しかし、ミン・ヒジンが2023/12頃からHYBEとの株主間契約の内容に不満を抱き、その修正を要求する一方、「NewJeans」を連れてHYBEの支配範囲から離脱したり、HYBEを圧迫してHYBEが保有するADORの発行株式を売却させることで、ADORに対するHYBEの支配力を弱め、自身がADORを独立的に支配できる方法を模索することで統合構造の基礎を破壊したという点は前述の通りであるため、上記のような事情はミン・ヒジンが自ら招いたものに過ぎない。

ハ)また、本件専属契約の当事者は「芸能企画会社であるADORと芸能人であるNewJeansメンバー」であるため、「HYBEのミン・ヒジンに対する措置」が「ADORのNewJeansメンバーに対する措置」と同一視されることはできない。
すなわち、HYBEがミン・ヒジンがADORの経営権を奪取しようとする情況を捉え、2024/4/20頃、当時ミン・ヒジンが代表取締役に在職していたADORに対する監査を実施し、2024/8/27頃、ミン・ヒジンをADOR代表取締役職から解任したのは、ADORの経営権などを巡って発生した「HYBEとミン・ヒジン間の葛藤」による事情に過ぎないため、これをもって本件専属契約が基礎とする「ADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係」が破綻したと見なすことはできない。

ニ)さらに、ADORはミン・ヒジンがADOR代表取締役職から解任された直後から、ミン・ヒジンに本件専属契約の終了日までNewJeansメンバーのプロデュースを引き受けてくれることを繰り返し提案したが(訴甲第77, 78, 83号証、訴乙第332号証)、ミン・ヒジンは2024/10/17付株主総会でADORの社内取締役に再び選任されもした(訴甲第188号証)。
それにもかかわらず、ミン・ヒジンはADORの提案を全て拒否し、2024/11/20頃には自らADOR社内取締役職から辞任した。
ADORとミン・ヒジン間の交渉が決裂した後も、ADORはNewJeansメンバーのプロデュースを担当する新しいプロデューサーを積極的に物色し、一部のプロデューサーはADORに対し、NewJeansメンバーのプロデュースを担当する意向があることを具体的に示したりもした。
ADORがNewJeansメンバーに対するプロデュース義務を放棄したことが認められる場合には、NewJeansメンバーが本件専属契約を解約する余地があるだろうが、本件においては、ADORがNewJeansメンバーに対するプロデュース義務を放棄したという事実が疎明されていない。
ミン・ヒジンがADORの上記のようなプロデュース提案を拒否する状況で、ADORがNewJeansメンバーのプロデューサーを招聘するために積極的な努力をしたにもかかわらず、NewJeansメンバーがミン・ヒジンだけを固執する事情によって「ADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係」が破綻したと見なすことはできない。<脚注8>

ホ)NewJeansメンバーは、ミン・ヒジンがNewJeansメンバーのプロデュースを担当できなくなり、本件専属契約と関連した重大な「事情変更」が発生したため、NewJeansメンバーが本件専属契約を解約できるという趣旨の主張もしている。
検討すると、契約成立の基礎となった事情が著しく変更され、当事者が契約の成立当時、これを予見できなかった場合、そしてそれによって契約をそのまま維持することが当事者の利害に重大な不均衡をもたらしたり、契約を締結した目的を達成できない場合には、契約遵守原則の例外として事情変更を理由に契約を解除または解約することができる(大法院2017/6/8宣告 2016다249557判決等参照)。
そして、ここでいう事情とは、契約の基礎となった客観的な事情であり、一方当事者の主観的または個人的な事情を意味するものではない(大法院2007/3/29宣告 2004다31302判決等参照)。
上記のような事情変更の原則は、合目的性(合目的性)を追求するものであり、法的安定性(法的安定性)を追求する契約遵守の原則を信義則に基づき例外的に矯正するものである点、ミン・ヒジンは本件専属契約成立の基礎となった客観的状況と言えるが、その役割などが本件専属契約の核心的な前提となると見なすのは難しい点、特にミン・ヒジンが前述の通り、本件専属契約の前提となった統合構造を意図的に破壊している現在の状況で、NewJeansメンバーがミン・ヒジンの立場に同調することは、本件専属契約成立の基礎となった客観的状況の予見できない変更に該当すると到底見なせない点(むしろそのようなNewJeansメンバーの主張は事情変更の原則の根拠である信義則に反するものと見られるに過ぎない)、その他にNewJeansメンバーが掲げる残りの事情は、後述するようにほとんどが主観的な事情に近いものである点、これらを全て考慮しても、本件専属契約の内容通りの拘束力を認めることが当事者の利害に重大な不均衡をもたらしたり、契約を締結した目的を達成できない場合に該当すると見なすことはできない点などから見ると、本件には事情変更の原則を適用するものではない。

契約条件に、ミン・ヒジンによるプロデュースや在職は含まれていない。契約はあくまで、ADOR/NewJeans間のものである。
ADORはミン・ヒジンにプロデュースを打診し、新しい人材を探していたため、マネジメント義務を怠ったとは言えない。
ミン・ヒジンの解任は彼女の離脱行動が原因であり、自業自得と見なされる。また彼女自身が契約の前提となった統合体制を壊した側でもあるため、これを事情変更の理由にするのは認められない。
むしろミン・ヒジンに同調するNewJeansメンバーの主張は信義則に反するものと見られるし、その主張に事情変更を認めさせる説得力はない。

要するにこんな感じ

4. その他の破綻事由について

イ) NewJeansメンバーは、HYBE傘下の他の系列会社であるBELIFT LAB所属のアイドルグループILLITのメンバーの一部がハニとすれ違ったにもかかわらず挨拶をせず、ILLITのマネージャーがハニの隣を通り過ぎながらILLITメンバーらに「(ハニを)無視しろ」と発言し、HYBEのPR担当職員AVがNewJeansメンバーの成果を貶め、「NewJeansメンバーがミン・ヒジンによって操られている可能性もある」といった発言をしたにもかかわらず、ADORが適切な対応をせず、ADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係が破綻したと主張する。
しかし、NewJeansメンバーのアイドルグループの後輩であるILLITのメンバーらがハニに挨拶を適切にせずに通り過ぎたとか<脚注9>、ADORの親会社であるHYBEのPR担当者が新聞社記者との通話過程で「NewJeansのアルバム販売量は思ったより多くはない」という発言をしたとか、「NewJeansがADORから離脱しようとする背景にはミン・ヒジンの指示があるのではないかと疑われる」という趣旨の発言をしたという理由で、本件専属契約の基礎となる「ADORとNewJeansメンバーとの間の信頼関係」が破綻したと評価するのは難しい。
むしろ現在までの資料だけでは、ILLITのメンバーらがハニを意図的に無視したとか、ILLITのマネージャーが上記のような発言をしたことが疎明されたとは見なし難い点、「無視しろ」事件に関して、ADORは2024/9/24頃、ILLITの所属事務所であるBELIFT LABにILLITのマネージャーとの面談などを要請し(訴甲第105号証)、2024/9/25頃および2024/10/8頃、NewJeansメンバーに「事件の解決のために絶えず努力しているが、事実関係が明確に確認されていない状態でBELIFT LABと積極的に攻防を繰り広げるのは適切ではないと判断されるため、まずはNewJeansメンバーの他のアーティストとの接触を最小限に抑えるようにし、マネジメントチームが常に同行するように措置する」という内容を説明し(訴甲第101号証、訴乙第124号証)、2024/11/27頃にはADOR名義でNewJeansメンバーの立場を代弁する立場文を掲示した点(訴乙第126号証)、「HYBEのPR担当者発言」事件に関して、ADORは上記発言を認識するやいなやHYBEに抗議し(訴甲第111, 114, 117号証)、HYBEから社員の教育、当該担当者の「NewJeans」PRからの排除など再発防止措置を約束された点(訴甲第112, 118号証)、ADORはHYBEが「無視しろ」事件と関連したCCTV映像を保管しなかった行為とHYBEのPR担当者が上記各発言をした行為に対して告訴ないし告発を進める案などを検討もしたが、告訴ないし告発は実効性が非常に低いと判断されるという趣旨の法律事務所の助言(訴甲第107号証)および所属事務所であるADORが告訴ないし告発に踏み切った場合に芸能人であるNewJeansメンバーの評判や名声に与える影響などを考慮し、告訴ないし告発手続きを進めなかったように見られる点などを考慮すると、ADORは上記各事件に関してNewJeansメンバーを保護するために当時の最善の措置を講じたと見なすことができる。

ロ) NewJeansメンバーは、BELIFT LAB所属のILLITが「NewJeans」の「コンセプト」を模倣し、NewJeansメンバーの練習生時代の振り付け練習映像がDispatchを通じて公開されたにもかかわらず、ADORが適切な対応をせず、ADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係が破綻したとも主張する。
しかし、ILLITが「NewJeans」の「コンセプト」を模倣したとか、DispatchがNewJeansメンバーの練習生時代の映像を公開したこと自体は、本件専属契約が基礎とする「ADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係」と直接的な関連性があるとは見なし難い。また、現在までの資料だけでは、ILLITが「NewJeans」の「コンセプト」を全面的に模倣したと断定するのは難しい点、ADOR(当時代表取締役ミン・ヒジン)はNewJeansメンバーの立場を代弁し、Eメールと記者会見などを通じてHYBEとBELIFT LABに対し、ILLITのNewJeans「コンセプト」模倣について抗議し(訴乙第63号証)、ADORは代表取締役が交代した後も2024/11/25頃、HYBEに「NewJeans」の企画案に関連した資料の削除および共有自制などを要請した点(訴甲第73号証)、ADORはBELIFT LABを相手に損害賠償を請求したり、告訴ないし告発などを進める案も検討したが、盗作かどうかが明確に確認されていない状態でそのような措置を取ることは、むしろNewJeansメンバーの活動や評判の妨げになる可能性があるという考慮のもと、BELIFT LABを相手に上記のような措置を取ることを保留したように見える点(訴甲第71号証)、ADORはNewJeansメンバーの練習生時代の映像流出に関してSOURCE MUSICに抗議する一方(訴甲第128号証の1)、Dispatchに数回にわたるEメールなどを通じて上記映像の削除を要請し(訴甲第123, 125, 126号証、訴甲第128号証の2)、オンラインで流布された映像を完全に削除するために法律事務所との別途業務委託契約を締結したりもした点(訴甲第129, 130号証)などを考慮すると、ADORは上記各事件に関してNewJeansメンバーを保護するために当時の最善の措置を講じたと見なすことができる。

ハ) NewJeansメンバーは、ADORが本件第一審の2025/3/7付審問期日でNewJeansメンバーを誹謗する趣旨の陳述を公開的に行い、ADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係を毀損したという趣旨でも主張する。
しかし、ADORは本件本案訴訟の審理が終結するまで、NewJeansメンバーが本件専属契約に違反する芸能活動をすることを禁止しておくために本件申立てをし、上記審問期日でNewJeansメンバーが主張する解約事由が存在しないことを疎明するために「現在としては、芸能事務所であるADORよりも芸能人であるNewJeansメンバーが優越的な地位(いわゆる「甲」の位置)にある」とか、「ILLITのメンバーらがハニを無視して通り過ぎたのか明確に確認されていない」という趣旨の説明をしたに過ぎないため、上記審問期日でのADORの陳述によって、本件専属契約の基礎となるADORとNewJeansメンバーの間の信頼関係が破綻したと見なすこともできない。

ニ) その他、第一審決定が引用した本件仮処分決定の理由のように、NewJeansメンバーが掲げる残りの事由も、信頼関係の破綻を引き起こす事情となるとは見なすことはできない。

NewJeansは「無視しろ」事件や日本でのアルバム販売数訂正を理由に、信頼関係の破綻を訴えたが、証拠は不十分。ILLITやDispatchの件も、直接的に信頼関係破綻の理由とは認められず、いずれもADORは対応している。
裁判中にNewJeansを誹謗したとの主張も、立場の説明でしかない。NewJeansの主張は、信頼関係の破綻理由とは認められない。

要するにこんな感じ

5.「信頼関係の破綻」可否について

イ) 「信頼(信賴)」の事典的な意味は「固く信じて頼ること」である。これは、他人の未来の行動が自身に好意的であるか、または悪意的でない可能性に対する期待と信頼を指し、信頼の構造は情報の不確実性と監視の不完全性を前提とする。
そして、「信頼関係破綻」という法的要件は、「破綻状態」という客観的な事実であり、一方当事者の主観的または個人的な事情や考えを意味するものではなく、破綻を望む希望や破綻を引き起こそうとする意図ないし意欲は、猶更そうではない。

ロ) ADORはNewJeansメンバーのマネジメント会社として、2025年の韓国内ファンミーティングなど、NewJeansメンバーの芸能活動に関連した様々な企画案を検討しており(訴甲第254, 360ないし365号証等参照)、NewJeansメンバーの将来の芸能活動計画などについて議論しようとNewJeansメンバーとの面会を継続して提案しているが、NewJeansメンバーはADORとの疎通を拒否している(訴甲第289号証参照)。
ADORがNewJeansメンバーのマネジメント会社としての義務を忠実に履行しようと努力しているにもかかわらず、NewJeansメンバーが単に特定のプロデューサーを返してほしいとか、ADORに失望したなどの理由を挙げて信頼関係破綻を主張するからといって、破綻状態という客観的事実が認められるわけではない。

ハ) そして、NewJeansメンバーの成功の裏には、ADORの役職員らなど、様々な利害関係人の多くの努力と献身があった(訴甲第235, 256, 356号証、訴乙第46号証各参照)。
NewJeansメンバー自身も、「NewJeans」がデビューするまで多くの人々の努力と支援があったことを理解し、認めて、本件専属契約第15条を通じて本件専属契約が存続する期間中、契約を任意に破棄しないという趣旨の約定をした。
NewJeansメンバーが特定のプロデューサーと芸能活動を共にできなくなったと考えたり、他のアイドルグループと比べて差別待遇を受けていると感じて喪失感や剥奪感を感じたことはありうる。
しかし、本件専属契約を遵守することは、契約当事者であるNewJeansメンバーの当然の義務であり、NewJeansメンバーが上記のような理由を挙げて信頼関係破綻を主張するからといって、破綻状態という客観的な事実が認められるわけでもない。

「信頼関係の破綻」を証明するには、当事者の気持ちだけでなく、客観的な事実が必要である。
ADORの提案を拒んでいるのは、NewJeansである。ADORが契約義務を果たそうとしているのに対し、NewJeansが「ミン・ヒジンと一緒に活動できない」という理由で信頼関係の破綻を訴えても、それは客観的事実とは言えない。
NewJeansの成功には多くの関係者の努力があったことを本人たちも理解して契約を結んでいる以上、主観的な不満や感情を理由に契約を破棄することはできない。

要するにこんな感じ

6. 小結論

上記のような諸般の事情を総合して見ると、NewJeansメンバーが掲げる様々な事由は、本件専属契約と関連して信頼関係の破綻を引き起こすに足る事情に該当すると見なすのは難しいだけでなく、NewJeansメンバーの拒否にもかかわらず、ADORがNewJeansメンバーに対する信頼関係を維持している現在の状況においては、信頼関係破綻という客観的な事実が認められると見ることもできない。
したがって、本件でNewJeansメンバーが契約解約の根拠として掲げる「信頼関係破綻」という法的要件は満たされない。
この部分のNewJeansメンバーの主張には、理由がない。

NewJeansが挙げた理由だけでは「ADORとの信頼関係が本当に壊れた」とは言えず、むしろADORは今も信頼関係を保とうとしている。
そのため、NewJeansの主張は成立しない。

要するにこんな感じ

나. 保全の必要性に関する判断

1. 利害得失の点について

イ) 前述の通り、大手事務所を通じたアイドルグループの育成は、芸能人がデビューするまでには、事務所の全面的な投資、支援、教育・訓練などが要求され、そのような投資などによる成果は、芸能人個人またはグループの認知度、評判、イメージなどを通じて初めて実現する。
NewJeansメンバーが本件専属契約から任意に離脱して独自の芸能活動をするようになった場合、NewJeansメンバーはADORを完全に排除した上で、芸能活動による全ての成果を事実上独占できる一方、ADORはこれまでの投資成果を全て喪失するという深刻な不利益を被る。

ロ) 芸能活動をする上では、大衆の認識と対外的に現れるイメージがかなり重要な要素として作用する。
NewJeansメンバーは2025/3/23頃にも、ADORを排除した上で、「NewJeans」ではなく「NJZ」という名前を使用して香港での海外コンサートを開催したが(訴甲第316, 318, 320号証各参照)、NewJeansメンバーが独自の芸能活動をする状態が放置された場合、大衆に本件専属契約が完全に解約されたという誤った認識を持たせる恐れがあり、「NewJeans」というブランドのイメージもまた深刻に損なわれる余地が大きい。

ハ) ADORの役職員らは、NewJeansメンバーの成功のために絶えず努力してきたように見える(訴甲第235, 256, 356号証、訴乙第46号証各参照)。
NewJeansメンバーは現在までも、ADORに所属する事実上唯一のアイドルグループであるように見え、ADORの売上と営業利益において、NewJeansメンバーの芸能活動が占める比重は絶対的である。
ADORには少なくない役職員らが在職中であるが(訴甲第93号証)、NewJeansメンバーがADORから任意に離脱して独自の芸能活動を続ける場合、ADORは存立自体が危うくなるほど大きな危機に瀕することになり、「NewJeans」と関連する多数の利害関係人が大きな被害を被るように見える。

ニ) NewJeansメンバーは、本件申立てが認容された場合、長期間の空白期間によって回復不能な損害が発生すると主張するが、これはNewJeansメンバーが適法な本件専属契約の履行を拒否することによって発生するものであり、NewJeansメンバー自らが招いた損害に過ぎず、むしろADORがそれに伴う損害を被る。
特にNewJeansメンバーは、ADORのマネジメントを受けなくても海外公演を成功裏に終えたと主張しているが<脚注10>、そのようなNewJeansメンバーがADORのマネジメントを受けながら公演をすることができない理由はない。

アイドルは事務所の投資や教育のもとデビューする。
NewJeansが勝手に契約を離脱すれば、ADORは大打撃を受け会社や関係者全体に損害が及ぶ。実際にNewJeansは「NJZ」という名前で香港公演を行っており、放置すれば「契約が完全に解消された」と大衆に誤解され、NewJeansというブランドの価値も傷つく。
一方、NewJeansが訴える不利益は自分たちの契約違反が原因であり、正当化できない。実際にADORなしでも公演を成功させているのだから、ADORのマネジメントの下で活動できない理由はない。

要するにこんな感じ

2. 職業遂行ないし芸術創作の自由侵害の点について

イ) ADORは本件申立てを通じて、「ADORがNewJeansメンバーのマネジメント会社の地位にあることを確認し、NewJeansメンバーがADORの事前承認または同意なしには芸能活動をしないこと」を求めている。
本件申立てが認容されたとしても、NewJeansメンバーは本件専属契約を遵守しながら芸能活動をすることが可能であり、NewJeansメンバーの職業遂行の自由や芸術創作の自由が剥奪されるわけではない。

ロ) NewJeansメンバーは本件専属契約の当事者であるため、本件専属契約を遵守することは、NewJeansメンバーの当然の義務である。
本件の本案である専属契約有効確認訴訟の審理が完結するまで、NewJeansメンバーに本件専属契約を遵守する方式で芸能活動をするようにさせることが、NewJeansメンバーの職業遂行の自由や芸術創作の自由を侵害するものと見なすことはできない。

ハ) ADORは、NewJeansメンバーのための様々な芸能活動の企画案を準備しているように見え、NewJeansメンバーの芸能活動に対する全面的な支援を約束している。<脚注11>
NewJeansメンバーはADOR所属の事実上唯一のアイドルグループであり、NewJeansメンバーの芸能人としての成功がADORの成功と直結しているため、ADORがNewJeansメンバーの芸能活動を不当に妨害する恐れは大きくないと見られる。
NewJeansメンバーが本件専属契約を遵守する方向に芸能活動を続けることの方が、むしろNewJeansメンバーにとってメリットをもたらす側面もある。

ADORが求めているのはマネジメント会社としての立場の確認であり、それを認めても契約を守りながら芸能活動をすることは可能であり、NewJeansの自由が奪われるわけではない。
NewJeansは契約当事者なのだから、その契約を守るのは当然の義務であり、裁判が終わるまで契約を守って活動するのは自由の侵害ではない。
NewJeansの成功はADORの利益と直結しているため、不当に活動を妨害する可能性は低く、むしろ契約を守って活動する方が、メンバー自身にとっても利益になる面がある。

要するにこんな感じ

3. 小結論

上記のような諸般の事情を考慮すると、本件の本案である専属契約有効確認訴訟の審理が終結するまで、ADORがNewJeansメンバーのマネジメント会社の地位にあることを一時的に定め、NewJeansメンバーが本件専属契約に違反して独自の芸能活動をすることを禁止しておくほどの保全の必要性が十分に疎明されたと見なすのが妥当である。
この部分のNewJeansメンバーの主張も、受け入れない。

裁判の判決が出るまで、ADORがNewJeansのマネジメント会社であることを認め、NewJeansの独自活動を禁止する必要があると認める。

要するにこんな感じ

3. 結論

したがって、本件仮処分決定をそのまま認可した第一審決定は正当であるため、NewJeansメンバーの本件抗告は理由がなく、これを全て棄却することにする。

2025/6/17
判事 ファン・ビョンハ(裁判長) チョン・ジョングァン イ・ギュンヨン

脚注

  • 脚注1:ヘリンは第一審では未成年者だったが、当審に至って成人になった。

  • 脚注2:未成年者であるヘインの親権者は父Rと母BCであるが、本件訴訟に関する意見が一致せず、共同で親権を行使することが不可能になったため、母BCはソウル家庭裁判所2025느단51002号で「親権行使方法の決定」を申請し、2025/3/14に同裁判所から「本件に関する訴訟行為と法律行為を行うなどに際しては、母BCが親権を行使する」という趣旨の決定を受けたため、本件においてはBCがヘインに対する親権を単独で行使できる(民法第909条第2項但書)。

  • 脚注3:第一審は本件仮処分決定14ページで上記大法院判決の法理を引用している。

  • 脚注4:NewJeansメンバーの2025/6/5付準備書面11ページ注釈6)参照。

  • 脚注5:NewJeansメンバーが提出した訴乙第179号証(決定文)14ページおよび上記決定文を引用したNewJeansメンバーの2025/6/11付準備書面等参照。

  • 脚注6:NewJeansメンバーの2025/6/5付準備書面20ページ参照。

  • 脚注7:マネージャーである原告と芸能人である被告の間に一般的な専属契約が結ばれた事案である。原告は、自身の弟が所属事務所の歌手を強姦したという容疑で起訴されたにもかかわらず、未成年女性である被告の車を運転させるなど、被告の人格権を侵害するおそれのある行動をした。2014/1〜2頃以降は、原告と被告の間に事実上信頼関係が毀損され、原告は被告のためのマネジメント活動を行うことができなくなり、被告側も原告とは別に芸能活動を行い、その過程で互いに刑事告訴をした。

  • 脚注8:ミン・ヒジンはSMエンターテインメントでプロデューサーとして働いた後、HYBEに転職したが(訴乙第13号証参照)、ミン・ヒジンがSMエンターテインメントでプロデュースに関与したアイドルグループの相当数が、ミン・ヒジンが退社した後も他のプロデューサーとの協業を通じて成功的な活動を続けているように見える。

  • 脚注9:NewJeansメンバーの主張自体によったとしても、ILLITメンバーらはハニと初めてすれ違った時は挨拶をしており、そのような事実は本件に資料として提出されたCCTV映像(訴甲第99号証)によってもわかる(ILLITメンバーらは向かい側の廊下から歩いてきたヘリンにも挨拶をしたように見える)。NewJeansメンバーの主張によったとしても、ILLITメンバーらがハニに挨拶をしなかったのは一度に過ぎず、ILLITメンバーらが先輩アイドルグループであるNewJeansメンバーを繰り返し無視したり、いわゆる「透明人間」扱いをしたわけではない。

  • 脚注10:NewJeansメンバーの2025/6/5付準備書面22ページ参照。

  • 脚注11:ADORの2025/5/30付準備書面19ページ等参照。


感想

先日ミン・ヒジンが悪質書き込みを訴えて、そのうちの一部が認められたんですが、訴訟費用の9割負担を命じられたんですよね。これ金銭的にはマイナスだと思います。
要するに、裁判て何でも起こして勝てばいいってわけじゃなくて、誰彼構わずふっかけたりするような人にはペナルティがありますよ、と裁判所から釘を刺されている構図じゃないでしょうか。

今回、NewJeansも訴訟費用全額負担を命じられ、かつ一審判決全面支持&高裁の追加判断でも主張に認められる部分がゼロで棄却、要するに門前払いを食らった形です。そのため、最高裁への抗告もできません。
勝てるネタがあるなら出してると思うので、本訴でも同じ結果になると思われます。

NewJeansは未だADORには戻らないという姿勢を崩しておらず、どちらが勝っても負けた側が控訴するでしょうし、NewJeansがADORに戻らなければ違約金を巡る裁判が発生します。
諭したり、信頼の意味を説明したり、調停を勧めたり、私から見れば裁判所は「このまま行っていいの? ほんとにいいの?」って立ち止まらせようとしてる印象なのですが、本人たちのダッシュが止まりませんね。泥沼はまだまだ続きそう。

ちなみに、契約期間が終われば自由になれるかと言えば、なれないんじゃないかと思っています。何故なら、国が定めた標準専属契約書の「第3条(契約期間および更新)」に、以下の文言があるからです。

③ 契約期間中、次の各号のいずれかのようにアーティストの一身上の都合に関する事由によりアーティストが正常な芸能活動を提供できなくなった場合には、該当期間分だけ契約期間が延長されるものとし、具体的な延長日数は事務所とアーティストが合意して定める。
(中略)
5.その他アーティストの責任ある事由により芸能活動を提供できなくなった場合

「芸能人(アーティスト中心)標準専属契約書」より

裁判で負ければ「アーティストの責任ある事由」となりますので、これが該当します。
要するに、働かずに期限切れを待つことはできず、それをやってもカウントダウンタイマーが止まり契約期間が延長されるだけで、かつペナルティが違約金に影響する可能性が高くなる、という見立てです。

今回の新発見

ADOR/NewJeans間の専属契約書には、特別条項があったんですね。違約金めっちゃ高いなと思ってたんですが、それのせいでした。
ヘインのご両親の意見が合わず、親権裁判までして、父親に口出しさせないようにした件も脚注に載っており、何でも読んでおくものだなと思いました。

NewJeans側の訴えに「仮処分決定取り下げても、ADORは多少儲けが減るだけでしょ」が入っててのけ反りました。
ちょ、経済活動は社会の基本ですよ。はした金より私たちの自由の方が重要です、みたいなこと堂々と言わないでください。世宗どうした。

これによりADORが被る損害は、NewJeansメンバーらの芸能活動による収益金を得られないという金銭的な損害にすぎない。

この思春期の中学生みたいな言い切り方、マジでインパクトある。

判決文を読んで印象的だったのが、一審での仮処分判決文でも大概だったのに、それにも増して、めっちゃ怒られてることです。

また、上記大法院判決の事案とは異なり、本件専属契約においては、当事者間の信頼関係が毀損されたと見なせる事由が存在すると見なし難く、上記大法院判決の法理によったとしても、専属契約の基礎となった当事者間の信頼関係が毀損されていないにもかかわらず、一方が主観的な事情のみを挙げて専属契約を一方的に破棄できるわけではない。上記の主張には理由がない。

要約「判例持ち出しても、理由のない一方的な契約破棄が認められるわけないでしょ」

上記のような事情変更の原則は、合目的性(合目的性)を追求するものであり、法的安定性(法的安定性)を追求する契約遵守の原則を信義則に基づき例外的に矯正するものである点、ミン・ヒジンは本件専属契約成立の基礎となった客観的状況と言えるが、その役割などが本件専属契約の核心的な前提となると見なすのは難しい点、特にミン・ヒジンが前述の通り、本件専属契約の前提となった統合構造を意図的に破壊している現在の状況で、NewJeansメンバーがミン・ヒジンの立場に同調することは、本件専属契約成立の基礎となった客観的状況の予見できない変更に該当すると到底見なせない点(むしろそのようなNewJeansメンバーの主張は事情変更の原則の根拠である信義則に反するものと見られるに過ぎない)、その他にNewJeansメンバーが掲げる残りの事情は、後述するようにほとんどが主観的な事情に近いものである点、これらを全て考慮しても、本件専属契約の内容通りの拘束力を認めることが当事者の利害に重大な不均衡をもたらしたり、契約を締結した目的を達成できない場合に該当すると見なすことはできない点などから見ると、本件には事情変更の原則を適用するものではない。

要約「状況の破壊者・ミンヒジンに同調する主張は契約を覆す理由にならず、むしろ信義則に反する」

ミン・ヒジンもこう言われてますね。高裁がこの見方ということは、HYBEとの裁判にも影響すると思われます。

HYBEは本件専属契約前後の一連の過程を統括しながら、ADORとミン・ヒジン、およびNewJeansメンバーを一体として統合し、大きな成果を成し遂げた、本件専属契約の前提ないし基礎となる核心と見なすのが妥当であり、ミン・ヒジンは現在、このような統合構造の基礎を破壊する立場にあると判断されるに過ぎない。

要約「HYBEは全体を統合してNewJeansの成功を導いたが、ミン・ヒジンはそれを破壊する立場である」

2025/9/11のHYBE vs ミン・ヒジン裁判で、警察が一度打ち切ったミン・ヒジンの背任容疑の件に、検察が再捜査を命じた、という話が出たそうです。三カ月以内に捜査終了しないといけないらしいので、年明けには状況がわかるんじゃないでしょうか。
次回2025/11/27の公判にはミン・ヒジンへの本人尋問もあるので、色々進展しそうで楽しみです。

また、チョンCLOは、ミン前代表が業務上の背任疑惑と関連して警察で不送致決定を下したことに関連して「検察が補完捜査を指示した」と述べた。

感情 vs 法律の戦い

今回判決文を読んでいて、特に印象的だったのがこれです。

検討すると、契約成立の基礎となった事情が著しく変更され、当事者が契約の成立当時、これを予見できなかった場合、そしてそれによって契約をそのまま維持することが当事者の利害に重大な不均衡をもたらしたり、契約を締結した目的を達成できない場合には、契約遵守原則の例外として事情変更を理由に契約を解除または解約することができる(大法院2017/6/8宣告2016ダ249557判決等参照)。そして、ここでいう事情とは、契約の基礎となった客観的な事情であり、一方当事者の主観的または個人的な事情を意味するものではない(大法院2007/3/29宣告2004ダ31302判決等参照)。

要約「嫌だったとか一緒にやりたいとかいう気持ちだけで、契約破棄はできません」

専属契約書読んでてもわかるんですけど、裁判所での「信頼の破綻」って、要するに「賃金未払い」「性暴力」みたいな、客観的に立証された犯罪レベルの落ち度によるものなんですよね。

現状ADORは法に触れる行動をしていませんし、むしろ夢みたいな高賃金で「韓国企業評価A+」のHYBEも背後にいて、グループも売れてて次の計画もあって、裁判所から見たら何が不満なの?って感じなんです。
NewJeans、国政監査まで行った「無視しろ」事件も立証されてなくて、むしろ「ミン・ヒジンが騒ぎ立てて無視事件に仕立てた」ことを示すカトクまで出されてますしね。出したのミン・ヒジンですけど。

ハニの「無視して」発言に関しては、ミン・ヒジンが提出したカカオトークのスクショで、事件当時ハニがちゃんと聞き取れてなかったことが立証されてしまい、紛糾してましたね。どういう意図でこの証拠を出したんだろう。

「【ARMY目線】仮処分判決文を和訳して読んでみた【ADOR vs NewJeans】」より

だから、最初の時も「普通契約解除というと未払いとかなのに、珍しいケースですね」って裁判所に言われたんだと思います。
まあ珍しいですよね。契約に関係ないPDの話を延々と訴えてるわけですから。しかもその契約結んだの、CEO時代のPD本人ですからね……。

ミン・ヒジンと言えば、ADORのCEO時代はめっちゃHYBEに噛みつく人の印象だったんですが、それが判決文では「でもADORはすぐ抗議などの対応をしてるから、NewJeansとの信頼が崩れたとは言えない」ってことになってブーメランが発生しておりますw

中の人が入れ替わってるから判決文だけだとわかりにくいんですが、「この時誰がADORのCEOか」を考えながら読むと面白いですよ。
ちなみに「無視しろ」事件当時のCEOもミン・ヒジンで、NewJeansが「彼女をCEOに戻して」って要求出したのにその回答期限が来る前に「代表じゃない平取締役は嫌、PDもやらない」状態でさっさと退職したのもミン・ヒジンです。鬼か。

これは、ADORが要求事項を14日以内に是正しなければ、専属契約を解除するという宣言だったのですが、定めた回答期限が来る前にミン・ヒジンが退社を発表しました(2024/11/20)。

「ARMY目線:ハニの国政監査出席は何がまずかったのか」より

HYBEとミン・ヒジンとの裁判を見てると、だんだん「NewJeansの親がタンパリングに噛んでいたのでは」「ミン・ヒジンが指示して親から会社への抗議を演出したのでは」というあたりが深掘りされていっています。
ミン・ヒジンが「嘘です!」って言う度にHYBEが「ログを出します」って出してくるんでめっちゃ面白いんですが、これを下手に詰められると子供は違約金&保護者サイドも賠償請求で一家炎上だから、ちょっとハラハラしています。

今のところHYBEは全責任をミン・ヒジンに被せようとしているように見えますが、この先どうなるんでしょうか。来年春、BTSの新アルバムが出るまでには、一区切りついてるといいのですが。

おまけ:裁判所がまとめてくれた時系列

  • 2018

    • 2018/11/23:ミンジがSOURCE MUSICと練習生契約を締結

  • 2019

    • 2019/11/23:ハニがSOURCE MUSICと練習生契約を締結

  • 2020

    • 2020/2/3:ダニエルがSOURCE MUSICと練習生契約を締結

    • 2020/7/16:ヘリンがSOURCE MUSICと練習生契約を締結

  • 2021

    • 2021/1/19:ヘインがSOURCE MUSICと練習生契約を締結

    • 2021/11/2:SOURCE MUSICから練習生チーム「Nチーム」部門が分割され、ADORが設立された(資本金1億ウォン)

      • 同日ミン・ヒジンがADORの代表理事に就任

      • ADORはSOURCE MUSICからADOR持分100%を50億ウォンで買収

    • 2021/11/11:HYBE、ADOR、ミン・ヒジンの3者間で、ミン・ヒジンのADOR株式買収選択権などを規定した業務協約を締結

    • 2021/11/12:HYBEがADORを支援する業務支援契約が締結

    • 2021/11/17:HYBEがADORに100億ウォンを追加で投資し、ADORの資本金が101億ウォンに

  • 2022

    • 2022/4/21:ADORとNewJeansメンバー間で契約期間7年の専属契約が締結される

    • 2022/7/6:HYBEがADORに60億ウォンを追加で投資(資本金が161億ウォンに)

    • 2022/8/1:NewJeansが1stアルバムを発売しデビュー

  • 2023

    • 2023/3/27:HYBE、ADOR、ミン・ヒジンの3者間で、契約期間5年の株主間契約、およびADORがミン・ヒジン側にADORの株式20%を譲渡する株式売買契約を締結

    • 2023年12月頃:ミン・ヒジンが株主間契約の内容に不満を抱き、修正を要求したり、NewJeansを連れてHYBEから離脱する方法を模索し始める

ちなみにミン・ヒジンのBig Hit Entertainment入社は2019/7/1。


その後の展開(2025/10/30時点)

予想通り、ソウル中央地方裁判所はNewJeans側の主張を退けました。
専属契約は引き続き有効であり、NewJeansはADORの事前承認なしに独自活動を行うことはできません。訴訟費用の全額負担も命じられており、全面敗訴と言って良いと思います。

普通民事の判決はそれだけ言い渡されるんですが、今回は異例なことに、裁判所が40分かけて判決文を読み上げたそうです。
NewJeansが出席してなかったのが、大変残念です……。

NewJeansは新しい証拠を提出しなかったので、棄却理由はほぼ仮処分の時と同じです。
ILLITにかけられた盗作疑惑やハニの無視して事件も、引き続き却下。

ただ興味深かったのが、HYBEによるミン・ヒジンへの監査は不当だったかと言う点で、カトクが直接引用された件です。ミン・ヒジンがNewJeansを連れて独立しようとしたと見るに十分、と述べられており、今後HYBE vs ミン・ヒジンのプットオプション裁判に大きく影響すると見られます。

イ・ソンウ(訳注:元ADOR副社長)が「あいつら(HYBE)を苦しめて、私たちは自由を得る」と話すと、ミン・ヒジンは「そうなればいいね」と応じた。
その翌月の対話では、「計画変更、時点を早める。ここではメディアの話はしない。私たちは世論戦の訴訟をするつもりだ。返事が来るのを見て決行する」と言及した。
裁判部は「ミン・ヒジンが、NewJeansを含むADORをHYBEから独立させようとする意図をもって、事前に世論戦と訴訟の準備を進めていた」と指摘した。

ミン・ヒジンが昨年4月20日に公正取引委員会への通報を事前に準備したカトクも引用された。
実際にミン・ヒジンは親を利用して公取委への通報を誘導し、HYBEのアルバム押し出し(訳注:サジェギ / 販売数を水増しするため、事務所が流通会社にアルバムを大量に買い取らせる行為)を対外的に広めて評判を傷つけようという計画を立てた。
裁判部は「投資家との接触、およびメンバーの親たちを前面に出した世論形成行為もあった」とし、「このような行為は、ADORへの監査着手の理由として十分である」と判断した。

Dipatch「탈출 사유 10가지, 다 졌다"…뉴진스, 어도어 계약戰 완패(「脱出理由10項目、すべて負けた」…NewJeans、ADORとの契約戦で完敗)」より

NewJeansは即控訴。
正直、「ミン・ヒジンの裁判が終わるまで引き延ばせば、まだ結論は出ていないと言い張れる」作戦に見えますが、これをやって得をするのは誰なんでしょうか。


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